2025.11.17

バイオテクノロジー産業の最前線「機能性農産物開発と新たな機能性表⽰制度」

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「バイオテクノロジー産業の最前線」は、バイオ環境学部の2年生以上が対象の科目です。社会に出てからのキャリアアップを目的に、15回にわたってオムニバス形式で開講しています。産業界(食品、化粧品、医薬品、等)あるいは研究機関の第一線でご活躍されている方を講師にお招きし、講演いただいています。

11月7日に実施した第7回目では、農業‧⾷品産業技術総合研究機構(以下、農研機構)の⾷品研究部⾨エグゼクティブリサーチャーとして、食の機能性、特に農産物による機能性表示食品の創設にご尽力された山本万里先生をお招きし、「日本の機能性表示制度と機能性食品開発」についてご講演いただきました。

冒頭、今後訪れるであろう高齢化社会における健康寿命を延伸するための生活習慣の改善、特に食生活の重要性についてお話頂きました。さらに昨今の問題点として、若年女性の痩せ過ぎから、将来の生活習慣病発症リスクが上昇するという点に触れられ、若いうちからの食習慣の重要性についてお話いただきました。 

続いて、日本における食品の機能性の研究の歴史について説明をしていただいた後、日本における食品の3つの表示制度、「特定保健用食品」、「栄養機能食品」、「機能性表示食品」について、実際の商品事例を挙げながら、それぞれのカテゴリーの違いについて分かりやすくご説明いただきました。特にご専門である農産物に対する機能性表示の取り組みについては、原料となる食材から製品化されたものまで、実例を示していただきながらわかりやすくお話いただきました。 

最後に、最近の農研機構での研究内容をご紹介いただきました。特に一人一人の個人の体調や生活習慣にあわせた「セルフケアフード」については、現在データベースを構築中とのことで、数年以内には個人の状態に合った食材やトータルの食事としてお弁当の様なものの提案ができるようになるとのことでした。また、ここでもAIが活用されているとのことで、この分野でも情報処理の重要性がますます高くなっていると感じさせられる事例でした。 

次回は、11月14日13:00から、キリンホールディングス株式会社基盤技術研究所の谷口 慈将先生を講師にお招きして行います。

 (バイオ環境学部 応用生命科学科 藤田裕之)