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東洋経済・山田俊浩氏、前田正史学長、スペシャル対談

更新日:2019年7月11日(木)
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スペシャル対談イベント 激動の21世紀を「君たちはどう生きるか」京都先端科学大学学長 前田正史 × 週刊東洋経済編集長 山田俊浩 2019年 7月7日 京都太秦キャンパス みらいホール

「人生を自分でプロデュースできるようにするため、目先の成功や失敗にとらわれるのでなく、『いま』をしっかり積み上げていくことが大切だ」。7月7日、本学京都太秦キャンパスで開かれたオープンキャンパスでの目玉企画である東洋経済の山田俊浩編集長と本学前田正史学長とのスペシャル対談で、山田編集長は会場を埋めた高校生らに語りかけました。前田学長も呼応する形で「大学で知識を使いこなせる体幹を鍛えてほしい」と呼びかけました。高校生らもメモを取ったり、大きくうなずいたりしながら、二人の熱い対談に引き込まれていました。

この対談は「激動の21世紀を君たちはどう生きるか」をテーマに催されました。冒頭、山田編集長が対談に先立ち、「令和を生きる若者たちへ」と題して講演。産業革命を例に引きながら今は激変の時代に入っていることを強調し、読書の必要性と「好き」を極めることの重要性を指摘しました。

対談に移り、前田学長は「大学4年間は学びに集中できる贅沢な時間。本学は来春には工学部も新設され(*設置認可申請中)、皆さんの『好き』に応えられる幅を広げる」と強調。さらに例えば経済経営学部の学生が「ロボットについて知りたい」と思えば、工学系の教員の授業を受けられるよう学部や専門性の枠を超えたカリキュラムづくりにも取り組むことを説明しました。山田編集長もジャーナリストらしい取材経験の豊富さを示すスティーブ・ジョブズやビル・ゲイツの例を挙げながら、これからの学びの在り方や働き方について示唆に富んだ興味深い提言を続けていただきました。

対談の最後に、山田編集長は「本学のために自分の資産を惜しみなく投じる」という永守重信理事長の言葉に感銘を受けたことを披露。本学の発展が約束されていることを指摘されました。前田学長も、新大学名のイメージから理系の大学に見られがちな本学が、これまでと全く違った新しい総合大学として生まれ変わったことを強調し、「新たな学園づくりに教職員一丸となって取り組んでいる本学に、会場に集まった皆さんにもぜひ参加してほしい」と呼びかけた。

以下、対談内容の詳細です。

【山田編集長の講演の要旨】

令和を生きる若者たちへ

いまは激変の時代だ。人類の歴史を見ると、農業の時代から産業革命が起こり工業の時代に変わった。車(car)はもともとホースレスキャリッジ(馬なし馬車)からきている。今やそれがマンレスすなわち「人なし」へ移りつつある。

そんな象徴的な変革が進む中、いまやインターネットの時代になった。1960年代から米国防総省で研究されていたが、商用化されたのは90年代半ばと新しい。いまや書類を送るのもネットを使い無料で安全に送ることができる。そうした社会を象徴するのがGAFAと呼ばれるグーグル、アップル、フェイスブック、アマゾンの4社だ。このIT関連の4社に支配されているような世の中は怖いように思われるかもしれないが、そうでもない。

つい最近、発覚したセブンペイの問題を見れば明らかだ。GAFAはしっかり時代に合わせセキュリティーをしっかり更新している。セブンイレブンはコンビニ大手としてしては有名だが、セキュリティーについては脆弱だった。日本に目を向けると、取材先であるソフトバンクはベンチャー企業で「危ない」とよく言われるが、歴史のある大手企業のほうが甘えている例はいくらでもある。ベンチャー企業の方が、少しでも経営を誤ると世間から、ほれ見たことかと批判され倒産するという危機感が強い。

今の高校生の若い世代の時代と父母の世代の時代と価値観が大きく変わっている。

こうしたなかで、若い皆さんに提言したいのが1)「読書」をしよう、2)「好き」を極めよう――の2点だ。

ベンチャー企業の経営者のなかに読書をしないことを自慢する人もいるが、あのビル・ゲイツも読書を重視している。毎年12月は山荘にこもって読書三昧で過ごしている。

ぜひ若い皆さんに古典を含めて読書することを勧めたい。

アップルのデザインの最高責任者であるジョナサン・アイブが同社を退社する。彼は子どものころからデザインが大好きだった。自分ならこんな電車をデザインする、などいつも周りのものを自分ならどんなデザインにするか、考えていたそうだ。そこから、今回、経営もデザイン、人生もデザイン、と考えるうち退社することを考えたという。

一つのことを極めると、見方が狭まるのではないか、といわれるが、そうではなく、好きを極めるとアイブのように応用が効き、自信が生まれ、個性につながる。

日本では経団連の会長やトヨタのトップが相次いで終身雇用の継続の難しさを表明、会社にしがみつく人生は終わりを告げている。自分の人生はまさにアイブのように自分でデザインする時代になっている。

