新生・京都先端科学大学記念式典に各界から約500人 大学創設50年、来春工学部開設で総合大学へ 新たな学び舎へ大改革、決意新た

2019年10月21日トピックス

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大学創設50年を迎え、京都先端科学大学として新たな総合大学へ生まれ変わることを祝う記念式典・祝賀会が2019年10月19日(土)、京都市内の京都ホテルオークラで開かれた。式典・祝賀会には各界から本学ゆかりの関係者約500人が出席した。

式典では、最初に挨拶に立った前田正史学長が、50年の歴史を踏まえ先端科学大学として新たな出発をしたことを報告。来春の工学部開設で5学部11学科の総合大学となるとし「本学は大きく前進する。皆様のご支援によりこの歩みを少しでも早く進め、この京都から課題解決できる人材を送り出し、イノベーションを起こす研究活動を産医官学と共に進めていきたい」と力強く宣言した。

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次に永守重信理事長が挨拶に立った。冒頭、「1時間ぐらい話そうと思ったがが、10分しか時間がない」といきなりの“永守節”で堅かった会場をわかせ、招待客を引き込み「人は教育で変わる。新たな大学改革を起こし、全く新しい大学を創るという夢と理想を必ず実現してみせる」と決意を新たにした。

記念講演では「日本の進むべき道」と題して、総理大臣を務めた小泉純一郎氏が熱弁。総理時代の巧みな話術を駆使し、持論の原発廃止論を中心に約1時間にわたって聴衆を魅了した。

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祝賀会は会場を移動。冒頭、永守理事長が挨拶の際、「今度も持ち時間は7分しかない」と会場を笑いに包みリラックスムードを演出。「夢と理想を持っていると人は老いない。新しい大学を創るという夢と理想を何としても実現させる」といつものエネルギッシュな語り口で述べた。来賓であいさつに立った、同窓会長の中村正孝氏も「これからの50年、100年を卒業生として支えていきたい」と述べる一方、山際壽一・京都大学総長も「同じ京都にある大学同士として手を結んでいきたい」とエールを送った。また、公務終了後駆け付けた門川大作・京都市長は「京都は、大学のまち、学生のまち。ぜひ社会問題を解決できる有為な人材を育ててほしい」と期待を述べた。

祝宴は小泉元総理の乾杯の音頭で始まり、永守理事長や前田学長ら大学関係者が招待客と懇談を行った。宴の途中には、来春開設する工学部の教員21人が壇上に並び、8カ国から集まった日本人を含む教員全員が英語で自己紹介を行った。また、祝宴会場前のホワイエでは、各学部学科がポスターを掲示し、教員自らが招待客らにPRを行った。祝賀会は和やかなムードの中、盛況裡に終了した。

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前田学長挨拶要旨

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本席は、この大学が生まれて50年経つことと、先端科学大学として新たな出発をしたことのご報告と、今後50年100年と大改革を推進していくことをお約束するために開かせていただきました。

本学は1969年に亀岡でスタートしました。その後、太秦キャンパスを開設し、経済経営学部、人文学部、健康医療学部を配置しました。東館、北館に加え今春には西館が完成し、来年早々には工学部が入る南館が竣工します。太秦で5万平方メートルの施設面積を持ちます。一方、亀岡ではバイオ環境学部と健康スポーツ学科が引き続き本拠として活動しています。

先端科学大学と名前が変わって工学部が新設される。理系の大学になったのか、と言われます。違います。総合大学になるのです。5学部11学科とコンパクトですが、非常にユニークな大学を目指しています。

学部についてご説明します。1学年当たりの入学定員は経済経営学部340人、人文学部170人、バイオ環境学部190人、健康医療学部200人に加え来春には工学部200人が加わり、収容定員4400人となります。文部科学省のカテゴリーでは小規模校から中規模校に変わります。

新設される工学部は機械電気システム工学科という1学科構成です。アクチュエータとその応用について教育と研究をします。アクチュエータというのは、動く、事を実現するデバイスのことです。モータが分かりやすいでしょう。この学部ではアクチュエータの応用としてロボットや自動運転デバイスなどの基礎研究とその教育を行います。

でも工学部だけでこの新しい分野が開拓できるわけではありません。この自動機械を社会で本当に使うためには人間との共存を図る必要があります。例えば、損害保険、交通法など自動機械が共存する社会システムを構成するためには社会科学的背景を整備しないといけない。経済経営学部の出番です。

