研究テーマ
社会・組織の課題を集団心理学の知見を用いて解決しませんか?
研究のポイント
本研究室では多様なテーマを扱っていますが、その一つとして、人の集団に認められる特徴的な現象を、基礎的な心理学の知見を用いて明らかにするという目標があります。
人間には「他の人もやっている」と捉えると、規範を逸脱した行為でも良心の呵責なく行う傾向があります。例えば、路上の違法駐輪は、自転車が1台も無い所には増えませんが、2・3台止まっているとあっという間にその数が増えます。いじめやハラスメントにおいても、傍観者の数が多いと、傍観者に罪悪感が生じづらくなることも同じ原理で説明することができます。
また、人間には、上の立場の人に指示されると「組織のため」「指示に従っただけ」などと理由をつけて、個人ではまず行わないような規範逸脱行為に手を染める傾向もあります。組織的な圧力による、公的文書の改竄や、不適切会計の例は、ここに取り上げて説明するまでもないでしょう。
上記の様な人間の行動傾向は、ハラスメントを含む迷惑行為の助長、企業不祥事などの原因となりうるものです。そして社会心理学の知見が示しているのは、このような傾向は、(例えば心が弱い人など)一部の人にではなく、ごく一般的にみとめられるということです。すなわち、同じ環境に置かれると、多くの人が同様のことをするという事実です。ですから、迷惑行為や不祥事を防ぐためには、人間の意志に訴えるだけでなく、環境を整えることが大切となるわけです。本研究室では、このような傾向がなぜ生じるのか、どうすれば低減できるのかについて関心をもって研究を進めてまいりました。将来、これらの知見を用いて、より良い社会・組織づくりに貢献することが私たちの目標です。
期待すること
上記以外にも、「なぜ部門間は協力しないのか」「なぜ新しい制度は根付かないのか」といった職場でよく目にする問題も結局は「人間」の問題であり、ここでも集団心理学の知見が有効です。現地で行う調査などはもちろんのこと、キャンパス内の実験室・行動観察室などを利用することも可能です。人の行為に関する疑問や困りごとをお持ちの方、一度お気軽にご相談ください。