健康医療学部 言語聴覚学科

Department of Speech and Hearing Sciences and Disorders
健康医療学部

多様な健康状態、発達段階、生活環境にある人たちに対して科学的で専門的な支援を行い、人々の健康生活の実現と健康寿命の延伸に寄与する人材を育成することを目的とする。

言語聴覚学科
言語・聴覚や摂食・嚥下分野の基本的な評価と訓練・指導の技術を修得し、さらに基盤となる分野(科学)と幅広い分野(教養)の知識を備え、患者の状態を理解し受容する態度で表現し、リハビリテーションに関する問題を医師らと連携しながら解決できる言語聴覚士の育成を目指す。
健康医療学部 言語聴覚学科4年生 鳥飼健さん

コミュニケーションの
大切さを学んだ
臨床実習。

健康医療学部 言語聴覚学科
鳥飼 健さん
敬愛高等学校出身
Interview私の先端

先生と学生の関係に魅力を
感じたオープンキャンパス

子どもの頃に病院でお世話になった経験から、将来は人の役に立てる仕事に就きたいと考えていました。大学進学に向けて作業療法士の仕事に興味を持ち調べる中で、言語聴覚士の存在を知りました。私自身、人と話すこと、食べることが大好きで、生活や人生で大切なこれらのことに障害を抱えておられる方を専門的にサポートできる存在になりたいと思うようになりました。
京都先端科学大学の言語聴覚学科を選んだ理由は、オープンキャンパスに来た際にアットホームな雰囲気を感じたから。先生と学生の関係がきちんとしているけどすごく親しさがあっていいなと思いました。入学後感じたのは、言語聴覚士である先生方が、私たちが学んでいく中で経験する不安も、希望も、すべて理解し指導してくださる心強い存在だということ。そして、学生同士も、ほとんどの科目が必修で実技を伴う授業も多いため、すぐに打ち解けていきました。同じ夢を持ち、講義や実習、最後の国家試験合格までをともに頑張れる仲間と出会えたことが、学生生活の大きな支えになったと感じています。
先生と学生の関係に魅力を感じたオープンキャンパス

言語聴覚士の役割を
再認識した臨床実習

言語聴覚士が目指すのは患者さんの社会復帰です。そのために「話す、聴く、読む、書く」のコミュニケーションが図れるよう支援し、生きるうえで欠かせない摂食・嚥下の支援を行っていきます。例えば失語症の症状は、「突然まったく言葉の分からない外国に連れてこられたような状態」だと表現されます。そうした辛さを理解する心のケアの観点がなければ、検査も訓練も始められません。その意味で、3年生の1カ月間の臨床実習は、言語聴覚士の役割におけるコミュニケーションの大切さを認識する経験となりました。
実習先は小児リハビリテーション科のあるクリニックで、「言葉が出ない」「発音がうまくできない」「コミュニケーションが成立しにくい」といった相談に対し、クリニックの先生の診断に沿って必要な検査と評価を担当しました。まず感じたのが、発達過程にある子どもの状態を判断する難しさです。大人と違い自覚がなく、発達が少し遅いだけなのか、異常と判断すべき状態なのかを見極める難しさがありました。さらに、私は自閉症の可能性のあるお子さんと発音に問題を抱えるお子さんを担当したのですが、自閉症の傾向のあるお子さんとは初めほとんどコミュニケーションが取れない状態でした。遊びを通して関わりを持ちながら検査を始めるのですが、目線が合わず、「何したい?」と聞いても反応がなくて。聞き方を工夫して少しずつ反応を引き出すうちに、段々関わってきてくれるようになりました。また、保護者への配慮も求められることも学びました。検査結果を伝える時には、お子さんの得意・不得意を伝え、一緒にどんな訓練を行うことで改善が期待できるのかを伝えていく。不安な心に寄り添い前向きに取り組んでいただける対応が求められます。すべてにおいて学びの連続で、本当に貴重な経験をさせていただいた実習でした。
言語聴覚士の役割を再認識した臨床実習

先生と仲間の存在に
支えられた国家試験対策

4年生の時には2カ月間、病院での臨床実習を経験しました。脳の損傷により発声や発音に障害が出ている患者さんを担当。まず何とか声を出してもらえるようにと、不安定だった姿勢を正しく保つことから始め、声の大きさを○で示したものを順に見せる方法で、少しずつ声の大きさを上げていくことができました。この病院の先生が、「私たちのところに患者さんが来られているのではなく、患者さんの生活の中に自分たちが介入させていただいている」と話されたことがあり、患者さんを主体にして関わることを常に意識する言葉として今も胸に刻んでいます。そのためにも、教科書や授業での学びをベースにしながら、一人ひとりに合わせたサポートへと応用していくことも実習でなければ得られない生きた学びでした。
実習を終え、4年間の総仕上げとも言える国家試験対策で最も悩んだのが、自分なりの勉強方法を探すことでした。症例から判断する力が問われるため、ただ覚えるだけでは合格できないからです。先生方にアドバイスいただくとともに、学科のみんなとも「どうやって勉強してる?」と情報交換しながら、知識を関連付けて覚えていくことで乗り切ることができました。また、この大学では1年生で受けた「英語」「英会話」の必修授業や一般教養の科目も面白く、専門学校とは違った幅広い学びが得られた点もよかったと感じています。
卒業後勤務する総合病院では、言語聴覚士として患者さんとご家族の方の支えになれるよう、この大学で学んだ専門性を活かして全力で取り組みたいと考えています。
先生と仲間の存在に支えられた国家試験対策
健康医療学部 言語聴覚学科4年生 古谷志織さん

