2020年2月、人文学部心理学科の山愛美教授の論文「Descending into the Indeterminate State between the Determinate: Recovering a Connection with the Dead」(「ある“determinateなもの“と別の“determinateなもの”の間の“indeterminate”な状態への下降−死者との関係を回復する」)が『International Journal of Jungian Studies 12 』pp.109-128 に掲載されました。
‘The determinate‘を日本語訳するのは難しいですが、「ある程度明確に限定されたもの」といったような意味でしょうか。本論文の中では、ある‘determinate’なものと、別の‘determinate’なもの—ある文化と別の文化—の間(ハザマ)の境界の領域は不確かで、混沌とした状態にある、だからこそ「死の世界」へと繋がる可能性があると考え、1)ユングの人生—象徴的に西洋と東洋の間を生きた、2)日本の昔話、3)夢のマテリアルを取り上げて論じています。
山教授コメント
このような内容を論文として書くのはなかなか難しいのですが、日本語ではなくむしろ英語だからこそ書けるというところもあります。世界では「〜人」といった概念自体が曖昧になってきています。基層にある文化的、心理的、言語的な違いについて考える上でも、従来の東洋vs西洋あるいは日本vs西洋という見方にとどまらず、多様なものがどのように融合していくのか、そしてそこで何が生じるのかについて、学際的に心理臨床の視点からも考えています。講義の中でも、このような研究の内容の一端を取り入れ、学生たちがglobalな視点を持ってくれるよう願っています。
(人文学部 学部長 久保克彦)