心理学科 社会・産業プログラムの「専門演習」(君塚洋一クラス)では、社会学や心理学の学びを社会に活かすため、地域や消費者を対象とした社会調査を実施し、その成果をさまざまな広報媒体を通じて発信する実践的な学びを行っています。

このほど2024年度「専門演習」ですすめてきた京都をめぐるフィールドワークの成果が、人文学部国際キョートロジーセンターの研究広報誌「京の趣――京都らしさのゆくえ」として刊行されました。
近年、京都では、押し寄せる「オーバーツーリズム」の中で、1200年の古都の魅力を受け継ぎつつ、観光客の流れと地元の市民生活とをバランスさせるための施策がさまざまに模索されています。
京町家などの歴史的な資源の激減や京都とは名ばかりの観光商業の店も増える中、この専門演習では、9人のゼミ生が、今後に受け継がれる「京都らしさ」をどうつくるかという課題を立て、これからのこの古都のあり方を見通していこうと、「京都のいま」をつくる施設や店舗のあり方をとりあげました。
今回紹介したのは、職住一体の織物産業が盛んだったかつての西陣地区のように、地元の方々が住む住居兼工房としてアートや工芸品を産み出す京町家の長屋を営む東山の大家さんや、古民家や古い銭湯の建築の特色を活かしてリノベーションしたユニークなカフェ、うどん文化圏の関西に京料理の伝統をベースとした江戸蕎麦を持ち込んだ蕎麦店などです。
この冊子の制作を通じて、ゼミ生たちは、決して商品や流行として消費されない独自の京都らしさを模索する地元の方々に、今後、古都の新旧のよさを受け継いでいくためのさまざまなヒントを学んだようです。

<これまでの刊行物>
(人文学部心理学科 特任教授 君塚 洋一)