社会にでる前に知っておきたい働き方「テレワーク」。安達先生に教えてもらった。

社会にでる前に知っておきたい働き方
「テレワーク」。

安達先生に教えてもらった。

行ってみた

こんにちは。ライターのさえりです。今回も、京都学園大学の太秦キャンパスにきています。今回お話を伺う先生は、「テレワーク」を研究している、とのこと。
テレワーク、と言われても、もしかしたら学生の方々はピンとこないかもしれません。

そこで…。
高校生・大学生のみなさん! どんな働き方をしたいか、考えたことはありますか?

「どんな働き方…? っていうか…、どんな働き方があるの…?」という声が聞こえてきそうです。いえ、私自身も大学生のときはそう思っていました。

わたしの父親は銀行員、母は専業主婦だったこともあり、“働く”といえば「会社で」「朝から夜まで働く」のが普通、というかそれしかほぼ選択肢はない…と思っていました。

でも今では、わたしは会社に属さない「フリーランス」となり、昼頃起き上がってカフェで仕事をしているような毎日。さらに前職はIT企業で編集者をしていましたが、「カフェで仕事してから帰ります」や「今日は自宅で作業をします」が許されていました。もちろん、どちらの仕事も真面目に働いて成果は残しているので問題はないはずですが、働き始めた頃は「こんな働き方もあるんだなぁ…」と、驚いたものでした。(前前職は割ときっちりとしていて、会社のデスクで仕事をするのが当たり前だったので…!)

「どんな働き方をしたいか?」、それを想像するには“知識”が必要ですよね。将来の選択肢を増やすためにも、今回は「テレワーク」について勉強しましょう〜!

安達 房子(あだち・ふさこ)先生

大阪府出身。立命館大学大学院経営学研究科博士後期課程企業経営専攻。専門の研究テーマは、「情報ネットワークが企業経営に及ぼす影響」。担当科目は、インターネットビジネス論、女性企業家講座など。大学院では、経営組織論研究を担当。ミステリー小説を愛読。

「テレワーク」ってなに?

さえり

先生はテレワークを研究されていると伺いました。今日はテレワークのことや、先生の研究内容についてぜひ教えてください。

さえり

テレワークという言葉、ここ数年はよくニュースなどでも耳にするようになりました。が、「ニュースなんて見てねー!」「難しいことはよくわかんねー!」という読者にもわかるように、お話をしてもらえますか?

安達房子先生

はい、もちろんです!

安達房子先生

テレワークとは、情報通信技術…つまり携帯やパソコンなどをつかって、場所や時間にとらわれずに働く“働き方”のことです。tele(離れた場所)とwork(働く)をあわせてつくった造語です。

さえり

ふむふむ。要するに、スタバでMacを広げてカタカタパチパチ仕事をしていたり、電車でパソコンを膝に広げて大急ぎでメールしたりしている人たちのことですね。一昔前にめちゃめちゃ盛り上がった言葉、「ノマド」とは違うんですか?

安達房子先生

同じようなものですね。どう捉えるかで呼び方が変わるので……。

さえり

なるほど。わたしは、会社に勤めていないフリーランスで、オフィスもなくカフェや家で仕事しているのですがこれもテレワークに入りますか?

安達房子先生

入りますね。ただ、わたしの研究は「組織の中でのテレワーク」なので研究対象とは離れてしまうのですが…。わたしは経営組織論の観点からテレワークの現状を分析していますね。

さえり

なぜ今、テレワークが話題になっているんですか?

安達房子先生

政府がテレワークを推進する動きをしているんです。全体の労働者のうち20%をテレワーカーにする、という目標を掲げたり、テレワークを取り入れた中小企業に助成金をだしたり。それでここ数年、テレワーカーが増え、企業間でも話題になっていますね。

さえり

政府も推しているわけですね。でもどうしてテレワークを増やしていこうという動きになっているんですか?

安達房子先生

今、日本は少子高齢化社会です。つまり、労働人口が減っている、ということですよね。育児や出産で会社を辞めてしまっていた女性たちや、まだまだ元気なのに定年退職をすることになった方達の働き方を見直していかなければならない段階にきています。テレワークというのは、働き方の多様性や効率化のための制度ですから、これを推進することで実態を見直せるのではないか、とも思っています。

さえり

なるほど…!

安達房子先生

でもそれだけではなく、今ではテレワークは「効率化・生産率アップ」のためにも考えられるようになりました。

さえり

そうなんですか…!? 家で働けるようになれば、様々な事情があっても辞めずに済む…というのは想像できるのですが、「効率的」というのは……?

