「シリーズ特別講義B」~社会の第一線で活躍中の方のお話を聴く~13回目 「食で健康長寿に貢献するには」

2020年01月10日トピックス

「シリーズ特別講義B」は、バイオ環境学部3学科の2年生以上を対象に開講されている15回にわたるオムニバス講義です。

この授業は、産業界(食品、化粧品、医薬品等)あるいは研究機関の第一線で活躍されている方々からお話を伺うことで、今後社会人になる学生の皆さんのキャリアアップに繋げてもらうことを目的としています。

「食で健康長寿に貢献するには」

カゴメ株式会社イノベーション本部自然健康研究部長:菅沼大行先生

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第13回は、2019年12月24日(火)、機能性食品の研究・開発でご活躍中のカゴメ株式会社イノベーション本部自然健康研究部の菅沼大行部長に「食で健康長寿に貢献するには」と題してご講演して頂きました。

はじめにカゴメ株式会社についてご紹介頂いたあと、「平均寿命」と「健康寿命」の違いについて説明して頂きました。今後、超高齢化社会を迎えるにあたって「健康寿命」をいかに伸ばしていくかが問題と強調されていました。「健康寿命」を延ばすには、生活習慣の中でも食事、中でも(緑黄色)野菜の摂取が重要とのことでした。

厚生労働省で推奨している1日当たり350 gに対して、実際、日本人が摂取できている野菜は、たった288.2 gでしかないということを、野菜サラダの盛り付けをした写真でわかりやすく説明して頂きました。摂取できない理由にはいくつかあるそうですが、十分食べていると思い込んでいたり、どの食べたらいいのかわからないと言ったような個人的要因を取り除くことが効果的と説明されていました。

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次にご専門の食品の機能性について、これまでに行ってきた事例を含めてご紹介頂きました。まず、トマトに含まれるリコピンという物質が活性酸素除去作用を示し、実際に人に摂取してもらうと、紫外線による日焼けからの回復効果を高められるということでした。また、ブロッコリーに含まれる解毒作用のあるスルフォラファンという物質は、アルコールの代謝を早める効果があることも説明して頂きました。また、特定保健用食品と機能性表示食品の違いについて説明をして頂き、これらの食品を開発する際の難しさ等、ご苦労された秘話もお話し頂きました。

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最後に、今回持参していただいた、ドイツの会社との共同研究で開発された緑黄色野菜摂取量を測定する装置を学生が体験させていただきました。学生は、実際にこの装置で測定してみて、改めて緑黄色野菜の摂取不足を実感し、食生活を改善したいと話していました。

次回は、住友化学株式会社研究グループ(生物)主任研究員足立崇先生を講師にお招きして行います。

(バイオ環境学部 バイオサイエンス学科 教授 藤田裕之)

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