学部・大学院を修了される皆さん、学士・修士・博士の学位取得、誠におめでとうございます。
また、今日まで皆さんを支えてこられたご家族や関係者の皆様にも、心よりお祝い申し上げます。
皆さんは本日、京都先端科学大学を卒業し、新しい人生の門出を迎えます。大学生活は決して長い時間ではありませんが、その間に皆さんは多くの経験を重ね、大きく成長されました。今日この日を迎えられたことに、学長として心から敬意を表します。
学部卒業の皆さんは、第4期生として本学に入学されました。4年前、皆さんが大学生活を始めた頃、社会はまだ新型コロナウイルス感染症の影響の中にありました。入学当初から思い描いていた大学生活とは異なるスタートとなった方も多かったことでしょう。
授業の形式や学生生活のあり方、友人や先輩との交流など、さまざまな面で制約がありました。しかし、皆さんはそのような状況の中でも学びを止めることなく努力を重ね、本日この日を迎えました。その粘り強さと努力に対し、学長として深い敬意を表します。

皆さんが学んだ京都先端科学大学は、発足時の革新から、新たな発展の段階にあります。本学は、世界中の若者が集い、夢と理想を抱きながら、グローバル社会で活躍できる人材を育成する大学を目指しています。理事長の多大な支援のもと、大学改革を進め、新しい大学の姿を築いてきました。
現在、本学には世界およそ70の国と地域から学生が集い、ともに学んでいます。工学部、経済経営学部、バイオ環境学部では500名の国際学生が英語による授業を受けています。今年の秋には、さらに400名が世界から来ます。皆さんは、そのような国際的環境の中で学び、多様な文化や価値観に触れてきました。この経験は、これからの時代において大きな意味を持つものです。
ここ京都は、千年以上にわたり日本の文化と知の中心として発展してきた都市です。伝統を守りながらも、千年前も世界中から様々な人が集まり、そして旅立っていきました。その過程の中で新しい文化や技術を生み出し続けてきたのが京都です。皆さんは、その京都の地で学び、自ら考え、新しい価値を生み出す力を身につけました。この経験は、これから皆さんが世界のどこで活躍するとしても、大きな支えになることでしょう。
京都先端科学大学は “Future Makers from Kyoto” を掲げ、京都から未来を創る人材を育てる大学でありたいと考えています。皆さん一人ひとりが、この理念を体現する存在として、それぞれの場所で新しい未来を切り拓いていくことを期待しています。
本学で学ぶことは、決して容易ではなかったでしょう。
英語教育プログラムやSLS科目、厳格な出席要件や進級基準など、時には厳しすぎるのではないかと感じた人もいるかもしれません。しかし、その環境の中で努力を続け、本日卒業を迎えた皆さんは、確かな力を身につけています。社会に出れば、その価値を必ず実感することになるでしょう。
皆さんが大学生活を送ってきたこの数年間、世界では大きな出来事が続きました。ロシアによるウクライナ侵攻、中東地域における戦闘の拡大、さらに最近では米国、イスラエル、イランをめぐる軍事的緊張の高まりなど、国際社会の不安定さは増しています。私たちがこれまで当然のものとしてきた国際秩序は、いま大きく揺らいでいます。
本学にはウクライナからの学生も在籍しており、皆さんの中には彼らと共に学び、世界の現実を身近に感じた人もいるでしょう。こうした出来事を遠い場所の出来事としてではなく、同じ世界に生きる私たち自身の問題として考えることが、これからの時代にはますます重要になります。
これまで皆さんは学生として社会に守られてきました。
ご家族、大学、地域社会の支えがあって今日があります。しかし、これからは皆さんが社会を支える側になります。
本学で身につけた知識と経験を活かし、京都先端科学大学の卒業生として、それぞれの場所で活躍してください。恐れることなく挑戦し、自らの未来を切り拓いてください。そして後輩たちのために、新しい「先端大ブランド」を築いていただきたいと思います。
もし人生の途上で迷うことがあれば、どうかいつでもこの大学を思い出してください。京都先端科学大学は、皆さんの母校として、これからも皆さんの歩みを見守り続けます。
結びに、卒業生の皆さんの前途が希望に満ちたものであることを心より祈念するとともに、皆さんが新しい時代を切り拓く担い手として活躍されることを期待し、告辞といたします。
本日は、誠におめでとうございます。
令和8年3月22日
京都先端科学大学 学長
前田 正史




