学生の採用を、永守理事長、経営者らに大学をPR

2020年01月14日トピックス

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永守重信理事長が2020年1月10日(金)、京都市内のみやこめっせで開かれた京都銀行などが主催する「新春経済講演会」で、京都府内を本拠とする企業経営者ら約4,000人に「全く生まれ変わった新生・京都先端科学大学の学生をぜひ採用してほしい。味見してもらうと、うちの学生の優秀さが分かってもらえる」と訴え、大学を大いにPRした。この講演会は京都銀行と京都総合経済研究所が主催する新春恒例の行事。例年取引先関係者ら3,000人ほどが参加するが、今回は「永守効果」のせいか、約4,000人が集まり、いつもの“永守節”に耳を傾けた。

「次世代を担う人材育成について」と題された講演の冒頭、「ぐだぐだいうけど、資金を貸してくれる京都銀行にはお世話になっている」と、理事長らしい表現で主催者である京都銀行を持ち上げ、会場をわかせ、一気に聴衆を引き込んだ。「今の大学教育は間違っている。そんな現状に、新たな大学改革を起こし、社会に役立つ即戦力を育てる全く新しい大学を創るという夢と理想を必ず実現してみせる」と決意を述べた。

講演終了後も質問が相次ぎ、「永守人気」を裏付け、予定の時間を大幅に超過して盛況のなか終了した。

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【永守理事長講演要旨】

今の大学教育は間違っている。東大、京大を出ていても英語はしゃべれないし、バランスシートも読めない。専門知識がない。採用しても即戦力にならず、企業で1、2年再教育しなければいけない。ブランド大学の学生は、受験勉強で暗記とテクニックを学んだだけだ。夜遅い電車の中で小中学生が塾の帰りなのか、勉強している。かわいそうに、遊びたい盛りのはずなのに疲れ切っている。だから、大学に入ったらもうこれで終わりとばかりに遊んで勉強しない。いまブランド大学に入ろうと思うと、塾や予備校に行かないといけないから親の年収が1,000万円はないと無理だ。これはおかしいでしょう。こうした偏差値教育とブランド主義を打破しようと思い、大学の理事長になったのです。

 私は28歳の時に、自宅の納屋を改造して日本電産を創業しました。以来47年、必死で働きました。いまでは世界43カ国、従業員14万人を抱えるモータ製造の世界最大企業に成長させました。

 そんな日本電産でこれまで国内だけで約8,000人の大卒者を採用してきました。その個々の能力を分析してみると、出身大学の偏差値やブランドなど仕事をするうえで何の関係もないことがわかった。びっくりしました。一番売れる製品を作ってくれる社員、一番製品を売ってくれる社員はブランド大学出身ではない。こうした結果を見て、いまの大学教育は間違っていると確信しているのです。もっと社会に出たときに役立つことを教えるべきで、そんな実践的な教育をする大学を創ろうと決意し、この大学の経営に乗り出しました。

英語はいまや世界共通語です。しゃべれないと仕事ができない。日本電産は、ポーランドやハンガリーにも拠点があるが、意思疎通は英語だ。英語ができなければ、世界的な競争に勝てない。なじみの寿司屋もマッサージ店も英語を勉強し、両方とも外国人客でいっぱい。いまや、こんな小さな店にも英語が必要な時代になっている。

だから、うちの大学は使える英語を学んでもらっている。複数形がどうだの、といった文法中心ではなく、まずしゃべれることが大事。そうすれば英語を学ぶことも楽しくなり英語好きになる。それから専門の英語を勉強していく。だれでも言葉が喋れるようになってから読み書きを学ぶ。本学に来てくれてまじめに頑張ったらTOIECで650点取れるようにします。そうなれば即戦力だ。

関関同立は2025年には抜いてみせる。偏差値ランキングには興味はないが、10年経てば世界大学ランキングで東大、京大に次ぐ位置に、2030年には京大を抜いてみせる。これは、はっきりと宣言しておきます。

だからぜひ本学の学生を採用してください。損はさせません。本学の学生は潜在能力がすごい。IQは持って生まれたもの。できる者とできない者はせいぜい5倍程度の差しかない。でもEQ、言ってみればやる気、熱意みたいなものは100倍ほどの差がある。私はEQの高い学生を採用し続けてきました。その結果が今の日本電産です。大学では、その潜在能力を発揮させる教育をやっています。今春には工学部も新設します。すべて英語で授業をします。教員30人を募集したら世界中から600人の応募があった。外国人、大学関係者、企業関係者がそれぞれ3分の1で、一流の人材を集めました。期待してください。

最後に、理事長になって2年。教育は楽しい。企業経営は儲けなくてはならないが、教育は儲けるのとは違う。若者を育てる、人材を育成することは夢がありやりがいがある。今まで説明してきたような、これまでと全然違う社会に役立つ即戦力を生み出す大学になっていますから、ぜひうちの学生を採ってください。一度採用して味見してみてください。絶対損はさせません。採用してもらったら必ず分かってもらえます。

【会場との主な質疑応答】

●良い学生を採用するには。

永守)眼光と顔の輝きを見る。EQが高いのはこの二つを見ればわかる。やる気、熱意が表れている。

 

●日本電産と取引をさせてもらっている。いつも仕事をするスピードについていけないが、どうすればいいか。

永守)うちのスピードが速いなんてとんでもない。中国は5倍速い。いま最大の敵は中国企業だ。早いうえに16時間働いて世界で勝とうと言っている。

 

●後継者を育成するには。

永守)トップの自信をしっかり示すこと。47年前、会社を創業したとき、社員3人を前に1時間45分にわたって訓示した。20年後には自社ビルを建てる、30年後には京都一高い本社ビルを建てる、40年後には売上高1兆円を達成するなど50年計画をぶちあげ、すべて実現した。こうしたトップの姿勢が社員を本気にさせる。社長が自信のない会社に後継者なんか生まれない。

 

●弁護士事務所の代表している。法学部をつくってくれないか。

永守)それはやらない。法学部はどこの大学にでもある。人のやったことはやらない。工学部もモータの技術者を養成する世界初の学部だからつくった。

(総合研究所 講師 上島誠司)

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