【経済学研究科ニュース】大学院経済学研究科の修士論文中間報告会が開催されました

2020年12月11日トピックス

11月7日(土)10:30より、太秦キャンパス西館にて、本年度修了予定の大学院生6名による修士論文の中間報告会が行われました。この報告会は、今年度修了予定者が作成中の論文に大学院担当教員等からコメント等を受け、修士論文レベルの維持・向上を図ることを目的として開催されているものです。

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 第一報告は今村さんによる「不良債権処理を巡る税務上の諸問題」の報告で、部分貸倒損失等の税務上の取り扱いについての論文サーベイおよび判例研究を行い、今後のあり方を検討した由が発表されました。コメントとしては、体裁を整える必要性も指摘されましたが、全体としては良い評価を得ました。

 第二報告は、子谷沙代さんによる「人的役務提供に係る所得区分のあり方」の報告で、働き方改革が進む現状において、人的役務提供に係る所得区分判断基準について、従来の判例に基づくことが妥当であるかを検討し、今後の所得区分のあり方を議論した由が発表されました。コメントとしては、サーベイ内容も論理展開も明確でこのまま最終とりまとめに入っても問題ないとの評価を得ました。

 第三報告は、村田春樹さんによる「財産評価基本通達によらない取引相場のない株式の評価について」の報告で、相続に係る取引相場のない株式評価に当たっての評価通達・総則6項の「特別の事情」の適用基準・適用方法を検証し、その問題点を指摘した由が発表されました。コメントしては、判例研究は評価でき、最終章の議論も明確化されたので、最終とりまとめに傾注するよう指示されました。

 第四報告は、山田大輝さんによる「法人税法における公益法人等の収益事業課税についての一考察」の報告で、非営利活動を行う法人の公益性に基づいて収益事業該当性の判断が行われていることに着目し、請負事業該当性を巡る判例を整理・検討し、現行法上妥当とされる判断基準について議論した由が発表されました。コメントとしては、判例研究・学説サーベイは十分評価できること、最後の第4章の文章化に励むことが指摘されました

 第五報告は、浅田博孝さんによる「同族会社の行為計算否認についての一考察」と題した報告で、否認規定の適用による二重課税問題と対応調整の必要性についての検討し、今後の課税のあり方を指摘した由が発表されました。コメントとしては、判例研究だけでなく学説サーベイをもう少し加える必要性、および論旨の明確化も必要との指摘がありました。

 第六報告は、坪内純さんによる「交際費等に係る課税要件の再検討」と題した報告で、判例研究・学説サーベイを踏まえて、税法上の規定の不確定さを指摘した由が報告されました。コメントとしては、論文材料はある程度整っているので、今後の努力を期待する由の指摘がありました。

 各発表に対して、大学院担当教員等から、論文取り纏めに必要な追加的な作業、あるいは論理構成も含む修正必要箇所の指摘もなされました。報告者にとっては、論文取り纏めに向けて、重要なアドバイスが得られた貴重な時間となる中間報告会となりました。   

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今村さん

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山田大輝さん

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子谷沙代さん

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村田春樹さん

(経済経営学部 経済学科 特任教授 跡田 直澄)

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