2020年2月20日、京都先端科学大学として初めてとなる博士論文公聴会を京都亀岡キャンパスにて開催しました。バイオ環境研究科バイオ環境専攻 森山太介氏が研究を発表しました。
論文は「コナダニ類由来炭化水およびギ酸エステルの生合成に関する研究」で、無気門亜目ダニ(コナダニ)の特徴的な炭化水素やギ酸エステルの合成酵素、生成経路に関する生物有機化学的研究の成果を発表しました。炭化水素は昆虫でも一般的に見つかる化合物群ですが、生合成の観点からコナダニと昆虫とでは異なる点が数多くみられるとの説明がありました。一方、ギ酸エステルは昆虫での同定例が乏しく、コナダニを特徴づける化合物群であり、その生合成に関する新たな知見の報告もありました。これらの成果は学術的な価値にとどまらず、害虫の新たな防除法の開発や酵素遺伝子を利用した有用物質生産に応用できる可能性を示すものです。
公聴会に続いて、修士論文の中間報告を行いました。
まず、環境情報研究室の平間元輝氏が『西の鯖街道の持続可能な取り組みに向けての研-見所ごとの地域愛着の変化に着目して-』というタイトルで中間報告を行いました。鯖街道とは、若狭湾に面した港から京都へ様々な物資を運ぶために用いられた街道の総称です。本研究は、一番西側に位置する「西の鯖街道」を研究対象として、地域住民や観光客が西の鯖街道のどこにどのような理由で地域愛着を感じているのかをアンケート調査法により明らかにすることを目的としています。これまでに、西の鯖街道協議会と連携して、トレイルマップの作成と見所の抽出を行っており、現在は、先行研究も参考にしながら、来年度に実施予定のアンケート調査の内容について検討しているとの報告でした。
食品機能学研究室の松本悠氏は『ブルーベリー葉抽出物の高血糖改善作用』について中間報告を行いました。食品の機能として体の調子を整える生体調節機能が注目されています。α-アミラーゼは、食事から摂取したでんぷんなどの炭水化物を分解する酵素で、これを阻害することで血糖値の上昇を抑制し、生活習慣病を改善することが期待されます。今回は、あまり利用されていないブルーベリーの葉が強力にα-アミラーゼを阻害することを見出し、その活性成分の単離・同定についての報告がありました。α-アミラーゼを阻害する2つの化合物が新たに特定できたので、今後は、他の活性成分の検討に加えて、実際にブルーベリー葉が血糖値の上昇を抑制するか動物実験で明らかにするとのことでした。
(バイオ環境研究科 准教授 清水伸泰)
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