京町家「新柳居」連続セミナー・お茶を楽しみ科学する [第4回]緑茶と紅茶、どっちが健康に良い? を開催しました

2018年06月15日トピックス

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京都学園大学京町家「新柳居」で開催している人気の連続セミナー・お茶を楽しみ科学する[第4回]が2018年6月9日(土)に行われました。
この日は、日本茶インストラクター・宇治茶伝道師・日本紅茶協会認定シニアインストラクターの片山晃子先生を講師に迎え、これまで学んできた緑茶だけでなく、日本や世界で親しまれている紅茶についても学びます。参加者の皆さんで緑茶と紅茶を飲み比べて味わいの違いを体験したり、紅茶の淹れ方を教わったりと多彩な内容で和やかなセミナーとなりました。

講義は茶の基礎知識からスタート。茶樹はツバキ科の常緑樹で、学名をカメリア・シネンシスといい、この新芽を摘んで加工したものが緑茶(不醗酵茶)・紅茶(醗酵茶)・ウーロン茶(半発酵茶)などさまざまなお茶として飲まれています。
世界の紅茶生産国がインドやスリランカ、インドネシア(赤道から北回帰線の辺りまで)に集中していて「TEA BELT」と呼ばれていることや、世界と国内の茶の生産量、葉の小さな中国種はタンニンが少なく、葉の大きなアッサム種は紅茶に適していてタンニンが多いこと、醗酵によるお茶の分類などの説明を受けました。
会場の皆さんは冒頭の講義を聞きながら、同じ「やぶきた」という品種からつくった緑茶と紅茶を飲み比べ、旨味を感じる緑茶と渋みのある紅茶の異なる味わいを確かめていました。緑茶の若々しい香りと、紅茶の花や果物のような香りの違いは、酸化酵素の働きによるものということです。

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さらに緑茶と紅茶の製造工程を見ていきます。本セミナーで緑茶の製造についてこれまで学んできましたが今回、片山先生からは紅茶の製造についてスリランカを例に詳しい説明を受けました。ここで豆知識も。一連の工程の仕上げの段階で等級分けが行われるのですが、一番大きな葉は「OP(オレンジ・ペコー)」に分類されます。オレンジ・ペコーと聞くとオレンジの香りがする茶葉をイメージしがちですが、そうした特徴を示すものでなく、葉の大きさの違いで分けられた等級名称だということです。

続いて、各種茶の成分について学びます。成分分析では、紅茶にはタンニンが多く、抹茶にはタンパク質やアミノ酸が多いことが分かりますが、注目したのは紅茶特有のポリフェノール。紅茶の揉捻・酸化醗酵工程などで生成されるものです。しかし、世界的にポリフェノールへの関心が高まっているものの、紅茶ポリフェノールの研究は少なく、構造などが未だ解明されていないものもあるそうです。

さらに注目なのが、“テアフラビン”という成分です。紅茶中に0.3~0.5%含まれるというこのテアフラビンがカテキン以上の機能をもつ「スーパーカテキン」としてメディアが取り上げているというお話に、会場からは驚きの声が上がりました。また、紅茶ポリフェノールにはアンチエイジングでも期待されていて、肌を老化させる原因となる「糖化ストレス」対策として食事と一緒に1日3〜4杯の紅茶を飲むのがおすすめということです。その他、日焼けには紅茶風呂が良いことや、紅茶を飲むことによる血糖値上昇抑制効果、口臭予防、骨粗鬆症予防、抗インフルエンザウイルス作用やコレステロール合成酵素阻害作用などの効果も研究されているそうで、参加者の皆さんは紅茶の奥深い魅力に引き込まれていました。

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こうした、さまざまな効果が明らかになりつつある紅茶ですが、その味わいもさまざま。ということで、この日の3煎目・4煎目はおなじみのダージリンと渋みのあるウバの2種の紅茶を皆さんで実際に飲み比べてみました。
セミナー終盤には片山先生自ら、紅茶のおいしい淹れ方のポイントをレクチャー。紅茶の渋みや香りを引き出すためには、(温度を下げて淹れる特殊な紅茶以外)熱湯が重要なのでお湯は必ず沸騰させます。熱湯を注ぐとジャンピングといわれるように、茶葉が動いているのが分かります。抽出時間はお好みで、濃いめにもライトな感じにも。茶葉の細かいものは1分半程度でおいしい紅茶を飲むことができるそうです。渋めが好きな方なら、ゴールデンドロップと呼ばれる最後の一滴を入れるのがおすすめということでした。

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ストレートだけでなく、夏はフルーツを入れたり、スムージーにしたりとアレンジティーの紹介も。紅茶にミルクを入れると、今日学んだような効果を消失させる報告も指摘されていますが、お好みでスパイスや生姜を入れたチャイなどもまた違ったおいしさが楽しめるそう。「おいしく食べて、おいしく飲みましょう。食事やスイーツを楽しむ、その時々に紅茶を飲んでください。しっかり熱湯で淹れてあげると効果が出ると思います」と片山先生。

質問タイムにも、紅茶への興味を深めた皆さんからおいしさや機能についてたくさんの質問が飛び出し、今回のセミナーも大きな拍手で幕を下ろしました。

次回、お茶を楽しみ科学する[第5回]は2018年6月23日(土)14時より開催予定です。

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