バイオ環境学部 食農学科

Department of Agriculture and Food Technology
バイオ環境学部

環境問題や資源・エネルギー問題の本質的な解決を図るため、バイオサイエンス分野の先端研究の成果や技術を生かし、地域のなかで「人とともに多様な生き物が共生できる環境(バイオ環境という)」を実現することを教育研究の目的とする。

食農学科
環境に配慮し、地域の特長を生かした農産物の生産や安全な食品の加工技術の習得を教育目的とする。学生は農産物の栽培育種、食品加工、発酵・醸造、食品の栄養価や安全性をバイオの知識と共に講義や実習を通じて学び、地域の活性化に貢献できる食と農の専門家を目指す。
バイオ環境学部 食農学科4年生 石川裕登さん

次世代の高校生に
農業を伝えたい。

バイオ環境学部 食農学科
石川 裕登さん
奈良県立磯城野高等学校出身
Interview私の先端

自らの手で作物を育てる
実践的な農業を学ぶ

私は農業高校出身で、植物の性質を人類に役立てる植物バイオテクノロジーを学んでいました。実をいうと当初はさほど農業への関心が高いわけではなかったのですが、農業を学ぶ高校生が知識や技術を競い合う日本学校農業クラブの全国大会に出場するなど、さまざまな体験を経て農業をさらに追究したいと思うようになりました。
とはいえ本来、高校時代に学習したことを活かすなら、大学でもバイオサイエンス系の学科に進学するのが順当です。しかし、私は研究室で行う細胞レベルの農業ではなく、実際に畑に出て育種や生産性に関わる農業を学びたいと考えました。さらには作物に手を加えて新たな特産品を生み出すような食品加工にも興味がありました。その意味で、京都先端科学大学の食農学科はまさに私が求めていた学びが得られる環境だったのです。また、将来は農業科の高校教員になりたいという夢があり、ただでさえ関西には数少ない農業系の学科の中で、教員免許を取得できる点でもここしかないと思いました。
自らの手で作物を育てる実践的な農業を学ぶ

苦手な英語を克服し
視野が広がった

入学時から英語には苦手意識がありました。なんとか遅れを取るまいと必死に授業にしがみついていましたが、結局、単位を2回落として4年生の秋学期まで履修することに。でも、私のように英語が苦手な学生には、夏休みを利用して特別授業を開いてくださるなど手厚いサポートがありました。正課の授業で少し難しく感じたところもとても分かりやすく教えていただきましたし、それでも理解しづらいところは英語サポートデスクの先生に相談することができました。英語サポートデスクでは、気軽に参考書を買えない学生の懐事情に配慮して、スマホでできる無料の英語学習アプリを教えていただきました。「1日30分でもいいからやってみて」という言葉を胸に刻み、日常生活の中でもハッと思い出してはスキマ時間にアプリを開いていたところ、TOEIC®L&Rのスコアを150点も伸ばすことができました。
ちなみに私はバイクが好きで二輪部に所属していて、同じクラブ内のブラジル人留学生とも英語を介して意思疎通できるようになりました。授業で学んだ英語が実生活で活かされたのがとても嬉しく、「海外の人との交流ってこんなにも楽しいんだ!」と気づくことができました。
苦手な英語を克服し視野が広がった

教育実習で一度は
心が折れかけるも初志を貫く

その一方で当初少し戸惑いを感じていたのが、キャリア教育です。「教員を志望している私に必要なんだろうか」との疑問があったからです。でも、その時点では教員になれる保証はなかったですし、人生の選択肢を増やす意味でも一般企業への就職も視野に入れるべきだと考えました。結果的に企業研究を通して農業業界にまつわる知識をアップデートできましたし、志望度の高かった農業系の民間組織から内定をいただくことができました。
その結果、私の気持ちは揺れに揺れました。教員の夢を貫くか、一般企業で働くか。いずれにも魅力を感じる一方で、教職課程の一環として母校で体験した教育実習で人に教える難しさをひしひしと実感したこともあり、一般企業への就職が魅力的なものに思えてきたのです。そんな私に母校の先生は、「みんな最初はうまくいかない。やって慣れるしかないんだよ。今からやってできることもあるけれど、教壇に立ってから身につくこともあるんだよ」と励ましてくださいました。考えてみれば今の時代、40年間同じところに勤める人も少ないですし、「まずは夢だった教員の仕事をとことんやってみて、どうしても限界を感じたらまた次を考えよう」と気持ちを整理することができました。最終的に地元の奈良県で農業科の教員として採用が決定し、入学当初から持ち続けた夢を追う形になりました。
4年間を振り返ると、学業面での成果はもちろん、研究活動やクラブ活動を通じてたくさんの友人にも恵まれた実りある学生生活でした。この充実感を胸に、自信を持って社会で活躍していきたいです。
教育実習で一度は心が折れかけるも初志を貫く
バイオ環境学部 食農学科4年生 後藤明日香さん

