経済経営学部の学生が地元企業とコラボ 正課授業「実践プロジェクトⅡ」がスタート

2022年11月29日トピックス

2022年度の秋学期より、本学の経済経営学部経営学科では正課授業「実践プロジェクトⅡ」をスタートさせました。この授業は学生と地域の企業との接点づくりを目指し、京都府下90社以上が参加する京都機械金属中小企業青年連絡会(以下、「機青連」)と連携。およそ2年に及ぶ本学と機青連との検討の結果、今回の取り組みに結実しました。

経営学科の鈴木貴之講師による全15回の授業の中で、最初の3回は機青連代表幹事である協和精工株式会社を取り上げました。同社の山下正起専務取締役による講義では、同社の直面する課題を学生に提示。多品種少量生産、環境に優しい機械化された作業場でも、新卒採用に苦戦している状況が共有されました。学生からは、SNS等による情報発信や(硬いイメージの払しょくを狙った)社名の変更など多くの意見が出され、山下専務は「会社名に若者が引っかかっていることを初めて知った。情報発信については学生と一緒に見せ方を検討していきたい」と述べられました。

山下専務は、同社が持つ多様な加工技術とオーダーメード加工を活かした新ブランド「Teyney」の展開についても紹介。新ブランドの立ち上げから現状までの説明後、学生たちは商品の販路拡大をテーマにグループディスカッションに移りました。グループディスカッションでは、既存のB to B事業だけではなくB to C事業への展開案が呈されるとともに、価格を抑えた若者向けの文房具や、他企業とのコラボ、海外展開による販路拡大なども提案されました。

機青連からは協和精工株式会社のほか、有限会社荒木製作所、エースメタル株式会社、株式会社辻製作所も参加。協和精工株式会社の抱えている様々な課題の中で、特にホームページの見せ方やSNSの活用について学生と機青連加盟企業との議論が白熱しました。

学生にとっては、地元の企業がどのような想いで事業を展開しているのか体感できると同時に、自分たちの考えを相手に正しく伝えるコミュニケーション力を磨く場となったことでしょう。実際の企業・事業活動に接する貴重な機会となりました。今後「実践プロジェクトⅡ」では、学生有志と機青連企業とのコラボ展開を検討しいくほか、今回の授業での学びを製造業の活性化策のシナリオ・プランニングにつなげてまいります。

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鈴木貴之先生による趣旨説明

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山下正起代表幹事の説明

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授業前の打合せ

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Teyney商品の紹介

〇学生の声

経済経営学部2年生 辻尾 太一さん
話を聞くまでは、製造業と聞くと、堅苦しく、古い体質のイメージを持っていました。しかし、実際に話を聞いてみると、未来に向けて会社を存続させていくために、自社ブランドの立ち上げなどさまざまな取り組みを実施されていることが分かりました。協和精工様の想いなどを聞いて、その想いに沿うような提案をすることを心掛けました。また、リソース(ヒト・モノ・カネ)が限られており、その中でやりくりする必要があるといった中小零細企業特有の悩みを知ることができたので、今後は、リソースを増やしていく方法などを考えていきたいと思いました。

経済経営学部2年生 松田 優輝さん
初めに製造業と聞いた時、つなぎの服を着た男の人たちが、煤(すす)だらけで力仕事をしているというイメージを持っていました。しかし、協和精工様の話を聞いてみると、とてもきれいな環境で、コンピューターを駆使した仕事をされていて、製造業に対するイメージが大きく変わりました。多品種少量生産という自社の強みに自信を持ち、仕事に向き合われている姿を見て、素敵な仕事だと思いました。今回、いくつかの案を考えさせていただく機会がありましたが、企業のリソースや作業効率などを知らない状態だったので、的確な答えに繋げるのは、とても難しいと感じました。また機会があれば、企業の詳細について知った上で、もう一度挑戦してみたいと思いました。

経済経営学部2年生 長田 崇人さん
中小零細の製造業と聞くと、大手企業の下請けで部品を製造しているというイメージがありました。しかし、実際に話を聞いてみると優れた技術力を持って造られた部品が、航空業界や医療業界などさまざまな業界で活躍し、世の中を支えているということがわかりました。また、協和精工様では自社ブランドの開発など新たな取り組みにも挑戦されているということで私たちも力になりたいと思いアイデアを考えました。今回の経験から今まで興味のなかった業界について学ぶことができ、社会に出た際にも活かすことができるスキルを身につけることができたように思います。

〇指導教員 経済経営学部 鈴木貴之先生

通常の授業では、仮想企業の戦略の立案や過去の事例の分析及び考察を実施することが多いと思います。しかし、本授業では、実際に企業が直面している課題に学生が取り組むという点に価値があります。この経験を通して、学生の皆さんは、企業において、どのような課題が存在し、何に困っているかを知ることができたと思います。

事前に、現在の製造業が置かれている状況などは説明しましたが、提案に至るまでのプロセスは学生が主体となり、学生視点での興味深いアイデアを提案してくれました。また、提案後のディスカッションも活発に行われ、機青連様からの質問などに対しても、自分達で考えて的確に回答していました。

今回、SNSを活用した自社ブランドの知名度及び販路拡大のための取組について学生が提案してくれました。今後の展開としては、提案だけでなく、学生が実施するところまでできればなと思います。その際、授業で学習した理論や方法論を企業における課題解決に適用し、理論と実践の習得を目指していきたいです。

〇京都機械金属中小企業青年連絡会

山下正起 代表幹事(協和精工株式会社)
長年製造業に携わっていると当たり前になってしまった部分を、学生の皆さんの新たな視点で様々なご意見を頂くことができて非常に有意義でした。
授業の中でも出てきましたが、SNSの活用については十分にはできておらず、学生の皆さんとコラボした取り組みができればと思います。

小島鉄平 切削部会部会長(エースメタル株式会社)
製造業に対するイメージなどを知ることができてよかったです。互いに理解を深めることができて有意義な時間を過ごすことができました。次回は工場見学などもしていきたいと思います。

(研究・連携支援センター 柴田雅光)

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