【メディア掲載】人文学部 平雅行特任教授(日本中世史、古代中世仏教史)が朝日新聞にコメント掲載されました

2019年07月30日メディア

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2019年6月18日(火)、『朝日新聞』朝刊30面「文化・文芸」欄、「仏典の女性差別 どうする」の記事に、人文学部歴史文化学科平雅行特任教授の、仏教の女性差別観が日本でどのように広がっていったか、についてのコメントが掲載されました。

「現代の目では不適切」研究者ら指摘

(朝日新聞 6月18日朝刊)

 真宗大谷派の本山・東本願寺(京都市)が昨年12月~今年2月に開いた企画展「経典の中で語られた差別」で、世界人権問題研究センター(同市)の嘱託研究員が準備した女性差別に関するパネルが、同派の意向で展示されないことになった。

 外されたパネルは、女性は修行しても仏になれないとする「女人五障(にょにんごしょう)」、女性は親、夫、子に従うべきだとする「三従(さんしょう)」の教えのほか、女性は男性に生まれ変わって成仏できる「変成男子(へんじょうなんし)」思想を紹介するもので、現代の目線で見ると差別的な内容だ。古代インド社会の女性差別観が仏教に流入したものという。

 同研究員は「仏教の名の下による思考停止ではないか」として、公開質問状を出して外された理由をただした。5月下旬に開かれたシンポジウムで示された宗務総長名の回答は、「(経典などは)著された時代社会の状況が色濃く反映されており、現代を生きる私たちにとっては受けとめ難い表現がある」「正式な見解を見い出せるように、継続した研究を進める」などとした。

 経典は仏教の開祖・釈迦が説いた教えを、弟子らが「私はこう聞きました」と解説したものだ。「実際は、はるか後世に成立したものも多く、矛盾がいっぱい。読み飛ばされてきたものも無数にあり、経典のどこに関心を寄せるかは、時代で異なる」と京都先端科学大学の平雅行特任教授(古代中世仏教史)はいう。

 平教授によると、平安時代に貴族社会が男性中心となるのに呼応し、「五障三従」が浸透し始める。その過程で、「男に生まれ変わって救われる」といった、今なら差別的にとれる「救済論」を様々な宗派が流布したという。その後、民衆にも家父長制が形成され、女人罪業観が広がったとみる。

 平教授は、仏教は本来柔軟なものだという。「当時は思想的に価値があったことでも、今は誤解を招く。教団が、この時代はこうだった、と説明していくことは難しくない。伝統は変わることで守れる」

掲載記事の一部を抜粋

(承諾書番号:19-3065)

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