2025.09.30

2025年度秋季卒業式 田畑副学長 式辞全文

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ご卒業おめでとうございます。
教員および職員を代表して、心よりお祝い申し上げます。
また、ご家族の皆様にも、この記念すべき節目に心よりお祝い申し上げます。

本日、約60名の学生が卒業します。そのうち70%が留学生であり、さらに50%は2021年9月に工学部へ入学した最初の留学生グループにあたります。皆さんはこのプログラムの最初の卒業生であり、この瞬間は本学にとって歴史的な出来事です。

本日は多くの留学生が卒業することから、大学は式典を英語で行うことを決定しました。本学はグローバル大学であり、式典を英語で実施することは、本学の姿勢を示すものです。また、この英語による卒業式が日本人学生にとっても特別な思い出となることを願っています。そして、皆さんは誇りを持って「私たちの卒業式は英語で行われた」と言えるでしょう。

多くの皆さんが大学生活を始めたのは、新型コロナウイルス感染症のパンデミックの最中でした。友人と会ったり、日常の学生生活を楽しむことは簡単ではありませんでした。しかし、その中で人とつながることの大切さを実感したのではないでしょうか。学生生活の後半には、良き友情を築き、意義深い思い出を残すことができたことと思います。

この4年間で、世界は劇的に変化しました。2022年にはウクライナ戦争が始まり、2023年にはガザでの戦闘が勃発しました。2024年にはアメリカ合衆国で新たな大統領が選出されました。そして今日も、東南アジアをはじめ各地で紛争が拡大しています。一方で、テクノロジーは急速かつ指数関数的に進化しています。たとえばAIは著しく発展し、2022年に登場したChatGPTは世界を変えました。その後、多くのAIツールが登場し、皆さんの多くも活用してきたことでしょう。このようなテクノロジー主導で急速に変化する世界において、皆さんが未来への明確なビジョンを持ち、前に進み続けてくださると信じています。そして、在校生、共に働く仲間、そしてこれから生きる社会に対して、本学卒業生としての力を示し、道を切り拓いてください。

最後に、大切なメッセージをお伝えします。

皆さんが本学で学び、身につけたものは、強固な学問的基盤であり、「知恵の土台」です。それは単なる知識ではありません。知識はすぐに古くなります。しかし、本学で築いた基盤をもとに知識を広げることができます。どうか学び続け、自らを高め続けてください。

そして「共感」を常に心に留めてください。共感とは、他者の気持ちを、まるで自分自身のことのように理解することです。AIは理解しているように振る舞うことはできますが、他者の感情を本当に感じ取ることはできません。すべては共感から始まります。社会問題の解決、新しい製品の開発、他者への奉仕、信頼の構築、コミュニケーション、そして異なる背景を持つ人々との協働——これらは共感なくして成し遂げることはできません。本学で過ごした皆さんには、多様で国際的な環境の中で共感を学ぶ機会が多くありました。だからこそ、皆さんにはそれを実践する力があるのです。

本学はいつまでも皆さんの故郷であり、私たちはこれからも皆さんを支え続けます。

皆さんの未来が希望と挑戦に満ちたものであることを心から願っています。

あらためて、ご卒業おめでとうございます。

Bon Voyage —— 皆さんの新たな旅立ちが素晴らしいものとなりますように。

京都先端科学大学 副学長

田畑 修