本学2年生に向けた前田学長・永守理事長による講演会が開催されました

2019年05月17日トピックス

2019年5月15日(水)、本学京都太秦キャンパス・みらいホールにて、前田学長と永守理事長による講演会が本学の2年生へ向け開催されました。会場には太秦・亀岡両キャンパスからおよそ300名ほどが集まり、多くの学生が前田学長による今後の展望、永守理事長からの激励の言葉に耳を傾け、メモをとる姿が印象的でした。結びには、前田学長と永守理事長との質疑応答が行われ、学生からの様々な質問が続き、予定時間を超えるほどの盛り上がりをみせました。

以下、講演内容の一部を掲載します。

前田学長 講演

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2年生の皆さんが入学した2018年4月に自分は本学に着任。永守理事長も同年3月からご就任し、いわば皆さんと同級生である。今日は、皆さんに、京都先端科学大学がどう変わり、何を学ぶか、また、文系学部の学生には馴染みにくい大学名の意味などについて話したい。さらに、大学に通う意味と覚悟をわかってもらえれば、とも思っている。

まず、本年4月に何が変わったか。大学の名前が変わり、運営も変わった。教育・研究は私が主導してやっていく。施設をみると京都太秦キャンパスは4月に西館がオープンし、明るくなった。一方で、工学部の学舎は建設中で、自転車置き場が真ん中にあるなどキャンパス全体が、手狭な感じがあり、申し訳ない気もする。工事が終われば、中央広場もきれいになり、南館に図書館ももう一つできるし、電子回路と機械加工の工房もでき、皆さんに開放する計画だ。

23ヘクタールある京都亀岡キャンパスも、バイオ環境学部と健康医療学部(健康スポーツ学科)が残るし、体育会系クラブの活動も引き続き行う。必修になった体育実技も同様だ。さらに、ドローンの研究施設や電気自動車のテストコースを設ける計画なども立てており十分に活用する。バスで、40分ほどで両キャンパスを行き来できることは貴重な財産だと考えている。東大の研究施設は千葉の柏にあり1時間40分もかかる。

学部長も新しい人が多い。来春開設する工学部の教員も世界的に募集をかけ360人の応募があり、すでに13人が着任している。英語で授業をするという形で募集したのがポイントで、4人の外国人の教員も含まれている。留学生も増やす。

ただ、本学は理系の大学になるわけではない。ちょうどいい規模の総合大学として発展していくし、そうしたブランド創りに、我々教職員と共に、学生の皆さんも歩んでほしい。  社会には様々な課題がある。例えば少子高齢化だ。国家予算100兆円のうち40兆円は社会保障費が占めているし、国の借金は1000兆円を超えている。こうした課題に対して、大学は解決策を提案することができる。社会貢献を具体化するために、そんな提案を積極的に実践していきたい。お年寄りの肉体的支援は工学の知識を、経済的負担を減らすことは経済経営の知恵を、精神的なケアでは人文の知見を、などと総合大学としての強み、先端科学の果実を社会に還元したい。科学をベースとして人間を深く扱う大学として社会に寄与していきたい。

翻って、皆さんは何のために大学来たのか。未来を創造するために来たのだ。自己実現を目指すために来たのだと思う。人間の欲求を5段階の階層で理論化したマズローの欲求5段階説というものがあり、その5段階目が最後の欲求である自己実現。自分が人のために役立っている、という実感があると気持ちが良いし、そういう感覚がないと仕事は続かない。ボストン市にマサチューセッツ工科大学がある。学生が提案した高速道路の地下化をボストン市が採用し、実証してくれる。単なるレポートが社会的に実証されると、人の役に立っていることが実感でき、うれしいはずだ。このうれしさや楽しさ、幸福感がないと続かない。

皆さんも好きなことを見つけ、それは得意なことだと思うので続けてほしい。そうした中で、困ったことがあったら、教員でも職員でも遠慮なく相談してほしい。我々は全力でサポートします。卒業しても一生面倒みるつもりでいるので、いつでも大学に来てください。

最後に、うちの大学のブランドを創り上げていく主役は学生である皆さんだ、ということを強調して講演を終えました。

永守理事長 講演

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毎年、我が大学の志願者は増え、来年はさらに2倍になる。皆さんはいい時に入学した。志願者が増えるにつれて入試の難易度も上がるわけだからだ。