同様に人間の行動様式などを理解する、人間自体を知るためには人文学部が、のように工学部だけでなく、バイオ環境学部や健康医療学部の知識が必要です。すなわち工学部が接着剤となりバイオ環境学部、健康医療学部、経済経営学部、人文学部と共同活動になります。この大学は工学部が参加することにより、複雑な社会の課題解決の場を提供できるようさらに大きく一歩を踏み出せると信じています。

工学部は定員200人。留学生は最終的に半分の100人を予定しています。授業は英語が主たる言語になる。日本人学生の英語は徹底的に最初のセメスターで鍛え上げます。週に90分授業が10コマの英語を設けます。英語による専門科目が開始されるまでには一定の英語力が身に付きます。もちろん十分理解できない学生には、日本語による演習でフォローしますので心配ありません。カリキュラムも教える側が教えたいことを教えるのではなく、ゼロから見直し、実践的な課題を1年生から見出すように工夫しています。例えば、ロボットをまず実習で動かす、作ってみる、から始める。基礎となる物理と数学に重きを置き、従来のカリキュラムの1.5倍の時間をかける。特定の研究室に配属される卒業研究の代わりに複数の教員と学生からなるチームによるキャップストーンプログラムを用いた課題解決プロジェクトを実践します。この課題は産業界から提案してもらう。すでに日本電産をはじめ50社を超える企業の申し出をいただいています。

国際化については、既にヨーロッパ、北米、アジア、中東の大学と学生交換、単位互換、研究交流の協定を結ぶ準備をしており、年度内には具体的に発効します。インターンシップでも国内はもちろん、日本電産グループの海外拠点の協力により、海外インターンシップも実現できました。この効果は極めて大きく、学生のモチベーションの向上は信じられないくらい大きなものがありました。私としては1年単位のインターンシップ、海外提携校とのジョイントディグリーもなるべく早く実現したいと考えています。

小泉元総理の記念講演要旨

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2011年3月の東日本大震災で福島原発が事故を起こした。これをきっかけに原発のことを勉強し始めた。それで私の考えは変わった。総理時代、原発は必要だ、と言っていた。 原発は安全だ、ほかの電源よりコストが安い、二酸化炭素を排出しないクリーンエネルギーだ、というのが原発推進論者の大義名分で、私もそう思っていた。勉強を続け、それらが全部ウソだと分かった。そうでしょう。福島原発の補償一つとっても莫大だ。東京電力は払えないから国に助けてくれ、と言っている。どこが一番コストが安い、ですか。

それでも経済産業省は今後も電源の約2割は原発だ、という。どういうことか。過ちから学ばないと。過去にも原発事故があった。米でのスリーマイルズしかり、ソ連のチェルノブイリしかり。何十年も経つのに、いまだに人が住めないままだ。

国会の事故調査員会の委員長を務めた方に「福島原発事故は地震が原因か津波が原因か」と尋ねたら、「人災です」と即答された.専門家が言っているんですよ。当時でも「安全対策は万全でない」という声はあったそうだ。それなのに、今でも世界一厳しい安全基準を敷いたから大丈夫だ、などと言って原発再稼働を唱えている。あきれる。

フィンランドに核燃料の廃棄物処理施設がある。これを見学に行った。強固な岩盤に地下400メートルほど掘ったところにある。2キロ四方の施設だ。そこに円筒形の頑丈な容器に詰めて保管されていた。フィンランドには4期の原発があるそうだが、こんな広いところでも2基分にしかならないそうだ。日本はどうだろう。こんな強固な岩盤の地層などあるだろうか。日本で400メートルも掘ったら温泉が湧き出て貯蔵庫にはならない。現に日本には処分場がなく中間貯蔵施設に仮置きしているだけだ。この核のゴミを処理する方法がまだない。原発を廃炉にするにも時間がかかると同時にコストも膨大にかかる。

日本では産業廃棄物処理業者の認可を得ようと思ったら、再利用できない最終廃棄物を処分する施設をつくらないと許可が出ない。なのに、原発はどうか。単なる産廃でもこうなのに信じられない。あきれてしまう。

また、原発がないと停電になる、といったが、2013年9月から昨年まで5年間、原発は1基も稼働していなかったが、停電はおろか、電気は余ったではないか。その間、政府の援助もないのに、風力など自然エネルギーは電源全体の15パーセントを賄うまでになった。原発が3割だというのを考えると、政府が積極的に援助したらすぐ3割ぐらいにはなるだろう。

日本は今原発をやめたら、世界からも注目される。ぜひ政治家は決断すべきだ。

(総合研究所 講師 上島誠司)

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