卒業生の皆さん、本日は誠におめでとうございます。
本日、40名の留学生と25名の日本人学生の皆さんが卒業されます。皆さんはそれぞれ異なる背景や経験を持ちながらも、本学で同じ時間を過ごし、同じ学びの場を共有し、そして今、この記念すべき日を共に迎えられました。
本学での学びは、単に単位を取得したり、知識やスキルを身につけたりすることにとどまりませんでした。皆さんは問いを立て、深く考え、知識を新たな価値創造にどう活かすかを学びました。異なる文化や背景を持つ友人と出会い、互いを理解し合い、新たなアイデアや力を生み出す議論を重ねてきました。この経験は、これから世界と関わっていく皆さんにとって、確かな土台となることでしょう。
私たちのビジョン“Future Makers from Kyoto”が示すように、未来はただ訪れるものではなく、皆さん一人ひとりが学びと経験を通じて創り出すものです。

京都で学ぶことには特別な意味があります。1200年以上の歴史を持つこの街は、多様な文化や人々を受け入れながら発展してきました。京都は過去と未来が交差する場所です。ここで育んだ知恵と感性は、国際社会で新たな価値を創造する力となるでしょう。
皆さんのこれからの道は多様です。母国に戻り、社会に貢献する人もいれば、大学院でさらに学びを深める人もいます。実に約70%の留学生が日本に残り、研究を続ける予定です。京都で学んだことを母国に持ち帰ることは尊い使命であり、ここに残って研究を深めることも未来に向けた重要な挑戦です。どの道を選んでも、皆さんは「未来を創る人」として歩み続けていくのです。
ここでの学びの中で、皆さんが直面した困難は決して簡単なものではなかったでしょう。しかし、困難を乗り越えることこそが成長の大切な一部です。失敗は終わりではなく、新たな理解の始まりです。皆さんが成し遂げたことは、教室や研究室の中だけでなく、困難に立ち向かう勇気や、前に進む力にも表れています。
私たちは不確実な時代に生きています。紛争、気候変動、経済危機など、どの社会も単独では問題を解決できないことを思い知らされます。そんな時代に、本学のような真にグローバルなコミュニティで学んだことは、未来への備えとなります。皆さんは、自信を持って世界に踏み出す準備ができています。
また、卒業生を支えてくださったご家族やご友人の皆さま、特に海外からこの日のためにお越しいただいた皆さまに、心より感謝申し上げます。今日このように晴れの日は、皆さまの支えと信頼の賜物でもあります。
卒業生の皆さん、これから歩む道の中で、誇りと感謝、そして希望を胸に進んでください。本日受け取る卒業証書は、終わりではなく、新たな始まりの象徴です。
改めて、卒業おめでとうございます。本学は皆さんを誇りに思い、皆さんのこれからの成功と幸せを心より願っています。
ありがとうございました。
京都先端科学大学 学長
前田 正史