日本電産でこれまで国内だけで約7000人の大卒者を採用してきた。海外を含めば数万人である。その個々の能力を分析してみると、出身大学の偏差値やブランドなどは仕事をするうえで何の関係もないことがわかった。今の大学教育は間違っている。もっと社会に出たときに役立つことを教えるべきで、そんな実践的な教育をする大学を創ろうと決意し、この大学の経営に乗り出した。

息子が2人いるが、妻には反対されたが、受験勉強なんかしなくていい、と言っていた。ただ、英語を喋れるようにしておけ、などポイントは押さえていた。その結果、息子は十分社会で働いている。さらに、日本を代表する松下電器産業やホンダの創業者はブランド大学など出ていない。京都の村田製作所やオムロン、ロームもしかりだ。偏差値主義やブランド信仰など30年前に崩れている。

日本電産は世界43ヵ国10万人の従業員を抱えている。ポーランドやハンガリーにも拠点があるが、意思疎通は英語だ。英語ができなければ、世界的な競争に勝てない。40年来、通い詰めている小さな寿司屋がある。35年通っているマッサージ店がある。ある時、店を訪れると双方とも閑古鳥が鳴いていた。どうしたらいいか、と相談されたので、英会話を勉強しろ、と勧めた。両店主とも、いまさら英語なんて、としり込みしていたが、半年勉強してみい、と説得した。彼らは頑張った。先日行ったら、両方とも外国人客でいっぱい。常連の私が座れないほど繁盛していた。いまや、こんな小さな店にも英語が必要な時代になっているのだ。

だから、うちの大学はベルリッツと提携し、使える英語を学んでもらっている。しっかり英語をやるのがうちのポリシーだ。TOEICなら650点取れるよう頑張ってほしい。それにそれぞれの専門の知識があれば、就職はどこでも通る。就活しなくてもいいぐらいだ。卒業時に650点取れる実力があれば、会社にはいってもすぐ800点は取れる。そうなれば即戦力だ。偏差値ランキングには興味はないが、我が大学は10年経てば世界ランキングで東大、京大に次ぐ位置に、2030年には京大を抜ける。そのためにも英語が大事だ。

経営者は夢を語るが、それを実現しなくてはいけない。私は、従業員3人で自宅の納屋で始めた日本電産を、自社ビルを建てる、京都一高い本社ビルを建てるなど従業員に宣言し、すべて実現した。有言実行だ。京都先端科学大学も変える。京都太秦キャンパスでは来春に、他にない工学部を創設する。亀岡も古い学舎を近代的な寮や、ドローンの実験場や電気自動車のテストコースに作り変える。付属高校もつくりたいし、私が塾頭のビジネススクールも開講する。環境もどんどん変えていくので、学生のみんなもしっかり勉強して、英語が喋れて専門ができるようになってほしい。そうすれば、君たちの将来を私が保証する。私にはそうできる自信がある。

まだまだ話足りない様子ではありましたが、時間もありそのまま質疑応答へ。

学生との質疑応答

有名人や著名人と会って共通する部分は。

永守)私は企業人との付き合いで語りたい。死ぬまであきらめない人が多い。情熱、熱意、執念、気概を感じる人ばかりだ。

前田)研究者でも、同じでしつこい人が多い。ノーベル賞受賞者を何人か知っているが、ほんとに細かいところにまでこだわるし、執念深い。ただ、本人は楽しくて仕方なく、しつこいとは思っていない。

英語が大事だということはわかったが、ほかには何が必要か。

永守)雑談力だ。どんな人とも話が合わせられないと、人脈も広がらないし、仕事も広がらない。

前田)その通り。だから、歴史を学ぶことは大切だ。海外に出たらその国の歴史をしっていることは重要だ。ダボス会議で日本の参加者の多くが壁際に立っているだけ、と指摘されるが、それは英語ができないだけではなく、他国の指導者と話ができる共通の教養がないせいだ、との声もある。

どんな人と一緒に仕事がしたいか。

永守)やっぱり成功体験の多い人と働きたい。学ぶことも多いし、元気にもなる。使命感のある人もいい。

前田)尊敬できる人。大義にまっすぐ向き合っている人は魅力的だ。

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