心理学科「実践プロジェクト」で桂の和食店主にインタビュー

2018年11月29日トピックス

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2018年11月1日、心理学科の実践プロジェクト科目「社会コミュニケーション基礎演習」(君塚洋一クラス)の受講生5名は、京都太秦キャンパスにて、桂の日本料理店「隆兵そば」店主・中村隆兵さんにインタビューしました。

社会コミュニケーションコースのこのクラスでは、京都や亀岡で特色ある職業につく方々の仕事や地域を盛り立てる活動について聞き取り調査を行い、進路を考えるヒントとするとともに、その地の住まい手の誇りや心のよりどころをつくる営みとは何かを考察しています。

中村隆兵さんは、桂離宮向かいの130年の老舗和菓子店「中村軒」の次男で、2004年、蕎麦を中心としたコース料理の店「隆兵そば」を開店、わずか8年でミシュラン1つ星を獲得しました。西京区桂という洛西の立地と清らかな地下水を生かし、こだわりの蕎麦と鯉や鱒、鰻などの淡水魚をとりいれた「京の鄙(ひな)の料理」を提供しています。

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「隆兵そば」店主・中村隆兵さん

小浜の禅寺での修行時代や、蕎麦に目をつけた独自の発想、自店ならではの料理の特色を見出すまでの苦労談、「蕎麦をきわめよ」との師の教えに沿って考案した蕎麦茶の料理やスイーツの工夫、洛西の地に合う洗練と野趣のバランスのとれた料理や器への目配りなど、闊達で当意即妙の語りを通じてさまざまなお話を披露いただきました。

受講生は、京の老舗の系譜をひく料理人の含蓄ある言葉やストイークな仕事ぶりがにじみでるようなお話を聞き、料理は技術である以上に、生き方や暮らしぶりなど「こころ」が一体となった営みである、という隆兵さん独自の考え方に心を動かされ、次々に質問を投げかけていました。

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「隆兵そば」紹介映像(京都学園大学放送局=GBS制作)

受講生のコメント

修行で入った禅寺の和尚さんの「自分を持ってはいけない」という言葉は、とても衝撃的に響いたのではと思うが、「自分のそばを打とう」と考えていた中村さんにとって、今の料理のスタイルに落ち着くよいきっかけとなったのではないだろうか。毎朝の神棚へのお参りや、料理にかぎらず、小さなことを面倒くさがらずに丁寧に行う姿勢は、中村さんご自身に欠かせないものになっていると思った。(2回生・男子)

隆兵さんの座右の銘「一即一切、一切一即」(小さなひとつのことが宇宙全体と同じだ、という仏教の言葉)は隆兵さんのそばづくりに大きな影響を与えていると思った。開店前、そばのふたつの異なるつくりかたで迷っていたとき、どちらがよいか尋ねると和尚さんは「どちらも大事です」と答えたそうだ。このふたつは本質的につながっているからそのように答えたのではと思った。(2回生・男子)

自分がいいと思ったこと、やりたいと思ったことをとことんつきつめ、徹底してやりぬく精神で料理に向き合っておられる。私は一般企業への就職を考えているが、商品開発など自分が企画を担当するときも、失敗を恐れたり、損を考えてばかりでは始まらないから、積極的にアイデアを出せるよう常に考え続けることが大切だと学んだ。(2回生・女子)

隆兵さんは、新商品として「そば茶ラテ」を考えているが、生ものの牛乳を使うため流通がむずかしいから、桂のお店のアンテナショップとして、京都市内にカフェを開き、店内やテイクアウトで飲めるようにする構想もあるとおっしゃっていた。私は商品開発に関心味があるため、ひとつのアイデアについてさまざまな角度から考えておられ、とても興味深かった。(2回生・女子)

 料理でも続けていけば技術は身につくが、そこにどんな思いがあるかが大切だと語っておられた。ぼくは音楽が好きできわめたいと強く思っているが、音楽でもプロと変わらない技術を持った演奏家はたくさんいるが、プロとして活躍する人の演奏と何が違うか、ずっとわからなかったが、隆兵さんのお話をきいてそれがなにか少しだけわかった気がした。(2回生・男子)

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