安達房子先生

たとえば…。大雪の日に電車が遅延して大混雑している東京の景色をみたことがありますか?

さえり

あ、あれ本当にすごいですよね。ただの駅がディズニーランドの人気アトラクションかな?って思うくらいの行列になって。並んでも並んでもスプラッシュマウンテンにも乗れず、やっと乗っても到着するのはただの会社だっていうのに、わたしゃな〜んでこんなに並んでるんや…。って気持ちになるあの雪の日の混雑のことですね?

安達房子先生

(何か恨みがあるのかな…)。

安達房子先生

はい。たとえばそういう日に、「自宅で作業すること」が許されていれば、通勤時間を減らすことができて、効率的ですよね。他にも、PCの貸し出しをしていなくて、メール一本打つのにも会社に行かなくてはいけない、という会社も多くあります。それが家や支社や電車など、どこでも仕事ができる…となればかなり生産的ですよね。

さえり

たしかにそうですね。わたしがだいぶ緩い働き方をしてきたせいだと思うのですが、メール一本打つのに会社へ…なんて、めっちゃ時間がもったいなくないですか…?

安達房子先生

そうですよね。(もちろん職種による場合もありますが)、外でできる仕事でも、会社の制度によっては何かをするには必ず会社に行かなくちゃいけない、という人がたくさんいるんですよ。

さえり

素朴な疑問なのですが…。そんなに便利なテレワークなのに、どうしてまだ取り入れていない企業がそんなにいっぱいあるんですか?

テレワークの実態は?

安達房子先生

テレワークを取り入れていない理由としては、「会社の理念に向いてないから」とか「適した仕事がないから」というものが多いですね。あとは「慣習だから」「顔を合わせて仕事をするものだと思っているから」という日本っぽい理由も多くあります。

さえり

なるほど…。なかなか新しいものを受け入れるのは難しいんですね。

安達房子先生

はい。いままで身近で働いてた部下が自宅ですると困る…! という上司も多いみたいですね。

さえり

うーん、たしかに管理職の人は大変になりそうですね。急に目が届かないところで仕事をするようになれば、評価制度も見直さなければならないかもしれないし…。

安達房子先生

そうなんです。とくに日本は、仕事の割り当てが曖昧なことが多いので。どこからどこまでが仕事、というのは契約書には書いておらず、なんとなくの範囲で仕事をしていることが多いんですよね。アメリカでは、個人の仕事の範囲ははっきり明文化されているので、テレワークを受け入れやすかったのかもしれません。

さえり

アメリカでは、テレワークは浸透しているんですか?

安達房子先生

はい。もともと、テレワークというのはアメリカから普及したんです。オイルショックの時に、ガソリンの料金が高くなったので、家でできる人は家でやっていい…となったのが始まりでした。その後、女性が社会進出したのと、パソコンやインターネットが普及するようになって、定着していきましたね。

安達房子先生

日本の企業がテレワークを取り入れるには、仕事の見える化をしなくてはいけないし、評価制度も整えなければならない。やらないといけないことがたくさんあるんですよね。

さえり

それでも、少しずつ浸透して、(職種によるとはいえ)みんながどこでも働けるようになるといいですよね。

安達房子先生

でも…。

安達房子先生

学生に、授業でアンケートをとると、半分くらいは「自宅で仕事をやりたいと思わない」と言うんですよ。「家だとなまけそう」とか「みんなと一緒に仕事したいとか」。

さえり

えーっ! そっか。当たり前ですが、みんなが在宅勤務をしたいわけじゃないんですもんね…。なんとなく「自由な働き方になって家でもできたら、みんながハッピー!」と思っちゃっていました。

安達房子先生

そうなんです。女性だったら出産や育児のときには在宅勤務したいけど、普段はしたくないという意見があったり。

安達房子先生

たしかに「どこでも働ける」というのは、言い換えれば「どこでも働けてしまう」ということでもあるので。「長時間勤務になってしまうんじゃないか」「夜中でも、旅先でも、仕事をしなきゃいけないんじゃないか?」と思わせてしまったり。研究会でも課題になっていますね。どうやってそのあたりの問題点を整備するかは、今後も研究していかなくてはいけないと思います。

さえり

なるほど……。たしかにわたしも、どこでも仕事ができるので、いつでも仕事に追われているような…。やはり課題は、まだいろいろあるわけですね。

安達房子先生

でも、「選択」だと思うんです。別に、全員がテレワークしなくてもいい。ただ、個人のいろいろな事情に関係なく、自分がやりたいことを選べるような社会にはなってほしいと思っているんです。

安達房子先生

どこでも働かせよう!というわけじゃなくて(笑)、自分らしい選択ができるようになってほしいなと。一つの選択肢としてテレワークを普通に選びとれるような、そういうふうになるべきだなと思います。

安達房子先生

学生さんは、今はまだピンとこないかもしれないですが、テレワークをすでに取り入れている会社もありますし、知識としてぜひ知っておいてほしいですね。

テレワークは浸透するか?

