バイオ環境学部
バイオ環境デザイン学科

Department of Bioenvironmental Design
バイオ環境学部

環境問題や資源・エネルギー問題の本質的な解決を図るため、バイオサイエンス分野の先端研究の成果や技術を生かし、地域のなかで「人とともに多様な生き物が共生できる環境(バイオ環境という)」を実現することを教育研究の目的とする。

バイオ環境デザイン学科
農・森林環境、水環境、都市環境などの共生空間における物質循環や動態とその景観に関する科学・技術に基づく環境デザイン力の養成を教育目的とする。学生は生態学的知識、環境分析技術、環境再生技術などを講義や実験、フィールド実習を通じて学び、人と自然の共生に貢献できる環境専門家やランドスケープデザイナーを目指す。
バイオ環境学部 バイオ環境デザイン学科4年生 重野瑞季さん

環境問題の
知見を武器に
金融の未来を拓く。

バイオ環境学部 バイオ環境デザイン学科
重野 瑞季さん
大分県立別府鶴見丘高等学校出身
Interview私の先端

環境を学ぶため
文系から理系への転換を決意

大学入学前を振り返ると、私は迷いの多い高校時代を送っていたなぁと感じます。与えられた勉強をただこなすだけの毎日で、自分が将来何を学びたいのかもよく分からずにいました。そんな中でも気になったのが“環境”というキーワードです。地球環境の保全と、持続可能な社会の実現が叫ばれているこの時代、どんな業界にあっても環境問題に強い人材が求められていると感じたからです。
ただ私は文系コースだったので、理系分野の環境を一から学ぶことには戸惑いがありました。それでも何か自分の武器となる専門性を身につけて社会に発信したいと思い、環境について幅広い知識を得られる大学を探すことにしました。残念ながら地元の九州では見つからず、関西方面で検討していて京都先端科学大学のバイオ環境デザイン学科の存在を知りました。この学科なら多様なバックグラウンドを持つ先生方がおられるため、「環境をベースとして多角的な視点で学びを得られるのでは」と期待感を抱きました。さらに、修得した専門性を実社会にきちんと還元できる人材の育成を目標としている点にも、とても共感し入学を決めました。
環境を学ぶため文系から理系への転換を決意

インターンシップで
課題解決のプロセスを体験

この大学の学びの中で特に有意義だったのが、インターンシップ・プログラムです。私は実習先の外資系経営コンサルティングファームで、クラウド型の顧客管理システムを使ってクライアントの営業課題を解決するミッションに取り組みました。このシステムについて何も知らない状態からスタートし、実際に運用して理解を深めながら、チームのメンバーと協力してクライアントの社内業務に最適化したシステムを提案。問題解決に至るプロセスと、壁をいかに乗り越えていくかを実践的に学ぶことができました。さらに次のミッションでは、この顧客管理システムを活用したSDGsの実践に取り組み、専門分野の環境に関する知見を発揮して提案に結びつけました。まさに、自分の専門性を実社会に活かせる可能性が実感でき、学びへの意欲がいっそう高まりましたね。
また、私は1年生の時から大学コンソーシアム京都が主催するインターンシップ・プログラムにも参加していました。京都にある環境系NPO法人で、ごみ問題の解決に1年間取り組みました。他大学の学生と協働する中で多くの気づきを得られたと感じています。またその一環として、ごみ処理施設の認知度向上のために施設の写真が入ったカードを作成したのですが、ゼロからモノを作るためには品質やコスト、スケジュールなどの管理が必要で、社会における業務を知る貴重な経験となりました。
インターンシップで課題解決のプロセスを体験

金融業界で求められる
環境課題に強い人材

就職活動では4社から内定をいただき、大手証券会社に入社の意志をお伝えしました。一見すると金融と環境は別物のように思われがちですが、近年では“サステナブルファイナンス”という言葉があるように、環境問題や社会問題に対する金融業界からのアプローチがすでに始まっています。例えば、投資先の企業がどれだけ環境や社会に配慮して事業を展開しているかを指標とするESG投資などが現在のトレンドです。本来、金融業界には経済学部や経営学部といった文系学部の出身者が多いのですが、環境問題に実践的・専門的に向き合った人間がいることで、持続可能な社会を実現する金融機関のあり方をより深く追求できると確信しています。
私はこの4年間、たくさんの人に助けていただきました。そもそも高校時代は文系だったのでなかなか理系の勉強についていけず、学習支援室の職員の方々にも本当にお世話になりました。この大学では学ぶ意欲を持って主体的に行動すれば、必ず誰かが手を差し伸べてくれます。この大学で培った専門性を活かしながら、今後は金融のプロフェッショナルとして尽力したいと思います。
金融業界で求められる環境課題に強い人材

