新蘇生法のご案内

救命救急の方法は定期的に更新されています。医学研究の成果を反映しつつ、日本救急医療財団が世界中の医学データを参考に救急蘇生法ガイドラインを改定しより覚えやすくなっています。
新しくなったとはいっても、全体の大きな流れは変わりません。
声掛け・通報・気道確保・人工呼吸と胸の圧迫・心臓に電気ショックを与える機器AEDの使用と進んでいきます。

心肺蘇生法のポイントは・・・

口を付けて息を吹き込む人工呼吸は省略してもいいことです。

人工呼吸をするほうが効果は高いですが、ためらうあまりに手をこまねいていると、命の灯は消えてしまいます。
家族など、親しい間柄ならいざ知らず、路上に倒れている見知らぬ他人に人工呼吸をするのは、どうしても気後れしてしまいます。
口元に血液や吐いた物で汚れていたら、なおさらです。近年の研究で、人工呼吸をしない場合でも、きちんと胸の真ん中を圧迫できれば、何もしない場合と比べて救命率が大幅に良くなることがわかってきました。

胸を圧迫する回数は、15回から30回に増えました。心臓の血流を十分に回復させるため、中断をできるだけ少なくする目的です。
圧迫のコツは強く(4~5cm沈むくらい)・速く・絶え間なくです。1分間に約100回のペース。
童謡「うさぎとかめ」の1番の終わり「どうしてそんなにのろいのか」まで歌うと、31回押せます。

呼吸の有無は、普段どおりの息をしているかどうかで判断してください。
死にかけている人はあえぐような呼吸になることがあり「呼吸の有無」を正しく判断することは困難です。
普段どおりの息をしていたら回復体位にして様子を見守りながら専門家の到着を待ちましょう。

いざというときに全部きちんとこなせるだろうかと不安があると思いますが、細かなところがあやふやだから、とためらわずにできることをするだけでも大きな助けとなります。一番大事なのは「大丈夫ですか」と声をかける勇気を持つことです。

本学に設置のAEDは、不具合が無いことを確認しておりますので安心して使用してください。
CPR・・・心肺蘇生法(気道確保、人工呼吸、心臓マッサージ)

心肺蘇生法2020の改訂ポイントは・・・

迷ったら119番通報・胸骨圧迫をすることです。

心肺蘇生法ガイドライン2020では、傷病者に反応がない場合だけでなく、反応の有無の判断に迷う場合にも、119番通報とAEDの要請を行うようにしました。
「普段どおりの呼吸」がない場合だけでなく、「普段どおりの呼吸」なのかどうかの判断に迷う場合にも、ただちに胸骨圧迫から心肺蘇生を開始するようになりました。

「普段どおりの呼吸」の有無の判断だけでなく反応の有無の判断についても、判断に迷った際は通信指令員から助言や指導を受けられます
救助者が一人の場合、スマートフォンのスピーカー機能などを活用することで両手を自由に使える状態にして、通信指令員の指導のもと胸骨圧迫などをスムーズに行うことが勧められています。

衣服やアクセサリーはそのままで問題ありません。
胸骨圧迫の際には衣類の上からの胸骨圧迫でよい、と記載されました。
ただし、AEDパッドを装着する際は、衣類の上からではなく直接傷病者に装着します。
また、アクセサリーについては、AEDパッドにかからなければ外さなくてよい、と記載されました。

COVID-19流行下における心肺蘇生法のポイントは・・・

傷病者に顔を近づけすぎないことです。

COVID-19対策を踏まえた変更のポイントは2つです。
①呼吸の確認方法
胸と腹部の動きを見て、呼吸を確認します。傷病者に顔を近づけ過ぎないように気を付けましょう。呼吸しているかわからない場合は、胸骨圧迫を開始します。

②胸骨圧迫の方法
ハンカチやタオル、マスクがあれば、傷病者の鼻と口にかぶせましょう。また、成人については人工呼吸を実施せずに胸骨圧迫だけを続けます。

救急隊員へ引き継いだ後は、すみやかに流水と石鹸で顔と手を洗いましょう。アルコールでの消毒も有効です。手洗いもしくは消毒するまでは、首から上や周囲に触れないようにしましょう。

 

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