浜田副理事長、PTA関係者60人に本学の教育理念など説明  全国高等学校PTA連合会京都大会で、関係者らが本校見学

2019年08月28日トピックス

PTA会長や校長など学校関係者約60人が2019年8月22日、本学の京都太秦キャンパスを見学に訪れた。一行は冒頭、浜田忠章副理事長から約40分間、本学の教育理念や英語の授業方法など具体的な実践などについての説明を聞いた後、本学職員の案内で、東、西、北館の各教室や看護学科の実習室、みらいホールのほか、図書館やキャリアサポートセンターなどを見て回った。ある参加者は「建物が新しく施設が充実している。建設中の工学部の校舎の完成が楽しみですね」と感想を述べていた。

一行は、全国高等学校PTA連合会の全国大会に参加するため京都を訪れ、特別プログラム「京の大学訪問コース」に選ばれた同志社大学や京都大学など8大学で企画されたキャンパスツアーの一つである本学に立ち寄った。大会は、今回で69回目を迎え、1万人を超える参加者が見込まれている。京都大会は22、23日に、京都市勧業館みやこめっせとロームシアター京都を会場に「Kyoから! 未来を拓く」をメインテーマに催される。23日には、本学の永守重信理事長が記念講演を行った。

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浜田副理事長・大学紹介講演

本学は今年で開学50年を迎えました。発祥の地は亀岡市で、いまもバイオ環境学部などの学生が学んでいる京都亀岡キャンパスがあります。5年ほど前に京都市・太秦に新たなキャンパスを設け現在のダブルキャンパスになりました。

ただ、本学も少子化の流れの中で、学生数が定員の7割にも満たない危機的な時期もありました。存続の危機を迎えたなか、前理事長がこの太秦キャンパスの設置に合わせ、健康医療学部の新設という英断を下し、その効果により現在は漸く定員も充足し財政的にも安定してきました。しかしこのままでは今後予測される少子化に対処できないのではないかという危機感から、2016年の年末、現理事長の永守重信に、自分の後の大学経営を頼みに来たのです。「永守さんの思うように大学を変えてくださって結構です。それが大学存続の解決策になる」と訴えたのです。

皆さんもご存知だと思いますが、永守は日本電産の創業者で現会長です。40年以上前に従業員3人と京都の地に同社を創立し、いまでは43カ国約10万人を超える社員を抱えるモータ専業メーカーでは世界トップに育て上げました。2018年度の連結総売上高は1兆5000億円です。

そんな永守も教育には関心を持っており、工科大学を自分で創ろうとまで考えていました。日本では大学を卒業して企業に入ってもすぐ戦力にはならず、再教育しなければいけない状況を何とかしたかったからです。そこへ大学経営の話が舞い込んできたのですから、おそらく永守は即決したのだと思います。私も2017年3月末で日本電産を卒業し、悠々自適にやろうと思っていたのですが、永守から言われ、4月1日から本学に移り、今に至っています。

それから本学の方針はがらりと変わりました。具体的にいうと、1) 社会が真に求める人材の育成、世界水準の人材を育てる、2) 世界ランキング199位を目指す――。

英国の会社が毎年、大学の世界ランキングを出しているのですが、100位以内に入っている日本の大学は東大と京大だけです。100位代はゼロなので、2030年度までにそれに次ぐ大学になろうというわけです。夢みたいな話と言われますが、永守は本気でそう思っていますし、そうなるべく策を次々にうっています。来春にはモータとその周辺の分野を専門に学ぶことのできる工学部を開設するのもその一つです。

次に1)ですが、日本の人口は統計を見ると2010年にピークを迎え、2020年には1億2500万人になります。そのうち、15歳から64歳の人口は7300万人ですが、2050年には5000万人にまで減ります。つまり、30年後には今高校3年生の18歳が今日来られた皆さん位の年齢になる時には、生産面でも消費面でも日本経済を支える人の数が現在の3分の2に縮小する、ということです。おのずと経済のスケールも縮小することはお分かりいただけると思います。従って、日本の企業も国内だけ見ていたのでは存続できなくなるのです。

少子高齢化が問題にされるなか、年金問題などは声高に指摘されますが、こうした経済の縮小を問題視する声は聞こえてきません。日本企業は生き残るためには世界市場に出ていかざるをえません。だから、大学は英語が使え、世界を相手に活躍できる世界水準の人材を育てなければいけないのです。そうした土台を本学で築いていけるようにしたいのです。

もっとかみ砕いて説明すると、以下の3点がこれからのグローバル社会に必要な能力です。

1) 英語が国際ビジネス言語
2) 異種文化を受け入れる多様性・柔軟性、他者とのインタラクション能力
3) 世界で通用する専門能力

つまり、この3点がこれからの豊かな人生を切り開くために不可欠な資質になります。

こうした力を大学4年間で身につけられれば、変化の激しいこれからの環境がどのようになったとしても、自分の考えを持って、自分の力で、自分の存在を主張できる人になれると考えています。

別の角度から、本学で育成を目指す人材を説明すると、専門性があり実践的な英語力を持ち、国際社会人基礎力を備えた人材ということです。

ここでいう専門性は俗にいう「専門バカ」ではありません。本学は来春には工学を創設し、経済経営学部、人文学部、健康医療学部、バイオ環境学部の5学部体制になります。それぞれの学生が所属の学部を中心に、例えば人文学部の学生でもドローンに興味があれば工学部の専門の教員から学ぶことができるような新しい総合大学のカタチを模索しています。社会の問題を解決できる力を養うために、実践的に幅広い知識を学ぶことのできる縦割り型ではない横展開型の教育システムを目指しています。

培った知識をグローバルに生かすための武器となる英語力はベルリッツと本学の英語教員がコラボして力をつけTOEIC最低650点を取らせます。そのために、工学部は原則英語で授業を行いますが、その他の学部でも授業量の22%は英語に当てます。学生をまず英語好きにし、専門を生かした英語が駆使できる人材へと導きます。

国際社会人基礎力を育むためには、まず1年生から4年生まで通してゼミ方式を採用します。つまり学生15人に1人の教員を付け、きめ細かく社会人になるための基本的な指導をします。さらに1年生と2年生で体育を必修化します。仲間と協力して新しいスポーツ種目を考えるなど、内にこもりがちな今どきの若い人たちを強制的に仲間と接点を持たざるをえないような環境に連れ出し、リーダーシップとは、チームワークとはどういうものかを実体験してもらう仕掛けです。

また、俗にいう読み・書き・そろばん、と言われる基礎リテラシー、社会に出た時に使える基礎知識の育成を目指したリベラルアーツ教育も実践しています。さらにそうした能力を実際に発揮し、実践的に鍛えることのできる海外研修や海外インターンシップを充実させています。

いまご説明したような教育実践を永守以下教職員挙げて続けています。そんななか先日、おもしろい言葉を見つけました。日本経済新聞で連載中のコシノジュンコさんの「私の履歴書」からの引用です。

向う岸 見ているだけでは 渡れない

本学で土台をしっかり築いた学生が狭い日本を飛び出し、明日の日本を創生するため、積極果敢に向こう岸を目指し渡る勇気を持ってくれることを信じ、大学教育を進めてまいりますのでぜひ応援のほどよろしくお願いいたします。

(総合研究所 講師 上島誠司)

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