「地域を知る」「農業を知る」「食品製造業を知る」「流通を知る」「地域おこしを知る」といったテーマを掲げた「亀岡学」。第3回は、「共に育つ町を共に創る」をモットーにまちおこしや村おこしをしている基地計画の並河杏奈さんに講演して頂きました。
並河さんは25歳、大学を卒業して、社会人3年目です。春の光秀祭や秋の亀岡祭りで鉾が巡行する昔ながらのH商店街(地図でHの形をした商店街)に活気を取り戻そうといろいろ仕掛けをしています。一つは「負けきらいゼミ」、商店主さんが講師になって、自分の得意な分野(技)を実演講義します。自分がやりたいと思うことを予約して、当日、手取り・足取り教えてもらえます。このようなゼミを通じて、商店主さんの人となりを知ってもらってH商店街のファンを作ります。H商店街と並河さんを主人公にした「かめじん」という映画が製作され、今、地元で公開されています(2018年6月10日に亀岡市役所で公開)。春と秋の亀岡祭りではH商店街のチャレンジショップにバイオ環境学部の学生も参加しています。
このような仕事に彼女が従事するようになった原点は学生時代にあります。バスケットをやり、バイトをして、ベトナムやトルコを旅行、現地の人とのコミュニケーションを楽しみ、震災2年目に福島に行き、現地の人の「忘れられることがこわい」という言葉に強い衝撃を受けました。4回生の時に休学して半年間英国オックスフォードに語学留学しました。その時に、つくづく(日本や亀岡のことを)伝える前に知らないことに気付きました。帰国後、就活の過程で、「どう働きたい」「何がしたい」「この会社じゃなくてもいいのでは?」と自問自答しました。U・I-ターンや村おこし、町おこしや田舎ぐらしなどの求人サイト(日本仕事百貨、京都移住計画、ハローライフ、Wantedly)、SNSや新聞で仕事を探しました(美山でかやぶき屋根の修理とゲストハウスを経営する人、綾部の田舎で全国にファンを持つうどん屋さんを経営する人などと知り合いになりました)。
このような中で、基地計画の滋野さんに出会いました。伝えたいという思いからその間もウェブマガジン「MATCHA」でライターインターンを続け、現在基地計画とMATCHAで仕事をしています。結果的にこのような仕事に以下のような理由で就いたことになります。
- 京都をもっと知りたい。国内外の人に伝えたい。
- 場所や時間を選ばない働き方をしたい。
- 親孝行をできるだけ先に。
- 将来を考えると収入源を複数持ちたい。
- 変に楽しそうな大人達にたくさん出会ってしまった。
並河さんをはじめ、地域でがんばっている若い人たちの話を聞いていると自分の仕事を力が入った使命感や悲壮感でやっているのではなく、自分も楽しんでいるというしなやかさがあります。過疎や高齢化にも新しい答えを出そうとする若い世代を感じます。
(バイオ環境学部 食農学科 深見 治一)