ぜひ皆さんに好きを極め、これだけは誰にも負けない、というものを持ってこれからの人生を生きていってほしい。

【山田編集長と前田学長の主なやり取り】

前田
産業構造が大きく変わっている。日本の製造業を例にとると、生産は海外の工場が担っていることが多い。スマートフォンを例にとると、技術は日本のものが大半だが、生産は違う。
山田
マイクロソフトに行くと「コラボレーション」とやたらに書いてはってある。1人で考えるのではなくみんなでやろう、という意味だ。ある1人の天才に頼るのではなく、英知を結集することの大事さを知っている。高校までと大学での学びで大きく違うのが、このみんなで考えるということだ。
前田
高校までの授業は、先生が生徒に教えるという形が伝統的だ。大学は3、4年生になれば学生5人から10人程度に1人か2人の教員がつくゼミが中心となる。この異世代で学ぶコラボレーションが大切だ。また、先生は好きなことをやっているので相当変わっていて、偏っている。学生が「先生、偏っているよ」と言っていいのも大学だ。
大学4年間は学習することに専念していいという贅沢な期間だ。この贅沢のなかで幅広い知識を学ぶことができ、仲間をつくりディスカッションできる。ぜひ知識を使いこなせる体幹を鍛えてほしい、と思っている。
このことを保証するために、来春には工学部も新設し、皆さんの『好き』に応えられる幅を広げる。さらに、例えば経済経営学部の学生が「ロボットについて知りたい」と思えば、工学系の教員の授業を受けられるよう学部や専門性の枠を超えたカリキュラムづくりにも取り組んでいる。また、英語教育にも力を入れている。英語ができれば、どの国の人々とも最低限ぎりぎりのコミュニケーションをとることができる。留学生も400人いるし、京都という土地柄から外国人観光客も多いので、本学にいながらグローバルな環境が体験できる。
山田
この大学は変わろうとしているんですね。2年前に、日本電産の永守重信会長がこの大学の理事長になられた。そのことで関心を持っていまここにきておられる方々もおられるでしょう。永守さんが現実的にスピード感を持って変革しようとしていることに期待している。「好き」を極めるという話をしたが、まさに永守さんはモータ一筋でやってこられている。まさに究極の「好き」を極めた方だ
前田
そうですね。永守の話によると、小学校4年生の時に、モータを組み立てくるくる回したそうです。それを先生がほめてくれた、その原体験がモータづくりの原点で、日本電産をシェア6、7割を占める世界トップ企業に育てた原動力だったそうだ。
家が貧しかったそうだが、成績が良かったから、工業高校に進むことを先生が勧めてくれた。さらに学びたかった時に、授業料なしで学べる職業訓練大学校を教えてくれたのが先生だったそうだ。永守には先生に導いてもらったという気持ちがあるので、大学経営に乗り出しだのだ。
山田
なるほど、大学経営は永守理事長とって必然だったのですね。その永守さんの「この大学のために自分の資産を惜しみなく投じます」という言葉に感銘を受けた。この大学はきっとよくなると思う。
前田
永守理事長も主張しているが、この大学は校名を変えただではなく、全く新しい大学に生まれ変わったのです。大学業界で150年を超す歴史を持つ東大、京大はいわば巨人だ。しかし、何年か経てば、ある分野で本学がその巨人を抜くことはあると確信している。加えて、卒業してもセカンドキャリアを含めて一生面倒見ます、と断言する。
山田
平均寿命が延び人生100年時代などと言われている。そんななか、これまでの、人生コツコツやっていれば報われる、という生き方はありだとは思う。しかし、日本経済のある意味、原動力だった終身雇用が終わったいま、会社にしがみつく生き方は終わった。自分の人生は自身で創り上げるという気概が大事だ。いま人に勧めている本がある。「日本人は『やめる練習』が足りてない」という。日本人は途中でやめると落伍した、などマイナス評価されるケースが多いと思う。しかし、キャリア積んでいくうえで、例えばこの会社はやめよう、という選択肢はある。まさに自身でキャリアを創り上げるうえで、違うな、と考えるなら、むしろそうすべきだ。目先の成功や失敗にとらわれず、今をしっかり積み上げていくことが肝心だ。大学時代がその基礎を築く大切な時期だと思う。
前田
新大学名のイメージから理系の大学に見られがちな本学だが、そうではない。経済経営学部も人文学部もこれまで以上に充実させた、これまでと全く違った新しい総合大学として生まれ変わったのです。例えば、工学系のモータ関連の仕事につくとしても経営的な知識は必要だ。AI(人工知能)は全ての分野で重要となる。文系にも必要。さらにこれを学ぶ上では、法律や哲学など人文的知識は欠かせない。これまで議論してきたようなこれからの時代には、文理の枠を超えたトータルな知識が必要なのだ。本学では所属する学部の学術を中心に、総合大学としての利点を生かし、社会で生き抜くため、必要な智恵、つまりリベラル・アーツ、幅広い分野の知識を学ぶことができる。そうした厚みのある教育のなかで「京都発世界人財」を送り出したい。こうした新たな学園づくりに、教職員は熱い思い、パッションを胸に、一丸となって取り組んでいる。会場に集まった皆さんにも、こんな熱意ふれた本学にぜひ仲間となって参加してほしい。

東洋経済・山田俊浩氏(左)と前田正史学長(右)