京都先端科学大学 高校生論文コンテスト2020 審査結果・入賞者のよろこびの声(経済経営学部)

2021年02月19日トピックス

「京都先端科学大学 高校生論文コンテスト2020(経済経営学部)」の入賞者が本学教員による厳正な審査のもと、決定しました。今回は各地から276点の論文応募がありました。個人賞受賞者および学校賞受賞校には賞状と副賞を、また応募者全員に記念品をお贈りいたします。

◆総評◆

経済経営学部の「高校生論文コンテスト」は2020年で10年目を迎えました。今年度は厳しいコロナ禍のもと、高校生諸君は、この問題との関連を話題にするテーマが増加しました。まず、この点での高校生諸君の時代をとらえる感覚の鋭さに感銘を受けました。今回選ばれたテーマは、ファンナンスと地域経済に関するものが多かったようです。とりわけ高校生諸君には日本で深刻化している「人口減少社会」に焦点が当たり、これに伴う地域の変貌についての関心が高いことが、うかがわれました。

厳正な審査の結果選ばれた応募論文について、それぞれ講評を加えたいと思います。

最優秀賞に選ばれた樋口源さんの「人のためにお金は使われる」は、ファイナンスというテーマでありながら、コロナ下での日本の財政赤字の問題に関心をよせ、これをお金の流れと関連させるという視野の広さに心をうたれました。タイムリーな問題を取り上げつつ、社会のお金の流れの現状の理解も十分であり、高校生らしからぬ気配りもあり、審査員の推薦がもっとも多かった論文です。

ついで、鮎澤さんの「山梨の地域経済」と題する論文が優秀賞に選ばれました。今回は、地域経済に関する論文は、佳作を含め4編が選ばれましたが、いずれも日本全国の人口減少下で生じている「地域」の問題を取り上げたものです。この中で、鮎澤さんの論文は、地域間での人口移動の可能性に注目し、コロナ禍で、大都市部から地方への移住が増加する傾向に注目し、とくに山梨県の地理的に有利な状況を十分に踏まえた鋭い分析がなされました。山梨県全体の状況について目配りがあり、身近な課題をよく分析していました。

このほか、佳作に選ばれたものとしては、花村琉騎さんの「特産物を用いた持続可能な社会へ~地元の名産『ぎんなん』の普及向けて~」、吉田開さんの「移住」、真壁鉄郎さんの「ジビエ料理」など、いずれも地域おこしを目標とする力作です。

近年はこの種の身近な問題に関心が高まっているように見受けられます。ただこの種の問題意識だけではなく、社会全体のグローバル化やネット環境の変化との関連についての問題意識があってもよかったかな、というのが率直な感想です。このほかファイナンスに関連する論文として、次の2点が佳作に選ばれました。黒川颯太さんの「国債の運用とその分配」、前後音羽さんの「これからの経済体制を考える」です。それぞれ社会ついての鋭い関心をもとに、みずみずしい発想が見られました。

さらに、小山田幸太さんの「若者の金融商品無知という問題を改められる社会を作りたい~校内大規模アンケートからみえてきたこと」が特別賞に選ばれました。小山田さんは300人にもおよぶ高校生へのアンケートを行いました。テーマは、ここに紹介したタイトルに関するものですが、この問題意識の鋭さは言うまでもなく、これに使った労力も並々ならぬことがうかがえ、心からの敬意を表したいと思います。同様の問題意識を持つ友人の協力が得られれば、社会の注目を大きく浴びる研究となるものと思われます。

最後になりましたが、京都府立北桑田高等学校、京都学園高等学校に学校賞が授与されることになりました。同校で指導に当たられた先生方をはじめ、高等学校の先生方の日ごろのご指導にも深い敬意を表したいと思います。

高校生論文コンテスト2020(経済経営学部)
実行委員長 西村周三

◆最優秀賞◆ 

樋口 源
(京都府立北桑田高等学校 1年)

「人々のためにお金は使われる」
作品はこちら

◆優秀賞◆ 

鮎澤 佳希
(山梨県立甲府東高等学校 3年)

「山梨の地域経済」

◆佳 作◆

花村 琉騎
(愛知県立杏和高等学校 3年)

「特産物を用いた持続可能な社会へ~地元の名産「ぎんなん」の普及に向けて~」

黒川 颯太
(京都学園高等学校 2年)

「国債の運用とその分配」

吉田 開
(京都学園高等学校 2年)

「移住」

眞壁 鉄郎
(京都府立北桑田高等学校 3年)

「ジビエ料理」

前後 音羽
(東京都立国際高等学校 1年)

「これからの経済体制を考える」

◆特別賞◆

小山田 幸太
(岡山学芸館高等学校 2年)

「若者の金融商品無知という問題を改められる社会をつくりたい~校内大規模アンケートからみえてきたこと~」

◆学校賞◆

京都府立北桑田高等学校

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北桑田高校 写真 前列左:樋口 源さん、前列右:眞壁 鉄郎さん、後列:德廣剛学校長

京都学園高等学校

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京都学園高校 写真左:吉田開さん 中央:黒川颯太さん 右:佐々井宏平学校長

入賞者のよろこびの声

最優秀賞 樋口 源さん(京都府立北桑田高等学校 1年)

新型コロナウイルス感染症拡大防止か、経済活動かという議論が高まる中、小論文の作成を通して、私なりの意見をまとめられたことは、大変有意義でした。自分の直感的な主張だけでなく、文章の構成過程で、自分の考えたプランを実現させるために活用できそうな政策を調べ、文章構成の中に入れようと工夫したことで考えが深まりました。

この度は、私の小論文を、最優秀賞という素晴らしい形で評価していただき、本当にありがとうございました。

優秀賞 鮎澤 佳希さん(山梨県立甲府東高等学校 3年)

