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先生に聞いてみた【66】深見 治一 教授

更新日:2017年9月5日(火)
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京都学園大学でユニークな研究に携わる先生に突撃インタビューする「#聞いてみた」シリーズ。66回目は、食農学科の深見先生に、亀岡という恵まれた環境の中で学ぶ「食品化学」について、いろいろ聞いてみました。

もっと美味しく、健やかに。私たちのいのちの源でもある食品の未来を、一つ一つ豊かに実らせるために。

私たちがなにげなく口にしている様々な食品。そこには様々な成分が含まれています。その自然からの恵みをさらに高め、豊かにしていくための化学という学び。今と明日の社会が求めるその実学について、深見治一教授にお話をうかがいました。

Q: 先生は、大学では「農芸化学」を専攻されていますね。

当時は、そういう名称でしたが、今のバイオサイエンスです。私が生まれ育ったのは、京都市の南、吉祥院です。古くから、京都の伝統野菜などを育てる農家が多い土地でした。自宅付近には、そうした畑が多くあり、様々な農作物に身近に接していました。
むしろ、それがごく日常的なことでしたから、特別な興味を抱いてはいなかったようです。ただ、化学は大好きで、色々なものがどのような化学物質からできているのだろうかということにはずっと関心をもっていました。
そして、大学へ進む時、自然な感じで農芸化学を専攻するようになりました。
その後は、今、私が研究を進めている道を一貫して歩んできました。大学院でのさらなる研究生活を経て、三菱化成やサントリーなどの企業で医薬や機能性食品の開発研究を重ねてきました。有機化学的手法で医薬品を開発したり、農作物の元々ある成分に機能性を付与することで、新しい機能性食品を開発する研究を続けてきました。
その頃の仕事の一例をあげてみますと、たとえばクコの実からビタミンCにブドウ糖が結合した物質(プロビタミンCと言われます)を発見しました。

さまざまな農産物の、成分やその加工による変化を解析研究。

Q: 現在本学で進められている研究についてお話しください。

本学に来て12年になります。ここ亀岡は、ご存知のように京野菜など、豊かな環境を活かした数々の特産物で知られる農業の盛んな土地です。昔から、京阪神、関西一円へ向けた供給地として多くの農産物を提供してきました。それらの、とくに野菜などの成分を解析し、食品加工における成分の変化などを調べながら、新しい機能性を見いだす開発研究活動を推進しています。
たとえば、丹波地区の特産、黒豆の枝豆はもう広く知られていますね。その中で、京都府農林水産技術センターが開発した『紫ずきん』という品種があります。これらの黒豆の枝豆の種皮は早い時期には緑色ですが、成熟していくと徐々に種皮は赤味を帯びてピンク色に変化していきます。緑色の豆を塩酸水溶液に浸すとピンク色に変化します。そこで緑色の種皮にはアントシアニンの前駆体が含有しているのではないかと考え、抽出精製して成分を解析した結果、予測した通り、黒豆枝豆の種皮には、主成分として黒豆のアントシアニンの還元体が含まれていることを発見しました。
これと同様に、激辛で知られる『ハバネロ』やビールの原料になる『麦芽』の胚芽部分などの成分解析と機能食品開発の基礎となる開発研究も進めています。

亀岡という、恵まれた環境の中で育まれる実学。

Q: ご担当の科目「食品化学」、また「亀岡学」についておたずねします。

食品となる成分はすべて化学物質なのです。もちろんその栄養成分や美と健康に有効とされる機能性成分も化学物質です。それから、料理も実は化学反応なのです。調理や加工、発熱や熟成などすべてが科学的な道筋で説明することができます。
私の担当科目である「食品化学」も、こうした側面で食品を理解するということなのです。言いかえれば、その材料の最適な調理法(あるいはやってはいけない調理法)が提案できます。先人の知恵の確かさに驚かされることもしばしばです。
そして、他の学問領域との融合や連携にも欠かせない専門分野です。現在、2回生を対象に開講している講義シリーズ『亀岡学』では、実に多様かつ多角的なテーマを設けて、この亀岡で、あるいは京都府で精力的に活躍されている、各分野の方々をお招きしてお話をうかがっています。すべてが現在進行形で前へ進んでいるプロジェクトの実際例を、現場の声として聞くことができますから、学生たちにとってはあたかも自分自身も参加しているような気持ちで接することができます。また、「自分ならこうする」「こうしたい」といった役割の自覚も促進されます。

やわらかで、しなやかな発想と力で一歩一歩前へ。

Q: では、学生たちにどういったことを望んでおられますか?

地元で活躍されている方々のお話をうかがって感じるのですが、考え方がとてもやわらかで、しなやかですね。けっして枠にはまった発想ではないのです。
自分たちがやりたいから、やりたいことをやる。自分たちの子どもたちのために、ここに住んで地域の力になりたいという気持ちが、活力源になっています。ホンネでしかも純粋なモチベーションが精力的な活動につながっているのです。
学生たちにもこういう前向きな能動性を学んで欲しいですね。色々な活動(部活であったり、卒業研究の分野であったり、就職活動であったり)をするときに、動機が重要であるわけでは無く、やってみることが重要で、自分が好意を持っている人や友だちがやっているから自分もはじめてみる。それでいいのです。そこから次第に興味が深まってまた広く育まれていきます。ただ、はじめたら、一つ一つをしっかりやりとげる。これも大切なことです。そうすることで、専門家にも、会社で重要な役割を担う人にもなれます。もちろん、自分が変わることも恐れないで欲しい。化学変化も出会いが大切です。

Q: 学問、ご研究以外で、何か力を入れておられることは?

趣味と言えるのは、本業とまったく関わりのないゴルフです。遅咲きのゴルファーかな。 はじめたのは、20年ほど前の50歳になったばかりの頃からです。 上達は、少しずつ、文字通り一歩一歩。しかも力も技も持続することが難しいスポーツです。練習場によく通った記憶が思い出されます。 今では、上達することよりもむしろ自分の体力のバロメーターと言いますか、健康のためという意識が強いですね。それから仲間たちと、わいわい楽しくラウンドすることで、爽快な気持ちになれます。心身ともにプラスになる、いいことずくめの運動と思っています。 ラウンド中は、コースに生えている植物などを観察していると、実はあまり植物の名前を知らないんですね。これからは樹木や花の名前くらいは、もっとおぼえて、余裕をもって回りたいと願っています。

バイオ環境学部 食農学科

深見治一(ふかみ・はるかず)教授

京都市出身。博士(農学)。京都大学大学院農学研究科博士課程農芸化学専攻。三菱化成工業(現三菱化学)総合研究所、サントリー先進技術応用研究所主席研究員を経て現職。専門分野は、「食品化学」「食品分析学」「有機化学」。担当科目は、「食品化学Ⅰ・Ⅱ」「亀岡学」「食農環境概論」「科学英語B」等。所属学会は、「日本農芸化学会」「日本生物工学会」「日本油化学会」「日本ビタミン学会」等。

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突撃インタビュー「# 聞いてみた」