2025.12.05

バイオテクノロジー産業の最前線「ヒトの健康に対するサイエンスの貢献と課題」 

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「バイオテクノロジー産業の最前線」は、バイオ環境学部の2年生以上が対象の科目です。社会に出てからのキャリアアップを目的に、15回にわたってオムニバス形式で開講しています。産業界(食品、化粧品、医薬品、等)あるいは研究機関の第一線でご活躍されている方を講師にお招きし、講演いただいています。

第10回は11月28日に、今年8月に新たにできた丸紅ファーマシューティカルズ株式会社で代表取締役社長の西中重行先生に「健康に対するサイエンスの貢献と課題」と題してご講演していただきました。

今回の講義では、バイオテクノロジーと私たちの生活との関わりについて、その功罪の観点からお話いただきました。まずは、サイエンスの発展が医学的にどのように進化してきたのか、インスリンやペニシリンなど発見やその製剤化をはじめとして、ノーベル医学・生理学賞の歴史も振り返りながら説明いただきました。

次に、くすりの歴史やくすりどのようにして体内で効果を現すかについて、日本製薬工業協会(製薬協)で作成された動画を用いて説明していただきました。続いて、アスピリンや抗潰瘍薬の開発にかかわる秘話にも触れて説明していただき、いろいろな苦労があって今日の医薬品が開発されていると言うことに学生も驚いているようでした。

最後に、くすりの開発が厳格に行われるようになった背景として、様々な医薬品による痛ましい事件から今日の認可制度ができてきたことについて、動画も交えて説明していただきました。特にサリドマイド事件における当時の各国の安全性の考え方の違いで大きな影響を受けたということに感心させられた学生も多かったようです。今回の講義を通して、サイエンスの発展には倫理的な配慮の重要性を考えさせられる講義となり、実験を行う学生にとって大いに参考になりました。

次回は、12月5日に、不二製油(株) 研究開発本部研究戦略マネージャーの中森俊宏先生を講師にお招きして開催します。 

 (バイオ環境学部 藤田裕之)