この度はこのような賞をいただき、とても嬉しく思います。今回の小論文を書くことを通じて自分の育った地域の経済について客観的に考える機会になりました。人口減少や空き家の増加など地元の現状に着目し、その問題の解消のための策、そして移住者にとってのデメリットの克服を自分なりにまとめることができました。今回賞をいただき、審査員の方のコメントを拝読し、一層地域経済について学びを深めたいと思いました。これからも好奇心を持ち、視野を広げながら、地域経済に目を向けて行きたいです。本当にありがとうございました。

佳作 花村 琉騎さん(愛知県立杏和高等学校 3年)

この度は、このような評価をいただけたこと、大変嬉しく思います。食品ロス削減という課題を取り上げる中で、地域産業が抱える問題はどれも解決困難に思えましたが、地域に住むものとしての責任を意識しつつ、自分たちの社会を良くするために具体的に考えることが出来ました。大学進学後は、経済学を学ぶ予定ですが、今回の研究を通して感じた疑問点や反省点などを意識して学んでいこうと思いました。

最後に、今回参加するにあたってご協力下さった先生方に心から感謝します。ありがとうございました。

佳作 黒川 颯太さん(京都学園高等学校 2年)

この度は、このような大変名誉な賞をいただけて嬉しく思います。私たち高校生も積極的に興味を持つべき日本経済について、その理解を深める機会をいただけたこと、そして校外のコンテストにて日本の国債の強みが評価されたことに感激いたしました。 社会を構成する一人として、特に自らの生活に直結する経済等の課題について理解を深め、問題点を的確に発見できるスキルを身に付けたいと思います。今回の受賞を励みに、今後も自分の進路を邁進していきたいです。

佳作 吉田 開さん(京都学園高等学校 2年)

この作文を書くにあたり、日本の経済について改めて考えました。今回私は、分散のメリット・デメリットを踏まえ、都市への集中を阻止することを考えましたが、このコロナ禍に、特にテレワークが進み、私が考えたことも現実的に可能となっています。私は将来、経済・経営学を専攻し、経済活動の面から人の生活を豊かにしたいと考えています。この作文が入賞したことにより、自分に自信がつきました。これから一年、さらに勉学に励みたいと思います。

佳作 眞壁 鉄郎さん(京都府立北桑田高等学校 3年)

今回、経済経営学部論文コンテストに応募するにあたって、自分の住んでいる町の深刻な課題を、逆転の発想で有効に活用できないかと考えました。ジビエ料理で地域を活性化させようとする取組は、すでに全国各地で実施されていますが、今ひとつ普及しない要因を自分なりに分析してまとめました。この小論文を読まれた方が、ジビエ料理をより知ってもらうきっかけとなればと思っています。

この度は、このような賞を頂くことができて、本当に嬉しいです。ありがとうございました。

佳作 前後 音羽さん(東京都立国際高等学校 1年)

この度は、私の論文を高く評価していただき、ありがとうございました。

この論文を書くことを通して、教科書や授業までだった知識を書籍やSNSを活用して深め、自分のものにすることができました。また、何気なく買い物のときに支払っていた税金が、現在の経済の中で大きな問題の一つになっていることを深く学び、一人の国民として、将来どのように経済に関わっていくか、とても考えさせられました。

今回このような賞をいただき、一国民として、国の現状を知り、意見することの大切さを感じました。

特別賞 小山田 幸太さん(岡山学芸館高等学校 2年)

この度は特別賞を頂き、ありがとうございます。私自身の意見を書く機会を頂いた事を大変嬉しく思います。今回の小論文を書くことによって、経済や金融に対して深い知識を得る機会になりました。特に校内での大規模アンケートでは、私自身を含めた若者の金融商品無知という結果や日本の金融教育は海外と比べ遅れている事に驚きました。今後は金融教育の重要性を伝えていく手段や金融教育のシステム構築を学びたいと考えています。

◆学校賞◆

京都府立北桑田高等学校 公民科教諭 日下部成登先生

本校は、生徒の学力伸長と地域コミュニティの活性化を両立するカリキュラム開発を学力向上システムの中核と位置づけております。学校という学び舎を最大限活用して、「学び」「教え、教わり」「繋がる」という三要素を創出することで、生徒の「知識」「思考力」「学びに向かう力」の伸長を狙います。

今回、教科横断的に学習してきた内容を各自が整理・統合することを目的として、貴学経済経営学部論文コンテストを活用させていただきました。貴大学におかれましては、応募者1人ひとりの作品に対し、的確で丁寧な評価を文章で添えて返却いただき感謝申しあげます。おかげさまで、高い学習効果をあげることができました。誠にありがとうございました。

京都学園高等学校 社会科(教頭)山田尊文先生

本校は、今年創立96年目を迎える私立学校です。「21.3世紀のグローバル・ナビゲーターの育成」を掲げて、すべてのコースで海外留学・海外研修を実施するなど、グローバル教育・英語教育に力を入れています。今後、生徒たちが「Society5.0」と呼ばれる超スマート社会を生き抜く上で、物事をさまざまな面から捉えて、その本質に迫る姿勢がますます重要になってくると考えています。

社会科では、新学習指導要領を見据えて、社会的な課題を発見し、知識・技能を活用して解決に導く思考力、さらに自分の考えや意見を相手に伝える表現力を身に付けることを主眼に置いた授業を実践しています。今回、生徒たちは高校生論文コンテストへの参加を通じて、経済・経営への学びを深めることができたと思います。

今後も、生徒にはこのような機会を積極的に生かして、世界に目を向けて、自分の意見を発信し、持続可能な社会の担い手となってくれることを願っています。

(高校生論文コンテスト(経済経営学部)実行委員会)

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