機構の設置と目的

現在、わが国おける平均寿命と健康寿命の差(Gap)は、男性で約8年、女性で約12年あります。このGapにはフレイル(加齢により心身の機能低下が見られる)期間と要介護期間が含まれ、長寿超高齢化に伴う問題の多くはこの期間に集約されています。そのため、フレイル対策(介護予防)による要介護の先送りは、国の重要課題の一つです。 

そのような中、2011年にフレイルや要介護のリスク要因の解明、およびフレイル対策(介護予防)に効果的なプログラムの開発・検証を目的に、亀岡市在住の全高齢者を対象にした前向きコホート研究「京都・亀岡スタディ」を立ち上げました。京都・亀岡スタディでは、身体機能や生活状況調査とともに介入研究を実施し、2015年に健康医療学部開設後は、本学部が主体となってコホートを管理してきました。これを全学的な取り組みとするため、2019年に「アクティブヘルス支援機構」を立ち上げました。アクティブヘルス支援機構は、「食」と「運動」の両面から健康寿命を延伸するためのコホート研究を実施し、身体面のみならず精神・心理面、社会面から高齢者をサポートするエビデンスを構築し、医療経済学的評価も行って、健康寿命延伸に寄与する「京都・亀岡モデル」を創出することを目的としています(図1)。 

図1 アクティブヘルス支援機構の概要

三者協定が後押し 

2018年6月26日には「亀岡市と京都学園大学(現、京都先端科学大学)、及び国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所との連携協力に関する包括協定」を締結し、三者が相互に連携協力し、それぞれの活動を充実させることを通して、住民の幸福度の向上、及び介護予防施策の実施等に寄与するとともにその成果を日本国民全体に波及させることを目指しています。この、三者協定締結によって、亀岡スタディを実施するための基盤ができあがり、本学側でのカウンターパートとしての研究機関が学内に必要となったことも、「アクティブヘルス支援機構」を新規に設置することへの後押しとなりました。 

研究活動 

(1)研究フィールド 

アクティブヘルス支援機構では、現在、2つのフィールドで、健康寿命延伸のための研究活動を継続しています。 

1)京都・亀岡スタディ

正式名は『亀岡市在住高齢者を対象とした外傷予防および介護予防を推進・検証するためのコホート研究(Kyoto-Kameoka Study)』と言います。2011年(平成23年)8月の亀岡市約18,000名の高齢者を対象にした第1回日常生活圏域ニーズ調査を皮切りに、その後、補完する追跡調査、体力・筋量などの身体機能の測定、身体活動量の調査、1年半にわたる運動・栄養・口腔ケアによる包括的介護予防(フレイル予防)プログラムの介入試験を実施し、2013年度(平成25年度)には、二次予防事業対象者把握事業調査を実施してきました。亀岡スタディは、このようないくつかの調査に介入試験が組み込まれ、さらに、医療費、介護保険、死亡などの統計情報を追跡している世界にも類のないコホート研究で、既に多くの論文が国際誌に掲載されております(図2)。 

また、検証された介護予防(フレイル予防)プログラムは、京都式介護予防総合プログラムとして亀岡市ばかりでなく、京都府および府内市町村、近隣府県の高齢者施策にも取り入れられています。亀岡スタディでは、プログラム普及・介護予防を推進する組織としてNPO法人(元気アップAGEプロジェクト)を設立し、市民による介護予防サポータの養成と、養成したサポータを活用する仕組みも構築しています。 

2)太秦体力測定会

この測定会は、高齢者研究の場であるばかりでなく、本学健康医療学部の学生実習、地域貢献事業としての役割を持ちます。2002年からコロナ禍の4年間を除き毎年実施されてきました。本学での試みは2015年の健康医療学部開設時の公開講座が最初です。毎年5月~6月の土・日2日間を使って実施され、例年約450名が参加されています。この中には十数年以上にわたる参加者もおられます。この測定会では、体格、体力、身体組成(筋量)、生活習慣などの基本項目(基本コース:part 1)に加え、共同研究で参画される先生方によって、口腔機能、脳機能(認知機能)、下肢運動機能、歩行機能、肩関節機能、骨や筋の画像データ分析など、より専門的で多様な領域の項目(じっくりコース:part 2)も調べられております。2002年からのデータは、アクティブヘルス支援機構でデータベース化され、多様な解析が行える体制を構築しています。 

本測定会は、参加者にとっては普段調べてもらえない機能を調べてもらえます。また、全く異なる学問分野や企業の方が参画される本測定会は、老化研究の新しい方法論の提案や健康寿命延伸への提言につながる研究フィールドとして注目されています。 

図3 太秦体力測定会とデータ構築の概要

(2)現在実施中の研究活動 

国が示す「人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針」に基づき京都先端科学大学研究倫理審査委員会に承認された現在実施中の研究活動について公開します。 下記の研究課題についてご質問や研究参加の撤回などございましたら、各研究課題のお問い合わせ先までご連絡ください。 

亀岡市在住高齢者を対象とした京都・亀岡スタディによって得られたデータの総合的解析

対象者:「平成23年から平成25年にかけて実施した京都・亀岡スタディの郵送調査および介入研究に参加された方」​

京都・亀岡スタディの調査に参加いただいた皆様へ

更新日:2025年11月17日

亀岡市在住高齢者を対象とした亀岡スタディの追跡郵送調査

対象者:亀岡市が実施した「平成23年度日常生活圏域ニーズ調査」または「平成25年度二次予防事業対象者把握事業調査」に回答された方

亀岡スタディ追跡調査

更新日:2025年11月17日

健康寿命延伸につなげるデータベースの構築(高齢者を対象にした、体格、体力、身体組成および生活状況に関する調査:太秦体力測定会) 

対象者:2016年(平成28年)から実施されている太秦キャンパス測定会に参加された方およびそれ以前(2002年~2015年)に京都府立医科大学体育館で実施された測定会に参加された方 

太秦体力測定会に参加を希望される皆さまへ、過去に本測定会に参加いただいた皆さまへ 

更新日:2026年1月15日

「アクティブヘルス支援機構」の研究体制の将来像

「アクティブヘルス支援機構」は単なるコホート研究にとどまらず、食事支援、新規食品開発、高齢者の介護を含めた地域支援等、広範な分野にその成果を及ぼすことが可能とするものです。そこで、全学的な「食と運動による健康づくり開発プロジェクト」としてプロジェクトを立ちあげ、この共同研究体として「アクティブヘルス支援機構」を位置づけ、全学部にまたがる横断的な研究プログラムを立ち上げる必要があると考えています。

構成員

機構長 京都先端科学大学 
バイオ環境学部
教授藤田 裕之
研究者 京都先端科学大学 
健康医療学部
准教授瀧本 真己

客員研究員

京都先端科学大学客員研究員木村 みさか
東北大学 医工学研究科・医学系研究科
国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所
教授
客員研究員
山田 陽介
東北大学 医学系研究科
国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所
准教授
客員研究員
吉田 司
国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所室長/プロジェクトリーダー南里 妃名子
国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所室長吉村 英一
国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所研究員渡邉 大輝
びわこ成蹊スポーツ大学准教授渡邊 裕也
滋賀大学 データサイエンス学部准教授伊達 平和
滋賀大学 データサイエンス学部 助教堀 兼大朗
大阪大学 全学教育推進機構准教授難波 秀行
リョーヤコマツクリニック
ゲートタワー生活病センター
名引 順子