「食」を通じて、
喜びを届けたい。

バイオ環境学部 食農学科
後藤 明日香さん
大阪府立登美丘高等学校出身
Interview私の先端

オープンキャンパスで感じた
先生と学生との信頼関係

大学の学部選びのベースとなったのが、高校時代一番興味のあった教科が「生物」だったこと、その中でも、食べることが大好きで「食品」に関連する分野を学びたいという思いでした。そこで、地元関西で該当する学部がある大学のオープンキャンパスに順番に参加していきました。他大学の農学系や栄養学系の学部と違い、京都先端科学大学の食農学科では「食」と「農」の両方を学べると聞き、「私にはここしかない!」と確信しました。1、2年生で幅広く学び、「将来、何をしたいのか」をしっかり考えてから専門分野を選べる点に魅力を感じたからです。
それに、オープンキャンパスで先生と先輩学生がやりとりされる様子を目にして、「信頼関係があって楽しそう!」と感じました。私の質問にも親身に答えていただき、もう一度オープンキャンパスに参加した時にも皆さん私のことを覚えてくださっていたんです!私は人と話すのが好きだし、先生や先輩、同級生とたくさんつながりを持って、気軽に質問や相談をしながら学びたかったので、この時の印象が大きな決め手になりました。熱心に対応してくださった藤井康代先生には、入学後3年生まで担任の先生としてお世話になることに。今思うとまさに運命の出会いでした。
オープンキャンパスで感じた先生と学生との信頼関係

「食」と「農」を学ぶ中で、
見出した将来の目標

大学では「食」と「農」に関わるさまざまな実験や「京野菜栽培加工実習」などの実習が特に楽しく、またその中で「食品加工を追究したい」という方向性も定まっていきました。
コロナ禍になり対面での実習ができなくなるなど残念な思いもしたのですが、一方で思いがけない展開も。自宅生活が増えて、日本酒にハマっちゃったんです(笑)。ほかにも京都の漬物を色々食べてみたり、自分でもぬか漬けを作ったり。「発酵食品って美味しいなぁ」「作る人によってなぜ味が変わるの?」と興味が増して、4年生からは発酵醸造学の研究室で漬物における植物性乳酸菌のはたらきを研究しました。
同じく3年生のインターンシップ科目では、2週間、発酵食品の製造販売と飲食事業を展開する会社で就業を経験。さらに、インターンシップセンターから紹介を受け、発酵飲料を販売する会社で3カ月間のインターンシップにチャレンジしました。2つの会社で業務に幅広く関わり、社員の方々から仕事の経験談を聞く中で、「将来は商品の企画開発がしたい」と考えるように。消費者に近い立場で、自らが開発した商品を食べて喜んでもらえることが、自分にとって最もやりがいを感じられると確信できたからです。
そのため、就職活動は食品メーカーに絞って進めました。志望動機が明確だったことと、研究室やキャリア教育科目の先生に自己分析や履歴書の書き方について何度も相談に乗っていただいたおかげで、複数の会社から内定をいただくことができました。
「食」と「農」を学ぶ中で、見出した将来の目標

オープンキャンパスの
学生スタッフのリーダーとして

学業以外に打ち込んだのが、オープンキャンパスの学生スタッフの活動です。私が受験前にオープンキャンパスに来た時に気さくに話しかけてくださった先輩から誘いを受け、迷わず参加。1年生から4年間、年間6回程度の開催に合わせて準備から当日の受付、誘導、質問への対応など運営全般に携わりました。3年生の時には学部のリーダーを務め、コロナ禍での運営方法を考えたり、直前の実施条件の変更に対応したりと悩む場面も多くありました。心がけたのは一人で抱え込まないこと。「思ったことがあったら何でも言って!」とスタッフに声を掛け続けたところ、回を追うごとに改善につながる意見がたくさん出るようになり、チームとしてもどんどん連携して動けるようになっていきました。
リーダーを務めて感じたことは、悩んだり落ち込んだりするような時こそ前向きに考え、行動することの大切さ。そして、周りの人から必要とされる喜びです。卒業後はレトルト食品のメーカーで商品企画を担当します。この大学で食品について農業から加工、栄養、微生物まで学んだ経験は、広い意味できっと活きてくるはず。社内外の方としっかりコミュニケーションを取って連携し、消費者の皆さんに喜んでもらえる商品を生み出していきたいです。
オープンキャンパスの学生スタッフのリーダーとして
バイオ環境学部 食農学科4年生 及部真夕さん

