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先生に聞いてみた【24】 四日 洋和 講師

更新日:2017年7月6日(木)
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京都学園大学でユニークな研究に携わる先生に突撃インタビューする「#聞いてみた」シリーズ。24回目は、「かめまるいも」など、地域の農産物の商品化に尽力されている四日先生に、“粉末化”の研究についていろいろ聞いてみました。

社会に出てから応用の利く
化学の基礎を身につけておくことが大事です。

これまでに、“粉末化”の研究であらゆる分野の商品開発に携わってこられた四日先生。
本学では「かめまるいも」をはじめとする乾燥粉末の製造と商品化を進め、地元の農業と連携した地域振興にも尽力されています。

さまざまな企業の研究員を経て、京都学園大学の講師に。

Q:現在、四日先生は「かめまるいも」に代表される、地域の農産物の商品化に尽力されていますが、くわしく教えてください。

もともと本学におられた矢澤先生が、東南アジアなどの温暖な地域で栽培されていた芋を亀岡の寒い地域でも栽培できるように品種改良されたのですが、いまは地域で試験的に栽培して農協などで販売するところまで進んでいます。「かめまるいも」は山芋よりも粘り気が強く、食物繊維を多く含んでいるのが特長ですが、見た目は少々不格好で調理しにくいイメージがあり、今後、芋の消費量を増やすためには粉末化するのが良いということで、昨年から本学で勤めることになった私に矢澤先生が相談してくださったんです。現在は矢澤先生のご研究を大城先生が引き継がれて、私も粉末化の研究を進めているところです。

Q:これまで勤めてこられた企業や大学では、どんな研究をされていたのですか?

大学院を出てまず勤めたのが、千葉県にある化学合成の会社です。千葉は世界的なヨウ素の産地で、ここでは主に扱いやすいヨウ素の粉末を作って、抗菌・消臭分野の商品開発を行っていました。神戸にある別の会社では、例えば、ペットのトイレシートに使われるような香りの成分の粉末化を行っていました。それらの会社に約10年ほど務めた後、香川大学で長期保存ができる魚油の粉末をつくる研究を行ってきました。それぞれ商品の分野は異なりますが、ヨウ素も香りの成分も魚油も油によく溶ける安定的な成分なのでそこは共通しているんですよ。

ただ、本学に来るまで主に液体を粉末にする研究ばかりでした。もともと個体であるものを粉末にというのは私にとって初めてのことですが、現在は亀岡の農家の方々が作られた「かめまるいも」以外の農作物も粉末にして、商品化につながる研究をしています。

亀岡の農産物を粉末にして、商品化による地域振興をめざす。

Q:商品化のために粉末を研究するお仕事、難しい点や工夫されているのはどういうところですか?

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去年作ったこの粉末は、皮をむいて1cm角にしたものを凍結乾燥(フリーズドライ)にして、本学の食品開発センターにある粉砕機にかけて試験的に作ったものです。そもそも「かめまるいも」は収穫期間が限られていて、日持ちしないので、長芋の粉を代用するなど工夫しながら研究しています。地元の食堂やレストランに手伝ってもらってドーナツも試作しました。調理は素人ですが、下手なりに作っています(笑) 設備は高温で瞬間的に乾燥させる噴霧乾燥機の他に自作の熱風乾燥機を研究に使ったりします。弾力のあるものを測ったり、硬度を測ったりする分析機器もあります。製麺機で「かめまるいも」の麺を作って、先ほどの分析機械で弾力などを測っています。

Q:大学での研究、そして教員としての今後の取り組みについて教えてください。

「かめまるいも」は獲れる時期にたくさん粉末にして、色々試作してみようと思っています。非常に粘りが強いので、この特徴をいかして、高齢者など飲み込みが困難な方にも食べやすいパンやうどんを作ることができたら良いですね。こうした取り組みに企業などから興味を持っていただき、地域の特産品として需要が高まれば、農業をやりたいという若者が集まってくれて地域振興につながりますし、そこをめざして宣伝していきたいですね。

講師としても試行錯誤。私はこれまで14年間、研究員としてやってきて、昨年から初めて教員になりましたが、難しい化学の実験もなるべく分かりやすく教えられるようにして、学生には社会に出るまでしっかり勉強して欲しいと思います。

化学の基礎をしっかり身につけることが、社会に出て役立つ。

Q:四日先生が教鞭をとる食農学科の授業、学びのポイントを教えてください。

「食品加工学」では、加工食品がなぜできるのかという原理やその過程を学びます。例えば、乳化作用。マヨネーズは凍結させると乳化作用が弱まって、油分が分離します。この乳化というのは食品加工の基礎的な技術なんです。1年生のスタートアップゼミでは調理室でお好み焼きやパスタ、クレープなどを作ってみて、加工の過程を実際に見て触って理解してもらいました。こうした基礎的なことは大切です。それから「統計処理」は卒業時や会社に就職してからデータ処理ができるように、「食品分析化学」は化学の初歩から学んで食品に限らずさまざまな分析ができるように。そうした技術も大切です。

Q:最後に、学生の皆さんへメッセージをお願いします。

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本学の食農学科で学ぶ学生が、卒業後に就職するのは食品関連の企業が多いと思います。技術職もマーケティングもあるでしょう。社会に出て困らないように、化学の基礎学問をしっかりやっておいた方が良いです。会社に入ってそのまま役立つことは少ないですが、基礎ができていれば応用が利きますから。いま高校生でこれから本学の食農学科に入ろうと思う方は、日常の食に興味を持つことから始めると良いかもしれません。パネル(右の画像参照)はオープンキャンパスで展示した時のものですが、こうした私たちのふだんの食がどのように設計されているのかを知っておくのも大事だと思います。いまは食品会社の求めるレベルも高くなっていますからね。ふだん食べているものがどういう風に作られているのかを知る上でも化学は役立ちますよ。

faceバイオ環境学部 食農学科

四日洋和(しが・ひろかず)講師

鳥取大学大学院 工学研究科博士後期課程 物質生産工学専攻。日宝化学株式会社 研究所、株式会社シクロケム 技術研究所の研究員を経て、香川大学 農学部 農学部 博士研究員に。昨年4月より京都学園大学 食農学科の講師に就任。

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突撃インタビュー「# 聞いてみた」