2025.12.22

バイオテクノロジー産業の最前線「ヤマサ蒲鉾における食の安全安心への取り組み」

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「バイオテクノロジー産業の最前線」は、バイオ環境学部の2年生以上が対象の科目です。社会に出てからのキャリアアップを目的に、15回にわたってオムニバス形式で開講しています。産業界(食品、化粧品、医薬品、等)あるいは研究機関の第一線でご活躍されている方を講師にお招きし、講演いただいています。 

第12回目は、12月12日にヤマサ蒲鉾株式会社の取締役品質管理部長の黒田信行先生に「当社における食の安全安心への取り組み」と題してご講演いただきました。 

同社は、魚肉練り製品を中心に、学生にもなじみ深い、かに風味かまぼこや揚げかまぼこを中心に、自社だけでなく他社のOEMも請け負っているとのことで、海外にも広く展開、輸出されているとのことでした。また、品質管理を担う部署として、美味しさだけではなく、安全・安心に消費者に商品をお届けすることを責務として日々務めているとのお話がありました。これについては、今年国内で起きてきたいくつかの食品事故の事例をあげながら、食品企業として当然しなければいけない安全への取り組みを教えて頂き、これらは毎日の食生活にも応用でき学生にも大変参考となる内容でした。 

次に、食品を安全に製造するための規範となるHACCP(ハサップ)システムについて、自社製品の「自家製豆腐入りハンバーグ」を例に、各製造工程に潜む危害要因や安全に加工していくための手順について説明していただきました。その際に、多くの現場の写真を交えて説明していただけたので、まさに工場見学をしたような感覚でお話を聞くことができ、安全に製造するとはどういうことかを十分認識できるいい機会になりました

最後に、SDGsへの取り組みの一端を紹介していただきました。製造現場で発生する食品の未利用資源や、消費期限の近い商品などを堆肥にして植物を育てる活動などを行っているとのことでした。また、工場内では揚げ物を行う工程が多いことから、そこで出る廃植物油を飛行機の燃料に使用する「SAF」と言う取り組みにも参加されておられ、この燃料が関西万博で飛行したブルーインパルスの燃料として使用されたとのことでした。 

次回は、2025年12月19日(金)13:00から、三栄源エフ・エフ・アイ株式会社検査部の齋藤大祐先生を講師にお招きして行います。

(バイオ環境学部 藤田裕之)