大学院で追究したい
人間と自然の
共生関係。

バイオ環境学部 バイオ環境デザイン学科
眞邉 涼子さん
京都市立日吉ヶ丘高等学校出身
Interview私の先端

都市の人々に環境問題を
身近に感じてもらうために

もともと環境問題に関心があり、木造建築にも興味があった中で、京都先端科学大学のバイオ環境デザイン学科のカリキュラムが、学びたいことと一番合っていると考え入学しました。その背景には、子どもの頃、祖父母が暮らす屋久島に毎夏遊びに行っていた体験が関係しています。世界自然遺産登録以降インフラ整備が進み、観光客が増えたことでゴミの問題が発生するなど、年々自然環境が悪影響を受けている状況を目にするように。そこから生態系や環境の保全・再生に関する勉強がしたいと思うようになりました。
授業で印象に残っているのが「里山学」です。里山が持つ課題と解決方法について考える科目で、私は北欧と日本の森林について、精神面や文化面といった背景も含めて分析しました。里山の成り立ちにはそれぞれ背景があり、果たしている役割もさまざま。だから、課題解決には多面的なアプローチが必要です。そこが奥深くて面白いなぁと感じました。
4年間学ぶ中で、地球温暖化などの諸問題に対して、私たち人間にできることをさらに追究したいと考え、本学大学院のバイオ研究科への進学を決めました。所属するランドスケープデザイン研究室では、持続可能な美しい「生物親和都市」をデザインし、豊かな環境の保全・再生をめざしています。環境を守るためには、人口の大部分を占める都市部の人たちに関心を持ってもらいたい。その一環となる方策を研究していきたいと考えています。
都市の人々に環境問題を身近に感じてもらうために

コロナ禍でも実現できた
海外インターンシップ

大学生になったらチャレンジしたかったことの一つが、海外留学です。ただ、コロナ禍で渡航できなくなり、先が見えない不安と残念な気持ちでいっぱいでした。でも、「それなら、オンラインで参加してみよう!」と思い直し、3年生の夏に学内のプログラムで1カ月間、オーストラリア日本野生動物保護教育財団(AJWCEF)へのインターンシップに参加しました。
この団体を選んだ理由は、授業内で環境問題とさまざまな対応策を学び、座学だけでは分からないくわしい事情や携わる方々の思いをもっと知りたいと考えたから。実際に生の声を聞いて、保護活動とその地域の歴史や文化、暮らしなどの背景がどう関係しているかを具体的に知ることができました。日本にいながら、自身の学びを一段階深めることができた有意義な機会となりました。終了後、この大学の入学試験合格者の方を対象に開催された合格者懇談会でこの時の体験について発表。そのご縁から、翌年には学科長の推薦をいただき、ニュージーランドへのインターンシップが叶うことになりました。
コロナ禍でも実現できた海外インターンシップ

自分の気持ちを素直に伝えて
夢に向かって学び続けたい

4年生の11月に、学内プログラムを活用してニュージーランドの政府系企業の研究機関サイオン(Scion)でインターンシップを経験しました。サイオンは、持続可能な森林経営に関する研究や木材関連の技術開発などを行う研究機関です。私はニュージーランド南島・カンタベリー地方の中心都市クライストチャーチにある支社で、約1カ月にわたり業務に携わりました。森林研究のチームに参加し、トワイゼルやハンマースプリングスなどこの地方の自然豊かな複数の地域で、生物多様性を脅かすおそれのある侵略的外来種のフィールドワークを行いました。松がその対象で、実態調査として実際に森に入り、松の木を計測し、松ぼっくりを数えていきました。さらに、そのデータをもとに生息域の分布拡大を予測するシミュレーションモデルの開発にも携わり、調査・対策の現場を知る貴重な経験となりました。また、研究機関ではさまざまな国の方が働いておられて、チーム以外の人も含め、それぞれの国の文化や日本との違いについて話す場面が多くあり、新たな気づきがありました。
このインターンシップを通じて、やはり目で見て、肌で感じないと分からないことがあることを改めて実感しました。
「有言実行」の言葉がありますが、今回の参加で、チャレンジしたいことがある時には、たとえ可能性が低くても、言葉にして周りに伝えることが大切だとつくづく実感しました。恐れず口に出せば情報やサポートが集まり、経験や知見を増やすチャンスにつながります。
今は大学院進学に向けて、学びたいことが溢れるほどあります!自分の興味関心に素直に向き合いながら、この研究を続けていくことが楽しみです。
自分の気持ちを素直に伝えて夢に向かって学び続けたい

