バイオテクノロジー産業の最前線「リパーゼと油脂加工」【バイオ環境学部】

2022年10月14日トピックス

「バイオテクノロジー産業の最前線」は、バイオ環境学部の2年生以上が対象の科目です。社会に出てからのキャリアアップを目的に、15回にわたってオムニバス形式で開講しています。産業界(食品、化粧品、医薬品、等)あるいは研究機関の第一線でご活躍されている方を講師にお招きし、講演いただいています。

第3回は、 地方独立行政法人大阪産業技術研究所で脂質工学についてご研究されている永尾寿浩先生に「身の回りの脂質製品とリパーゼを用いた脂質加工」と題してご講演いただきました。

大阪産業技術研究所は、企業技術を支援するために作られた大阪府の研究所で、生物・生活材料研究部の他にも有機材料、電子材料等の研究部門を擁しています。これまでにさまざまな企業と共同研究を行ってきた中で、今回は抗菌作用のある脂肪酸を使用した抗アレルギー作用のある化粧品の開発について解説していただきました。

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ご講演では脂質の基礎知識について触れられ、油と脂の違いから、これらに含まれる脂肪酸の種類に至るまで詳細に説明いただきました。特に、最近話題になっている魚由来の機能性脂質であるEPAやDHAについては、中性脂肪低下作用の他に、目や記憶力向上にも効果があるという研究結果を紹介していただきました。

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本題の脂肪分解酵素であるリパーゼについては、食品用途としてココアバターの代替油脂の製造や製パン時の加工助剤として使われているだけではなく、医薬品の消化薬としても使用されたり、身近なところでは家庭用洗濯洗剤等にも幅広く使用されています。今回の講演では、リパーゼがココアバター代替油脂の製造に使われていることから、チョコレートの製造についても紹介。カカオ豆からチョコレート原料のカカオマスやココアバターを作る際には、カカオ豆を木箱やバナナの皮を使って発酵させます。チョコレートは発酵食品であるという興味深いお話もしていただきました。

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講演終了後、永尾先生からカカオ豆の実物を見せていただき、学生たちもリバーゼという酵素を大変身近に感じることで理解を深めることができたようです。

次回は、2022年10月14日(金)13:20から、月桂冠株式会社常務取締役総合研究所長の石田博樹先生を講師にお招きして開催します。

(バイオ環境学部教授 藤田裕之)

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