自己変革といえるほど
大きく成長できた
4年間。

バイオ環境学部 食農学科
及部 真夕さん
名古屋女子大学高等学校出身
Interview私の先端

自分の興味に向かって
とことん学べる面白さ

高校時代から理科が好きで、植物に関することを学びたいという思いから、京都先端科学大学のオープンキャンパスに参加。農産物の品種開発から栽培、加工までを一貫して学べる特長あるカリキュラムに惹かれ、食農学科への入学を志望しました。当時から家庭菜園で野菜を育てることが好きだったのですが、実は食べるのが苦手な野菜も多くて…。「少しでも好きな野菜が増えたら嬉しいな」という気持ちもありました。ですので、大学で万願寺とうがらしや聖護院かぶなどの京野菜を育てられることも楽しみの一つでした。
4年生で研究室に入ってからは、種のない無核性ブンタン「ボナルーナ」の研究に取り組みました。ブンタンは地域産業を支える特産品ですが、種の多さが課題となっていました。ボナルーナは京都大学・広島県・高知県の共同開発により生まれた品種で、種がないことで「食べやすく、加工しやすい」というメリットがあります。産地に貢献でき、国産果実の消費拡大や自給率向上も期待できる品種だけに、一日でも早く流通することを願っています。
この大学で学んでいて実感するのが、先生方の優しさです。少人数制のため学科の学生全員を覚えておられて、授業で分からない点を聞きに行くと、どの先生も丁寧に指導してくださいます。春学期・秋学期の初めには面談があり、授業で困っていることや単位取得についても相談しやすかったです。4年間通して安心して勉強できる環境に恵まれたことに感謝しています。
自分の興味に向かってとことん学べる面白さ

心も体もワクワクする
実践的な教育プログラム

この大学では、実社会できちんと役立つスキルを身につけられるプログラムが充実しています。私はその中でも、英語が苦手で一番苦労しました。「英語」はTOEIC®L&Rのスコアアップが明確な基準となっていますし、「英会話」は日常会話で話せるレベルを目指します。比較的得意だったリスニングは、TOEIC®L&Rの音声教材や洋楽を活用し、自分なりに工夫して取り組みました。例えば音声教材は1回目に速いスピードで聴き、次にそのスピードで文章を見ながら聴く。最後に普通のスピードで聴くことで、問題文がゆっくり聞こえて解きやすくなりました。リーディングは単語力が必須だと考え、分からない単語はすぐに調べるように習慣づけしていました。一方、英会話は知らない単語が出てきても、先生と英語で会話し続ければ意味が自然と理解できることを体験し、徐々に苦手意識を克服していきました。
また、SLS(スポーツ・ライフスキル)科目では、テニスなど初めて体験する競技も多かったのですが、友人に教わりながら楽しく授業を受けられました。コロナ禍でオンライン授業の期間もありましたが、チームで協働して目標を達成する中で、自主性や協調性など多くのことを学べたと感じています。
心も体もワクワクする実践的な教育プログラム

明るく私らしく前向きに
食農の仕事を頑張っていく

高校時代はクラブ活動をしていなかったのですが、大学では勉強以外の経験もしたいと考え、アメリカンフットボール部のマネージャーに挑戦。チームを支えるやりがいとともに、時間の大切さも痛感する日々でした。部活が終わった後、いかに講義の課題や復習に効率よく取り組むかを追求し、何とかやり遂げることができました。また、学友会監査部長として部活動費が正しく使用されているか監査する役割も担いました。このように、主体性を持って活発に活動できたことが、私を一番成長させてくれたと感じています。
大学卒業後は地元に帰って、青果物を取り扱う仲卸会社で営業を務めます。毎朝卸売市場へ行って、野菜や果物を目利きし、仕入れたものをスーパーマーケットなどの小売業者へ納品する仕事です。青果の生産から流通・消費まで人々の生活に関わる大切な役割を果たせることに期待を感じています。同時に、鮮度や味、量などを正しく判断しないと食品ロスにもつながります。さらに、安心や安全、安定供給など、社会的責任を想像すると身が引き締まる思いです。いつか私が研究に関わったブンタンが流通する日を夢見て、新しいステージでも明るく私らしく頑張っていきたいです。
明るく私らしく前向きに食農の仕事を頑張っていく