地域おこし ~実際に社会で活動することで学びたい~

食から始める地域おこし

名産品から特産品へ

shiga.jpg
四日 洋和 講師

京都府城陽市の青谷地区では“城州白”という固有種の梅が栽培されています。城州白は、実が大きくフルーティーな香りが特長で、梅干しや梅酒の他、和菓子にも加工されています。しかし、近年では需要の低下や農家の高齢化が問題となっており、特産品の開発をはじめとする種々の解決策が求められています。研究室では、京都が世界的な観光都市であるという地の利を生かし、地域と連携して、採れたての果実の香りを生かしたタブレット菓子の開発を進めています。

kameoka03.jpg

城州白の収穫時期は6月下旬の僅か2週間ほどですが、タブレットに加工することで、一年中とてたての風味が楽しめます。タブレットは、果実を乾燥・粉末化した後、打錠して造ります。開発のポイントとして、香り成分は熱により劣化しやすいため、乾燥には低温で処理できる凍結乾燥(フリーズドライ)法を用います。そして、商品価値を大きく左右する香りの評価には、ガスクロマトグラフィーという機器分析を使用しています。研究室では、先端技術を活用して、“もの造り”を通じた地域の活性化に挑戦しています。

icon_3_pc.png

食農学科の食品開発研究室ホームページ

vio_midashi_食品開発研究室.jpg


焼畑で、里山の再生&ブランド野菜づくり(鈴木)

suzuki.jpg
鈴木 玲治 教授

人と自然が共存しながら築かれてきた地域の宝、それが里山です。里山では薪や炭のための木を切ったり堆肥にする落ち葉を掻いたりして定期的に人手が入ることで、手つかずの自然とは違った明るい環境を好む多種多様な動植物が生育するようになりました。ところが、人々の暮らしが変わったことで里山が放置され、里山の生き物達が近年減少しています。そこで私が着目したのが、「焼畑」という伝統農法です。放置され荒れた里山に火を入れ、作物を 1~数年育てた後に土地を休ませると、温暖湿潤な日本では草むらから藪、林へと植生が遷移して里山が甦ります。

kameoka05.jpg
余呉町の焼畑の火入れ

焼畑という言葉から森林破壊を連想されるかも知れませんが、焼畑は自然の再生力を活かした循環的な農業なのです。火を入れると灰などが養分となり、地中の雑草の種も熱で発芽力を失うので、化学肥料や除草剤もいりません。私たちは滋賀県余呉町の人手が入らなくなった里山で焼畑を行い、地域の伝統的な赤カブ「ヤマカブラ」を栽培しています。焼畑の赤カブは歯ごたえがよく色鮮やかと昔からいわれます。里山を再生しながらヤマカブラを地域のブランド野菜に育て、地域おこしへと繋げていく実践的な研究に取り組んでいます。

icon_3_pc.png

バイオ環境デザイン学科の里山環境研究室ホームページ

kenkyu_midashi_pc.png


遺伝子研究から始める地域おこし

遺伝子研究で地域ブランド産品を創出する

takase.jpg
髙瀨 尚文 教授

「地域おこし」と「遺伝子」。どんな関係があるのでしょうか?ここでは、「遺伝子研究を極めて、地域おこし」を掛け声に、遺伝子研究に取り組んでいる研究背景と研究内容を紹介します。大学がある京都府は「京のブランド産品」という認定制度を整え、府内産農産物のブランド化を進めています。京都府産黒大豆である“新丹波黒”もその一つ。みなさんの中には、“新丹波黒”とは知らずに、おせち料理を彩る煮豆として口にしている人も多いのではないでしょうか。また、10 月中下旬の限られた時期だけに流通する丹波黒大豆枝豆を販売する「黒豆の枝豆街道」は、府内観光資源として地域に活力を与えています。さらに京都府は、“新丹波黒”の枝豆用早生品種を育成し、8月~10月に渡る丹波黒大豆枝豆のリレー出荷を実現し、さらに大きな活力を地域に与えています。京都府オリジナルの枝豆用早生品種による地域活性化が進む中、現在の課題は“新丹波黒”の枝豆用早生品種の高品質化です。そこで私たちは、DNA マーカー育種による枝豆用早生品種の改良に有用な遺伝子(DNA)を、遺伝子工学の技術を駆使して探索しています。これで「地域おこし」と「遺伝子(DNA)」が結びつきましたね。「遺伝子研究から始める地域おこし」にピピピッときたみなさん、バイオサイエンス学科の扉を叩いてみましょう。

icon_3_pc.png

バイオサイエンス学科の植物機能開発学研究室ホームページ

vio_midashi_植物機能開発学研究室.jpg


他のキーワードもチェック!