突き進む行動力で
環境調査の前線へ。

バイオ環境学部 バイオ環境デザイン学科
阿部 豊さん
兵庫県立宝塚東高等学校出身
Interview私の先端

環境のエキスパートへ導く
専門性の高い授業

私は、幼い頃から祖父と一緒によく釣りに行っていました。市街地に近い海だったので、水面にたくさんのごみがぷかぷかと浮いていました。その光景を目にした私は、「なぜごみが浮いているんだろう」「写真で見る海はもっときれいなのに…」と不思議に思うようになりました。環境への興味が芽生えた原点は、その時の体験によるものだと思います。
正直に言うと、京都先端科学大学は第一志望ではありませんでした。むしろ環境について学べればどこでもいいとさえ思っていました。しかし、実際に入学すると、私の考えは一変しました。たとえばバイオ環境デザイン学科では、環境影響調査の手法を実践的に学ぶ「環境アセスメント演習」や、公園・緑地の土地利用をデザインする「ランドスケープデザイン実習」など、専門性の高い授業が豊富に用意されていました。
さらにユニークだったのが1年次で体験した野菜の栽培実習です。本格的な農作業は初めてで何もかもが興味深く、楽しくて…。それに、農薬を使わない作物の栽培がこれほど難しいものだとは思ってもみませんでした。特色のあるこれらの授業を受けながら、この大学に入学した意義を実感するようになっていきました。
環境のエキスパートへ導く専門性の高い授業

インターンシップや
卒業研究で行動力を磨く

学年を追うごとに多彩な知識や考え方を吸収し充実を感じる一方で、将来の方向性についてはなかなか決められずにいました。そんな私を奮い立たせてくれたのが3年生のキャリア教育の授業です。すでに進みつつある就職活動の状況を目の当たりにし、自分が出遅れていると痛感。さっそくキャリアサポートセンターを訪れ、エントリーシートの添削や面接の練習に時間を割いていただきました。それでも不安だったので、学内インターンシップにも参加しました。実習先は環境系のNPO法人と外来水生植物を防除する滋賀県の会社です。実をいうと、後者の会社は自分で見つけて直接インターンシップを申し込み、その後に大学から正式に手続きを取っていただきました。基本的にやると決めたらとことん動くタイプなんです!
そしてその行動力を卒業研究でも大いに発揮しました。きれいな海にしか生息しないウミウシの再生現象について調査を行ったのですが、先行研究がほとんどなされていなかったため、他大学の先生や修士の方にも連絡を取りながらお話を伺いました。また、ウミウシを採取するために立ち入り禁止区域内に入る必要があったので、関係各所にかたっぱしから電話をかけて何とか許可をいただくことができました。
インターンシップや卒業研究で行動力を磨く

自然との共生を図る
建設コンサルタント業界へ

こうした行動力が評価されたのか、最終的には施工管理会社1社と建設コンサルタント会社3社から内定をいただきました。私が志望していた建設コンサルタント業界には河川や道路、鉄道など21部門の業務区分があり、中でも就職を予定している会社は、建設環境部門において業界2位の売り上げを誇る実績があります。仕事の主な内容は、道路やダムの建設など環境に大きな影響を及ぼす事業に着工する前に、希少な生き物や植物が周囲に生息していないかを調査するというものです。
行動力とともに内定先の担当者の方に褒めていただけたのが落ち着きのある態度です。もともと物怖じしない性格ではありますが、さらに自信をつけられたのはキャリア教育で苦手なグループワークに何度も挑み、キャリアサポートセンターをこれでもかというくらい活用させていただいた結果だと思います。
私が大学生活で得た教訓は、「計画性と行動力の大切さ」です。この二つがあれば、たいていのことは何とかなる。これから入学される皆さんも、1年単位でも学期単位でもいいから、学生生活の節目ごとに目標を立て直し、それに向かって行動していけば有意義な学生生活を送れると思います!
自然との共生を図る建設コンサルタント業界へ