京都先端科学大学

京都先端科学大学

Faculty member教員

河田 尚之Naoyuki Kawada

学部・学科
バイオ環境学部 食農学科 
コース・研究室
食資源コース 農業生産学研究室 
職名
教授

受け持ち講義のポイント

1回生が学ぶ最初の授業は作物栽培実習で、夏野菜を実習圃場に栽培し実物に触れながら、農作物の種類や品種、栽培方法や利用・加工についての基礎知識と農作物の生産を体験します。秋学期に始まる講義は「日本の農業」で、農耕の起源に始まり、農業の歴史や戦後の日本の農業政策の概要をお話します。また、土地利用型農業、園芸農業、畜産・飼料作や環境保全型農業について、現状と問題点について講義を行います。さらに、明治以降の日本の農業研究と技術開発を学び、日本の農業が直面する課題である、生産性、食料、環境などの現状とそれらの課題の解決に向けた技術を紹介し、今後の日本の農業と食を展望します。

専門教科の講義に先立ち、食農学科2回生の必修科目である食農基礎実験では、実験の心得に始まり、実験ノートやレポートの書き方、実験器具の基礎操作、顕微鏡の取扱、微生物の取扱、統計の基礎など、実験を行うための基本的事項を、生物学、化学、農学、微生物学の実験を通じて学びます。また、3回生で受講する作物学実験では、イネやダイズなど実験材料の栽培方法、作物の減数分裂や遺伝形質の分離、作物の成長解析や生育調査、作物の各種成分の定量や土壌分析、植物病害の診断や病原の培養、作物共生微生物の観察など、実験を通して作物とその生産環境の特性把握や作物研究に必要な分析手法を学びます。

3回生になると本格的な専門教科の講義となり、遺伝育種学では、まず初めに品種改良の基礎となる遺伝学について、メンデル遺伝学から分子遺伝学までを学びます。その後、作物の栽培化や起源、品種改良の歴史、育種の基礎原理と主要な農作物の育種法を学び、多収性や病害抵抗性、品質や成分など育種の成果を解説します。さらに、ゲノム解析とDNAマーカーを利用した育種や、遺伝子組み換えなど最新の育種技術について解説します。

また、4回生では植物病害、害虫や雑草などを扱う作物保護学の講義があり、病害虫防除の基礎となる植物病原菌、害虫や雑草の種類や生態について解説します。各論として作物の主要な病害虫に対する抵抗性と化学的・耕種的防除技術を紹介します。また、雑草の管理技術、温度、水や栄養塩類の過不足などの非生物的環境ストレスに対する農作物の耐性と環境ストレスを受けない栽培技術について学び、農作物の生産安定と品質維持には、病害虫や雑草の防除、非生物的環境ストレスに対する対策が不可欠であることを理解します。

これらの作物生産や育種などに興味のある学生は、2回生の実践プロジェクトで実際にフィールドや実験室において、作物生産や農産物加工の研究方法や技術を身につけます。さらにこの分野で研究を行いたい学生は、4回生で農業生産学研究室の専攻演習とゼミを選択し、卒業論文を書きバイオ環境学部を卒業することとなります。

学位 農学修士
所属学会 日本育種学会、米国作物学会(CSSA)
専門分野 育種学、植物遺伝学
略歴 1981年 岡山大学大学院農学研究科修了
1981年 農林水産省・九州農業試験場 研究員
1990年 農林水産省・九州農業試験場 主任研究官
1991年 農林水産省・農林水産技術会議事務局 研究調査官、研究調整官
1994年 栃木県農業試験場栃木分場 ビール麦育種部長(農林水産省・指定試験地 主任)
1999年 農林水産省・農業研究センター 大麦育種研究室長
2001年 (独)農業技術研究機構・作物研究所 大麦育種研究室長
2003年 (独)農業技術研究機構・九州沖縄農業研究センター 上席研究官
2011年 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 九州沖縄農業研究センター 上席研究員
2015年 京都学園大学 バイオ環境学部 教授
担当科目 日本の農業、遺伝育種学、作物保護学、
食農基礎実験、作物学実験、作物栽培実習、京野菜栽培加工実習
研究内容・研究分野・業績 私は、1981年より30数年間にわたり農林水産省の試験研究機関で麦類、特に大麦の品種改良に携わってきました。大麦はビール醸造の原料や家畜の飼料として利用されますが、日本ではビール醸造に加え麦焼酎の原料として、また、麦飯などの食用や麦茶の原料としても利用されています。

育種研究を始めて最初に取り組んだ課題は、1980年代に日本の大麦生産地帯に蔓延していた土壌伝染性ウイルス病(オオムギ縞萎縮病)に対する抵抗性育種でした。幸いなことに、日本の在来品種などにこのウイルス病に強い品種が多数あることが分かり、抵抗性遺伝子を明らかにするとともに、このウイルス病に抵抗性の麦焼酎醸造用多収品種の「ニシノチカラ」などを育成しました。その後、農林水産省の農林水産技術会議事務局で研究コーディネーターの仕事を行い、1994年から5年間は栃木県農業試験場でビール大麦の育種主任として、ビール醸造用大麦品種の育種を行いました。栃木県で育成したビール大麦の「サチホゴールデン」は、病害に強く早生・多収で、ビールの醸造品質は世界トップクラスにあり、日本の大麦栽培面積シェアー1位の品種として普及しています。その後は、九州の研究機関で極多収の大麦品種やパン用小麦品種などの育種を行いました。また、近年世界的に問題となっている、かび毒を生産し麦類を汚染する赤かび病に対する抵抗性育種研究を行い、大麦の赤かび病に対する抵抗性機作を明らかにしました。

最近取り組んでいる研究課題は、機能性を持った大麦品種の開発や、機能性食品や醸造など穀類の加工利用と新規用途の開発です。穀類の中でエン麦と大麦は、可食部に水溶性食物繊維のβーグルカンを豊富に含むことが知られており、肥満、高血圧や糖尿病などの生活習慣病の予防に対し明かな効果が証明されています。昨年、栽培性が優れ、一般的な大麦品種に比べ1.5倍から2倍程度のβーグルカンを含む品種を育成しました。この新品種は、麦ご飯などの従来からの用途だけでは無く、麦芽に加工し糖化した麦汁を煮詰めればβーグルカンを含む水飴になります.大麦粉にすればパンやパスタなどの原料として利用可能で、新品種を健康機能性に優れた食材として利用する研究を進めています。
お問い合わせ

kawada.naoyuki@kuas.ac.jp

メッセージ

今の世の中は若者が目標を持ちづらい時代と言われますが、何時の時代でも若者は悩み多き世代だと思います。良き友を見つけ、よく遊び論議し、何よりも本をたくさん読んでください。京都学園大学バイオ環境学部は、日本の芸術や食文化の1つの中心である京都市の隣にあります.また、京都は京セラや日本電産などのハイテク産業が生まれた街でもあります。これらの伝統文化や先進文化から刺激を受け、学生の本分である勉強と読書を京都学園大学で身につけ、目標を持って一生懸命打ち込めば、人生の目標や夢も見えてくるでしょう。

ギャラリー