実習を機に変わった
学びへの
姿勢。

健康医療学部 言語聴覚学科
古谷 志織さん
光泉カトリック高等学校出身
Interview私の先端

子どもの頃の経験から選んだ
言語聴覚士の道

言語聴覚士の仕事を知ったのは、子どもの頃に耳鼻科の手術をした時のことでした。中学生までに3回手術を受けたのですが、その度に検査でお世話になった方が、とても優しくて素敵な方で、個別療法室で1対1だったこともあり、不安な気持ちがやわらいだのを覚えています。高校生になって、将来を考えた時に自然に浮かんできたのが言語聴覚士の道でした。京都先端科学大学はオープンキャンパスで参加した模擬授業が楽しくて、学びの一端がイメージできたことも手伝って入学を決めました。入学後の私の心配は国家試験。とにかく勉強が苦手だったので、支え合える友だちを見つけて、これから始まる4年間の勉強や実習を頑張れたらいいなと思っていました。
入学後、大きな転機となったのが3年生の11月に経験した1カ月間の臨床実習です。実際の病院で実際の患者さんへの対人スキルや、臨床現場における適切な行動、技能を実践的に学んでいきます。私にとっては自分自身の知識とスキルのなさにショックを受け、その後学びへの態度が変わるきっかけとなりました。
子どもの頃の経験から選んだ言語聴覚士の道

学びへの態度が変わった
病院での臨床実習

言語聴覚士は、さまざまな原因から言葉によるコミュニケーションや飲み込み(嚥下)が困難になった状態を改善・軽減し、その方が自分らしい生活を送れるよう支援する仕事です。検査によって症状を把握して、症状がどのように起こっているのかを評価、リハビリテーションの計画を立て実践します。患者さんと1対1で深く関わり、症状はもちろん、不安に思われていることを理解することも大切な仕事だと思っています。
3年生の実習では、失語症の検査と評価までを経験しました。失語症は大脳の言語をつかさどる部分の損傷により起こる言葉の障害で、「聞いて理解する」「話す」「読んで理解する」「書く」ことが難しくなります。症状の出方は患者さんによって多様で複雑。実習ではコミュニケーションの取り方がとても難しく、患者さんを困らせてしまう場面もありました。また、緊張で検査機器をスムーズに扱えず焦ることも。ほかにも分からないこと、できないことが多々あり、大学で教わっていても自分の中に定着していないことを痛感しました。
ちょうど2週間が経つ中間の時点で、言語聴覚学科の実習担当の先生が来られて、面談してくださった際に、病院の実習指導者の先生から「取り組む姿勢が受け身で積極性が足りない」とコメントがあったと聞きました…。自分では自覚がなく、頑張っているつもりだったので初めは驚きました。でも、あらためて学生生活をふり返ってみると、“やらされている”姿勢だったんだなと気づき、反省。そこからは、意識だけでも変えよう!と、自分から次の行動を考えたり、質問したりと積極的に動けるようになっていけたかなと思います。
学びへの態度が変わった病院での臨床実習

先生や友だちに支えられ
正面から取り組んだ国家試験

4年生の6月にも2カ月間の臨床実習があり、嚥下障害の患者さんを担当しました。検査から評価、リハビリテーションの計画、実施までを経験。この時は患者さんとコミュニケーションを深めることができ、困っておられることを充分お聞きして、食事の介入もするなど前回と違った経験ができました。また、理学療法士、作業療法士の方々とともにリハビリテーションを行うことが多いのですが、患者さんの状態についてお互いにとても密に情報共有されていて驚きました。リハビリテーション実施後に再評価を行った際には、訓練計画の効果が認められ、臨床の場に向かっていく土台ができた思いでした。
実習が終わると、いよいよ国家試験対策という、ずっと逃げていた最大の難関に取り組む時が来ました。勉強嫌いの私は憂鬱が募るばかりでしたが、仲の良い優しくて賢い友だちを頼って、対策勉強の全体の計画を一緒に考えてもらいました。私の性格を見越して、毎日図書館などで学科の友だちと一緒に勉強しないといけないよう設定で、逃げられないように(笑)!さらに、先生にもカツを入れていただき、1日に行う勉強量を決め、起床時間から始まる1日の計画に落とし込んでいきました。習慣がつくまで本当に大変でしたが、先生と友だちを信じ、自分を信じてやり抜くことができました。入学時に希望していた通り、友だちに恵まれ、先生に支えていただきながら、4年間を過ごすことができました。
卒業後は総合病院で言語聴覚士として勤務します。患者さんと深く関わり、希望を持っていただけるよう努めていきたいです。
先生や友だちに支えられ正面から取り組んだ国家試験
健康医療学部 言語聴覚学科4年生 五十嵐紗希さん

