京町家新柳居市民講座「いつまでも、いきいき元気で過ごすために」の第1回目「口から元気になろう」を開催しました。

2019年02月26日トピックス

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「いつまでも、いきいき元気で過ごすために」をテーマに、口と健康・肺から元気に・地域とのつながりの三つの切り口で、市民の皆様とともに考える、本学 健康医療学部による京町家新柳居市民講座が、2019年2月8日(金)、京都太秦キャンパスで開講されました。

第1回目のテーマは、本学 健康医療学部看護学科 光井朱美講師による「口から元気になろう」です。

はじめに、今回の講座の大まかな流れについてお話しされました。お口と言ってまず私たちが身近に感じるのが、「口臭」の悩みです。様々な統計データに基づいた臭いにまつわる意識調査の結果が示されます。「なぜ、口臭が?」それは、唾液と大きく関係しているのです。唾液のはたらきと、その秘めたる力とは何か。唾液の分泌を促進するにはどうしたいいか。また、この口臭の要因となっている、現代人のある生活スタイルについて明かされていきます。

まず、ある化粧品メーカーが行なった調査結果が示されました。
2014年と2017年の2回にわたって、東京と大阪で実施された調査では、「人の容姿や身だしなみで“どうにかしてほしい”のはどんなことですか?」という質問に対して、圧倒的な数の人たちが、体臭、口臭と回答しているのです。髪の毛や爪、あるいは服装に関することを引き離して、臭いに対して多くの人が強い関心と不満を示しているのがわかります。つまり、私たちがふだん対人評価をする場合、その人の「見た目」ではなく「臭い」を気にしていました。

また別の調査では、「最も気になる身体の臭いは?」という質問に対して大多数の方が、脇や足、頭の臭いをおさえて「口臭」と回答していました。この調査では、「他人の口臭が気になる」割合が約7割で「自分の口臭が気になる」割合が5割という興味深い調査結果も出ています。自分の口臭よりも他人の口臭の方がより気になるというわけです。

日頃から、私たちが口臭に強い関心をもっているのがよくわかりました。
では、それを抑え、防ぐためにどうしたらいいのでしょうか。そこで着目されてお話しされたのが「唾液のパワー」についてです。
唾液、ツバと言えば汚いと誤解されていますが、実は、「唾液力」には、浄化・殺菌・消化・再石灰化・緩衝(中和)などを助ける様々な効果やはたらきがあることが挙げられました。
唾液力を高める! これが、今回の主なテーマ「口から元気になる」秘訣だったのです。またそのことが、口臭の予防にもなるのです。

ここで、現代人にとって唾液の分泌量が低下している傾向とその要因として、咀嚼回数の減少・ストレス・水分摂取不足・薬の副作用・加齢現象などとともに“スマートフォンの利用”が挙げられました。
スマホと唾液と口臭。すぐには結びつかないようですが、実は関連しているのです。スマートフォンを使っている時、私たちは無意識にうつむき加減の姿勢になります。それが唾液腺を圧迫します。顔の筋肉を動かさないと咀嚼筋がこわばります。また、画面に集中して緊張しながら、口を半開きにしていることもよくあります。こうして、知らないうちに、唾液分泌の妨げになっているのです。

次に、先生から講座に参加された皆さんに「口臭リスク」の簡単なテストが行われました。
「スマートフォンを1日2時間以上使っている」「朝食を抜くことが多い」「食物繊維はあまりとらない」などの10項目の設問をチェックし、リスクのレベルを調べてみました。皆さん、真剣にテストをされていました。

動画では、唾液の分泌を促進する「唾液マッサージ」の方法が映し出されました。先生からは、「皆さんごいっしょに!」の声とともに、いっせいにマッサージがはじまりました。耳の下、顎の下、舌の下の順にしっかりと揉みほぐしていきます。やってみますとなるほど、唾液腺が刺激されて、つばがより多く分泌されてきたように感じられました。

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最後に先生から「もともと冬は、湿度が低下し暖房などの影響で口の中が乾きやすく、菌が洗い流されにくく、口臭も強くなりがち」「いつも以上にスマホ口臭に注意して、唾液分泌を促して、まずは“口から健康に”」と締めくくりました。

皆さんにとっても、ごく身近な話題。質疑応答も、時間ぎりぎりまで続き、関心の高さをあらためて実感しました。

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