バイオ環境と社会のつながり第13回「バイオ環境と社会のつながり」を開催【バイオ環境学部】

2019年08月22日

20190709_bio01.jpg

講義「バイオ環境と社会のつながり」は、主に入学したばかりの1年生を対象に開講しています。自然環境の劣化や生産環境の荒廃、地域社会の弱体化などの諸問題に実社会で取り組んでいるキーパーソンをお招きし、問題の社会的背景や実践事例を伺うことで、今後4年間のバイオ環境学部での学びの方向性を各人が考察するための試みです。

2019年7月9日(火)にシリーズ講義「バイオ環境と社会のつながり」第13回が開催されました。今回は、京都市都市緑化協会から佐藤正吾様にお越しいただき、都市の生物多様性と「和の花」ネットワークというテーマでお話しいただきました。

自生する植物や生息する動物は、私たちが日常的に触れることのできる“自然”であり、それらは多様な生態系を構成する重要なパーツです。ヒトの活動により、それまで身近にあった自然が姿を消してきました。私たちが気づかないうちにフェードアウトしているものもあるかもしれません。身近な自然の様相は生物多様性が維持されていることのメルクマールのひとつですね。

佐藤様が所属されている京都市都市緑化協会は、緑ゆたかな都市づくりと地域住民の快適な生活環境づくりに寄与することを目的とし、民有地の緑化や緑地保全、緑化意識の普及・啓発などに努めてこられました。「和の花を守り育てる」活動では、様々な団体や個人のネットワークで、「和の花」のある暮らしや環境を取り戻すべく活動をされています。

源氏物語に登場するフジバカマ、葵まつりに欠かせないフタバアオイ、祇園祭を彩るヒオウギなどが象徴的ですが、かつての暮らしの中で親しまれてきた多くの花が、生活様式の変化や都市や農村、森林の環境変化で姿を消しつつあります。「和の花」の栽培保全の活動により、京都の歴史や文化、地理の中にいろいろなつながり見えてきて、活動を担う人達のネットワークづくりと広く広報する啓発にもつながります。さらに、自然環境が豊富とは言えない都市をフィールドとして何ができるのかを問いかける重要な提言でもあります。

学生たちにとって「生物多様性」という言葉がとっつきにくいのなら、植物名の由来を探ることから始めてみれば面白いかもしれません。きっかけがあって、身近な植物に興味を持ちフィールドで探求すれば、個々の植物が残ってきた理由や栽培保全のための地域や人の関わりの歴史がわかるかもしれません。そのことが、自然環境のフェードアウトを見過ごさない鋭い感覚を研ぎ澄ますことにつながれば幸いです。

20190709_bio02.jpg

(バイオ環境学部 教授 藤井孝夫)

前の記事へ

次の記事へ

一覧へ戻る

このページの先頭へ