言語聴覚士を目指し
取り組んだ
充実した学び。

健康医療学部 言語聴覚学科
五十嵐 紗希さん
福島県立会津高等学校出身
Interview私の先端

1年生から実感した
専門分野の学びの楽しさ

臨床現場で活躍されている先生方がおられること、臨床実習に力を入れているところに惹かれ、京都先端科学大学の言語聴覚学科に入学しました。聴力検査室やプレイルームなどの施設が充実していることも決め手になりました。
授業が始まって感じたのは、専門分野の学びの楽しさです。例えば、解剖学や生理学などの医療の基礎から、「はなす、きく、たべる」に関わる障害についての専門の授業まで、興味深い内容ばかり。基礎を固めたくて教科書を読み込み、自分なりの言葉や図でまとめるようにしていました。分からない点は先生に積極的に質問していたのですが、いつも図などを用いて分かりやすく教えてくださり、精神面でも支えていただきました。言語聴覚士という目標に向けた学びに、高校までとは違った充実感と楽しさを感じていました。
印象に残っているのが、「失語・高次脳機能障害学」の授業で、2年生ではスクリーニング検査を、3年生ではリハビリテーションの訓練プログラムを組み立てて実施したことです。スクリーニングは「ふるいわけ」の意味で、初めに大まかな病態を把握するために行います。決まった形式はなく、検査項目や実施手順を考えるところから取り組みました。優先ポイントを決め、具体的に使用する単語なども選択するのですが、本当に難しく、悩みながら何度も話し合って決めていきました。その結果にもとづいて訓練の内容も考え、検査・訓練とも学生同士で実践します。機器の操作などに慣れるとともに、一連の流れと意味を総合的に学べる機会だったと感じています。
専門以外で力を入れたのが、地域のお祭りのボランティアです。1年生の時に授業の一環で携わり楽しかったことがきっかけで、2年生でも自主的に続けていました。受付や子どもたちのサポートを通して、周りの状況を見て自分が取るべき行動を考えながら取り組むことを学びました。また、子どもたちとの関わり方を経験できたことは、言語聴覚士を目指すうえでとても有意義だったなと感じています。
1年生から実感した専門分野の学びの楽しさ

焦りと混乱の連続だった
3年生の臨床実習

3年生の時に、病院で1カ月の臨床実習を経験。構音障害の患者様を担当しました。構音障害は、言葉は理解できているけれど発音がうまくできない状態なのですが、正直、当時は知識があいまいで…。現場のバイザーの先生が、「どういう理由で患者様に質問をされているのか」「なぜこの検査を選択されたのか」、分からないことが多く混乱の連続…。検査も手際よくできなくて、毎日「あぁ勉強が足りない!」と焦りでいっぱいでした。今思えば、緊張していて、目の前の検査しか視野に入っていなかったことも大きかったと思います。
「検査をスムーズにできるようもっと練習しなければ」と感じるとともに、「教科書の知識を覚えるだけではダメなんだ」と痛感。臨機応変に対応する必要があり、そのためには、教科書の知識をもとに、疾患や症状に関する周辺の知識ももっと広げていかなければならない。さらに、患者様の態度や表情にも目を配り、性格や生活環境なども理解して、関連付けながら対応しなければならないことを学びました。
それでも、何度か自由会話の機会をいただき、患者様と深く関わり役立てるこの仕事にあらためて魅力を感じました。課題を克服していきたいと強く思えた実習でもありました。
焦りと混乱の連続だった3年生の臨床実習

補習やチューター授業で
国家試験に向け弱点を克服

4年生でも2カ月間、同じ病院で再び臨床実習を経験し、失語症の方を担当しました。前回の教訓を活かして落ち着いて取り組め、患者様にもバイザーの先生にも、積極的に働きかけることができました。
国家試験に向け、本腰を入れて取り組み始めたのが4年生の秋です。9月の時点で12月までの計画を立て、先生に確認してもらうのですが、勉強する中で苦手な箇所が出てくると、計画を修正しなければなりません。「2月までの残された時間で何を優先すべきなんだろう」という焦りがずっとありましたが、補習やチューター授業で要点を押さえながら勉強を重ね、心理的にも支えていただきながら乗り越えることができました。
春からは実習でお世話になった病院での就職が決まっています。患者様やご家族のことを第一に考え、寄り添える言語聴覚士を目指していきたい。そして、初心を忘れず、常に学び続けていきたいです。
補習やチューター授業で国家試験に向け弱点を克服