「バイオテクノロジー産業の最前線」は、バイオ環境学部の2年生以上が対象の科目です。社会に出てからのキャリアアップを目的に、15回にわたってオムニバス形式で開講しています。産業界(食品、化粧品、医薬品、等)あるいは研究機関の第一線でご活躍されている方を講師にお招きし、講演いただいています。
第3回は、月桂冠株式会社常務取締役総合研究所長の石田博樹先生にご講演いただきました。同社の石田先生は、日本酒の製造のみならず、そこに含まれる機能性成分の研究、開発を担当されています。今回は、世界各地のお酒の紹介に加えて、なぜ人間だけがお酒に強くなったのかといったことから、日本酒と日本の文化との深いかかわりについてもご講義いただきました。

次に、日本酒の造り方について、醸造酒、蒸留酒といった世界各地にある様々なお酒の中でも、麹と酵母による平行発酵という特殊な発酵方法で製造されており、これのコントロールの難しさについて説明して頂きました。日本酒の原料となる「水」がや「酒造米」についても、その選別ができあがる製品に大きな影響を与えるということも教えて頂きました。

最後に、食品以外の開発に麹が使用される事例として、発酵させると米が黒ずむ麹を使用した白髪染めの商品化事例や、日本酒のアルコール分に加え、吟醸酒の香りにも精神の安定にも影響を与えるといった研究や製品化された事例を紹介して頂き、食品以外の開発にも使用できる麹のすごさに、学生たちは驚いていました。

次回は、10月10日(金)に、香椎化学工業株式会社カシーテクニカルセンター開発本部学術グループ課長の村田祥全先生を講師にお招きして行います。
(バイオ環境学部 応用生命科学科 藤田裕之)