バイオ環境と社会のつながり第12回「バイオ環境と社会のつながり」を開催【バイオ環境学部】

2019年08月22日

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講義「バイオ環境と社会のつながり」は、主に入学したばかりの1年生を対象に開講しています。自然環境の劣化や生産環境の荒廃、地域社会の弱体化などの諸問題に実社会で取り組んでいるキーパーソンをお招きし、問題の社会的背景や実践事例を伺うことで、今後4年間のバイオ環境学部での学びの方向性を各人が考察するための試みです。

2019年7月2日(火)にシリーズ講義「バイオ環境と社会のつながり」第12回が開催されました。今回は、NPO法人テダス 理事長 高橋博樹様から「Pay forward(恩送り)で地域コミュニティーを未来につなぐ」というテーマでお話を伺いました。

市場原理で人や物事を動かすのは民間企業、市場原理でカバーできない仕事を税収により運営するのが公的機関でしょうか。しかし、世の中には、市場原理では割り切れず、公的機関にも手が回らない課題があります。地域社会にとって、喫緊の課題のひとつが、コミュニティーの維持、そのための人づくりです。

高橋様は、木工品制作のかたわら、精力的に「まちづくり」や「人づくり」の活動をされ、運営するNPOや自治体委託事業などがボランタリーな活動を支えているようです。お金が儲からない仕事に取り組むのは、先達から得た恩を次世代に送るPay forward(恩送り)の考え方に依ります。学生時代のクラブ活動で、先輩たちの献身的活動が後輩に引き継がれるのを見て触発されました。地域社会にかつてあった共助の精神に通じるもので、献身的に活動できる人材がいないと地域社会は消滅するのかもしれません。

活動の場は、居住されている南丹地域から京都府全域に広がっています。京都府の地域づくり施策「海・森・お茶の京都」が地域限定取組であったものを結びつけ、例えば繁忙期が異なる水産業、林業、茶業の間で相互に労務交換を試みるなど、地域を超えた連携にも奔走されています。

最後に、右肩上がり時代の発想でなく、人口減少を前提とし、社会のあり方や地域の仕組みを考え直す必要があるとの提起がありました。そのためには不満を言うばかりではなく皆でルールを考えなおす、本気で自分に何ができるのかを考えることが大切。時代背景が異なりますが、「ask not what your country can do for you―ask what you can do for your country.」(ケネディー元大統領の就任演説)に通じるところがありますね。

学生から3Q6S運動に人が集まらないとの問いかけがあり、高橋様から共感(事柄に共感)と信頼(人に対する信頼)獲得のための努力(メッセージの発信)が必要とのお答えをいただきました。学生諸君がんばってください。

(バイオ環境学部 教授 藤井孝夫)

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