「シリーズ特別講義B」~社会の第一線で活躍中の方のお話しを聴く~「リパーゼと油脂加工」(地独)大阪産業技術研究所/生物・生活材料研究部/脂質工学研究室長 :永尾寿浩先生

2018年10月12日トピックス

「シリーズ特別講義B」はバイオ環境学部3学科の2年生以上に開講されている科目で、今後社会人になるためのキャリアアップに繋げるための15回にわたるオムニバス講義です。この授業では、産業界(食品、化粧品、医薬品、等)あるいは研究機関で第一線でご活躍されている方を講師に招きし、講演して頂いています。

「リパーゼと油脂加工」

(地独)大阪産業技術研究所/生物・生活材料研究部

脂質工学研究室長:永尾寿浩先生

20181012_BioB_3th01.jpg

第3回は、研究機関でご活躍の(地独)大阪産業技術研究所で脂質工学についてご研究されている、永尾寿浩先生に「リパーゼと油脂加工」と題してご講演して頂きました。

まず、大阪産業技術研究所についてご紹介頂き、企業技術の支援のために作られた大阪府の研究所で、研究所の部門としては、生物・生活材料研究部の他に、有機材料、電子材料、等の研究部門があり、さらに生物・生活材料研究部の中にも6つの研究室があって、それぞれ特徴的な研究をされ、いろいろな企業と共同研究をしているとのことでした。

20181012_BioB_3th02.jpg

次に、脂質の基礎知識について説明をして頂きました。油と脂の違いと言ったことから、これに含まれる脂肪酸の種類と言ったことまで詳細にご説明して頂きました。特に、最近話題になっている、魚由来の機能性脂質である、EPAやDHAについては、中性脂肪低下作用の他に、目や記憶力向上にもいい効果があるとのことでした。

本題の脂肪分解酵素であるリパーゼについては、食品用途としてココアバターの代替油脂の製造や製パン時の加工助剤として使われているだけではなく、医薬品の消化薬としても使用されたり、さらに身近なところでは家庭用洗濯洗剤等、幅広く使用されているとのことでした。特に、ココアバター代替油脂の製造に使われていると言うことから発展して、チョコレートの製造についてもお話をして頂きました。特に、カカオ豆から原料のカカオマスやココアバターを作る際には、カカオ豆を木箱やバナナの皮を使って発酵して作るということから、実はチョコレートは発酵食品であると言う興味深いお話しも聴くことができました。

20181012_BioB_3th03.jpg

講義終了後、永尾先生からカカオ豆や貴重なカカオ豆から作られたチョコレートの実物を紹介して頂き、学生も実際に目に触れることで単に座学で学ぶのとは違って、リパーゼという酵素を大変身近に感じ、理解を深めることができたようです。

次回は、香椎化学工業株式会社カシーテクニカルセンター開発部長の西谷郁雄先生を講師にお招きして行います。

(バイオ環境学部 バイオサイエンス学科 教授 藤田裕之)

前の記事へ

次の記事へ

一覧へ戻る

このページの先頭へ