前田奎講師が全国大学体育連合第10回大学体育スポーツ研究フォーラムの優秀発表賞を受賞【SLS】

2022年11月11日トピックス

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健康医療学部の前田奎(まえだ けい)講師が、2022年3月3日(木)にオンラインで開催された全国大学体育連合(大体連)の研究フォーラムで行った研究発表で、優秀発表賞を受賞しました。発表タイトルは「スポーツ実技授業前後の社会人基礎力の変化:コロナ禍における受講生の運動習慣に着目して」です。

今回の前田講師の発表は、本学の学生が2年間履修するSLS(スポーツ・ライフスキル)の授業を対象とした研究の一部です。対面授業が部分的に再開された 2020 年度秋学期の授業前後における受講生の社会人基礎力の変化について(受講生の運動習慣に着目しながら)明らかにしました。調査では、全履修者を対象に、初回の対面授業時と15回目の授業の後の2度実施したアンケート結果を用いて分析しました。分析の結果、社会人基礎力の12の要素のうち、規律性を除くすべての要素が、授業前よりも授業後で有意に高値であったことがわかりました。さらに、履修者の運動習慣の違いに着目して細かく分析すると、「実行力」に関しては、授業前と授業後の両方でA群(週2回以上運動を実施)がB群(週1回運動を実施)およびC群(運動を実施せず)よりも有意に高値であり、授業後ではB群がC群よりも有意に高値でした。これらのことから、運動習慣を有することが「実行力」の向上に影響を与えていることが示唆されました。

今回の研究発表は、大学体育スポーツへの貢献度(重要性、新規性)、プレゼンテーションおよび質疑応答の質が評価されての受賞となりました。

前田先生に聞きました

Q社会人基礎力とは何ですか?

 社会人基礎力は、2006年に経済産業省が提唱した「職場や地域社会で多様な人々とともに仕事をする上で必要な基礎的な能力」です。2017年には、「人生100年時代」や「第四次産業革命」を考慮した「人生100年時代の社会人基礎力」が定義されています。

Q今回の研究ではどんな発見がありましたか?

 記事にも書いていただきましたが、運動習慣を有することが「実行力」(目的を設定し確実に行動する力)の向上に影響を与えていることです。また、遠隔授業のみであった2020年度春学期には、一部の要素のみが向上しましたが、今回報告した結果ではほとんどの要素が向上していました。このことは対面授業の重要性を示唆していると考えています。

Q研究の観点から見て、本学のSLSプログラムにはどんな特色がありますか?

 2年間必修であること、国際社会人基礎力・ライフスキルの向上を目標に、各セメスターで身につけたい能力を設定して、授業に取り組んでいるところだと考えています。

Q今回の研究結果から、学生のみなさんにとって参考になる点を教えてください。

 SLSの授業を受講することによって、社会人基礎力を向上させることができることができると研究成果からも明らかになったことは、皆さんに取ってプラスになると考えられます(もちろんSLSの受講以外の要因による影響も受けていますが)。

また、SLSの授業以外でも、運動・スポーツする習慣を身につけることで、社会人基礎力をより向上させることができるかもしれません。簡単なウォーキングなどでいいので、できる範囲で実施してみてはいかがでしょうか?

Q研究の今後の展望を教えてください。

 今後は、SLSⅠからⅣまでの2年間の受講を通じた社会人基礎力の変化や選択した種目・学年間での違いなど、様々な観点からSLSの効果について検証していく予定です。

今回分析に使用したのと同様のアンケートは、2020年春学期以降の6セメスターに渡って実施されており、論文も発表されています。これらは、SLSの授業実践の貴重な参考資料にもなっており、今後の研究のさらなる発展が期待されます。

(健康医療学部嘱託講師 鈴木楓太)

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