さえり

お話、とっても面白かったです。本当に先生の言うように「テレワークを選択できるような社会」になればいいなと思いました。ただ……、保守的な日本でも本当に浸透するんでしょうか?

安達房子先生

そうですね…。ちょっと話はそれますが、わたし大学院の時は「電子メール」が組織に与える影響を研究していたんです。その当時、世間で「電子メール」が流行りだした頃だったんですよ。

さえり

えっ、電子メールがなかったってことですか?

安達房子先生

そうですよ。

さえり

えっ。あっ…、言われてみれば当たり前なんですが…、そうか、メールが一般に流行りだしたのって1980年代終わり頃ですもんね…。メールがないときって…、どうやって働いていたんですか?

安達房子先生

電話やFAXですよ。あとは郵送。今みたいに指先ひとつで送れないですよ。

さえり

ヤバイ、想像できない。

安達房子先生

「電子メール」は、かなり画期的なものでした。電子メールが普及したら、情報を伝達する手間が省けて「中間管理職」がなくなるんじゃないか、と議論されていたんですよ。役職が少なくなる「フラット化」が危惧されたり。いまでは笑えてしまいますが、当時は真剣に考えられていたんです。

さえり

わー…、そうか! たしかに「こんな新しいものが広まったらどうなっちゃうんだ」と思っていたはずですよね。

安達房子先生

はい。直接社長にメールが出せるようになると困ることがあるんじゃないか、とか、機密情報が漏れるかもしれないからどこまでメールを使えばいいのか、とか。

安達房子先生

でも、インターネットとか電子メールが普及したからといって、何かが変わるわけじゃない。インターネットや電子メールはあくまで道具なんだ…という考え方が徐々に定着したんです。今考えれば当たり前のことですが…、当時はなにもかもが大きく変わるんじゃないかと言われていましたから。

さえり

たしかに。そんなにみんなが心配していたのに、今では電子メールが当たり前になっているわけだから…。

安達房子先生

はい、そうです。数年後には、「家で仕事できないなんてありえない」と言われているかもしれません。「家で仕事できないなんて、どうやって仕事してたの!?」なんて、若い子に言われたりして。

さえり

たしかに…! 今はまだ当たり前でないことも、すぐに浸透する可能性もあるということですね。

安達房子先生

はい。もちろん、ゆっくりかもしれませんが今よりは浸透していくと思いますね。

さえり

自分の親が会社勤めをしている(わたしのような)人であれば、働き方のイメージはしづらいかもしれませんし…。やはり、学生のうちに「選択」として知っておくのはいいかもしれませんね。今日はありがとうございました!

さいごに

学生の皆さん、いかがでしたか? 新しい働き方や、新しい職種が増え、昔よりも働き方は多様化しています。選択肢が多いことは時に皆さんの頭を悩ませるかもしれませんが、それでも「自分らしく働ける社会」になっているのは喜ぶべきことです。

今のうちにぜひ知識をつけて、将来どのように働きたいか考えるきっかけにしてみてくださいね。

最後に……。

安達房子先生

経営を勉強したい学生さんがいれば、京都学園大学はすごくおすすめなんですよ。京學堂という学生だけで運営するショップがあって、そこで商品開発・仕入・販売・会計等のマネジメントを実際に学ぶことができたり、実際に活躍している女性企業家の方々を招いて講演をしてもらうなど、実践的なプログラムも多く用意しているんです。興味のある方はぜひ、京都学園大学経済経営学部にきてほしいですね。

とのこと。興味のある高校生、ぜひぜひ先生のもとで勉強してみてくださいね!

それでは〜!

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さえり
さえり

書籍・Webでの編集経験を経て、現在フリーライターとして活動中。
人の心の動きを描きだすことと、何気ない日常にストーリーを生み出すことが得意。
好きなものは、雨とやわらかい言葉とあたたかな紅茶。
Twitter:@N908Sa (さえりさん) と @saeligood (さえりぐ)

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