【バイオ環境学部授業紹介】好きなこと、トコトン!バイオサイエンス学科 専門実験 (分子生物学実験)

2019年08月29日トピックス

バイオサイエンス学科では、1年生から実験科目がスタート。2年生で本格的な専門実験に取り組み始め、専門実験を修得後に配属先の研究室での実験の日々。実験三昧の4年間を送れるのがバイオサイエンス学科の特徴です。

3年生の専門実験は週4日。これを1年間続け、バイオサイエンス領域の基礎的な実験手法や機器操作などのスキル、データ処理方法を習得します。この専門実験は、応用微生物学、分子生物学、食品・栄養科学、有機化学、植物バイオの5つの分野から構成されています。ここでは、分子生物学実験の紹介をしましょう。

分子生物学実験では目的遺伝子の複製、タンパク質の生産、精製、分析など、基礎的な分子生物学の手法を、入り口から出口までを順にたどることによって学びます。全ての実験が終了した後には、与えられた課題や実験結果をスライドにまとめて皆の前で発表し、互いに質疑応答・評価し合います。

今回は一例として、タンパク質の発現と精製についての実験について一連の流れでご紹介します。

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この実験はまず、目的遺伝子を使用可能な状態にすることから始まります。
初めに、PCR法によって蛍光タンパク質の設計図となるGFP遺伝子を増幅し、そのGFP遺伝子を制限酵素を用いて切断したプラスミド(環状のDNA)にライゲーション反応によって組込みました。(はさみとのりで切り貼りしたイメージをして下さい) 。このGFP遺伝子を組込んだプラスミドを大腸菌へ導入することにより、形質転換した大腸菌、つまり、本来は持っていないGFP遺伝子を持つ大腸菌を作りました。この大腸菌は、自身の体内でGFPタンパク質を生産することが出来ます。写真1はこの大腸菌を培養し、GFPの蛍光を観察した様子です。GFPは特定の波長の光を当てることにより、蛍光を発します。形質転換されていない大腸菌は蛍光を発しませんが、GFP遺伝子を導入した大腸菌は蛍光を発し、光っている様子が観察されました。

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次に、形質転換した大腸菌に生産させた、GFPタンパク質の精製を行いました。SDS-PAGE(電気泳動)法により、タンパク質の大きさで分離した後、タンパク質を染色して観察しました。写真2のMはタンパク質の大きさの指標となるマーカー、1~3は精製前のタンパク質、4は精製後のタンパク質を電気泳動法を使って分離したものです。赤丸部分がGFPタンパク質です。4の列は、1~3と比べると赤丸部分以外のタンパク質が染色されていません。このことから、不要なタンパク質が取り除かれ、目的のタンパク質(GFP)のみになっている(精製されている)ことがわかります。

以上のようにこの期間に分子生物学分野の基礎的な操作を経験することで、分子生物学の理解がより深まるだけでなく、多くの実験に対応できる技術と結果に対する考察の仕方が身についていきます。また、個人で課題に取り組むだけでなく、班単位でも課題に取り組むことで、コミュニケーション力なども高めることができます。

(実験事務室 菊池佑一・村上ゆい 教務センター 藤原幹)

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