「シリーズ特別講義B」 ~社会の第一線で活躍中の方のお話を聴く~「トマトに秘められた機能性を探る」カゴメ株式会社イノベーション本部 自然健康研究部長:菅沼大行先生

2018年10月25日トピックス

「シリーズ特別講義B」は、バイオ環境学部3学科の2年生以上を対象に開講されている15回にわたるオムニバス講義です。
この授業は、産業界(食品、化粧品、医薬品等)あるいは研究機関の第一線で活躍されている方々からお話を伺うことで、今後社会人になる学生の皆さんのキャリアアップに繋げてもらうことを目的としています。

「トマトに秘められた機能性を探る」

カゴメ株式会社イノベーション本部 自然健康研究部長:菅沼大行先生

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第3回は、機能性食品の研究・開発でご活躍のカゴメ株式会社イノベーション本部、自然健康研究部長の菅沼大行先生に「トマトに秘められた機能性を探る」と題してご講演して頂きました。

まず、簡単にカゴメ株式会社の会社についてご紹介頂いたあと、「平均寿命」と「健康寿命」の違いについて説明して頂き、今後超高齢化社会を迎えるにあたって「健康寿命」をいかに伸ばしていくかが問題、と強調されていました。これを行うには、栄養のバランス、特に(緑黄色)野菜の摂取も重要とのことでした。

それでは、実際にどの程度野菜を摂取しているかについては、厚生労働省で推奨している、1日当たり350 gに対して288.2 gしか摂取できていないこと、これを実際に野菜サラダの盛り付けをした写真でわかりやすく説明して頂きました。このように摂取できない理由には、生理的、感情的、個人的、環境的の4つの要因があるとのことで、これらの要因をどのようにしたら除いて野菜の摂取量を増やせるか、と言う課題も頂きました。

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次にご専門の食品の機能性について、これまでに行ってきた事例を含めてご説明して頂きました。まず、トマトに含まれるリコピンという物質が活性酸素除去作用を示し、実際に人に摂取してもらうと、紫外線による日焼けからの回復効果を高められるということでした。また、ブロッコリーに含まれる解毒作用のあるスルフォラファンという物質は、アルコールの代謝を早める効果があることや、ラブレ菌という乳酸菌が免疫力を高めてインフルエンザにかかりにくくすると言うことも説明して頂きました。

最後に、特定保健用食品と機能性表示食品の違いについて説明をして頂き、これらの食品を開発する際の難しさ等、ご苦労された秘話も含めてお話しをして頂きました。

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学生も野菜を十分摂取できていないことはわかっているようでしたが、改めてその重要性を再認識したようでした。

(バイオ環境学部 バイオサイエンス学科 教授 藤田裕之)

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