環境問題 ~環境問題に取り組みたい~

フィールドに出て環境問題にチャレンジ!

景観から自然環境を読み解く

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丹羽 英之 教授

写真は亀岡キャンパスの目の前に広がる農地をドローンから撮影したものです。収穫を迎えた水田、稲刈り前の水田と後の水田などバラエティーに富んだ様相を見せる水田、農地の中に河川、休耕田が点在、など様々なことが読み解けます。そして、この景観の中にはどんな生物が棲んでいるのか?その生物が棲み続けるためには、どんな環境を守らなければならないのか?鳥の目で見た景観から様々なことを読み解き環境を診断し、診断結果を社会に提示し環境保全につなげる。景観生態学はそのようなことを得意とする学問分野です。“鳥の目で見た景観”とあるように、景観生態学では環境を広い視野で鳥瞰することが重要になります。

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ドローンから撮影した風景

そのため、景観生態学を専門とする研究者にとってドローンは“夢の道具”なのです。研究者の指示に従いドローンが環境診断の基となる自然環境情報を取得して来てくれるのです。私は植物に軸足を置いていますが、生きものであれば何でも研究対象にします。山あり、川あり、農地ありの亀岡は、私にとっては飽きることのないワクワクするフィールドです。時間があればフィールドに出向きドローンを飛ばしています。これまでに、多くの自然環境情報を蓄積し、様々な環境診断を社会に示してきました。

亀岡盆地は環境省が選定した重要里地里山(生物多様性保全上重要な里地里山)500のうちの1つです。そのような亀岡盆地の自然環境を保全するための研究に積極的に取り組んでいます。

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バイオ環境デザイン学科の景観生態学研究室ホームページ

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人間活動と水の関わりを知り、大切な水資源を守る!

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高澤 伸江 准教授

阿野先生が主に扱ってらっしゃるのは、陸上の生物を利用したデザインですよね。私が扱っているのは、もっともっと小さくて、水の中にいる生き物たち、1㎜以下の植物プランクトンです。これらの生き物は、水の中の食物連鎖の一番の基礎となって、魚や大型哺乳類、私たちの体まで支えてくれたり、地球規模の気候を調整したりする機能があるともいわれています。しかし、人間が汚れた水を川や海に流し過ぎたり、農地に過剰な肥料を撒いたりして、水中に植物プランクトンが利用できる栄養が増えすぎると、赤潮やアオコの発生につながってしまいます。

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私たちは、フィールドワークにより水環境と生態系の関係を調査し、多面的な水利用と生態系保全のバランスが整った水環境デザインを考えていきます。さらに、最近は、河川や海洋をフィールドにマイクロプラスチックについても研究を進めています。近年の調査で、自然豊かな亀岡を流れる河川にもマイクロプラスチックが含まれていることがわか5ってきました。人間活動が水質に及ぼす影響や、水環境を通した人間活動と生物の関わり、物質循環についてこれからも考察していきます。

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バイオ環境デザイン学科の水環境研究室ホームページ

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生物機能を利用して汚染物質の除去技術の開発へ!

過酷な環境下で適応してきた微生物をヒントに酵素をデザインする

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櫻間 晴子 准教授

私は、神戸大学や大阪大学などの先生方と一緒に環境問題に取り組んでいます。実は、高澤先生ともプラスチックごみ問題で共同研究していて、高澤先生のマクロな視点に対して、私はミクロな視点、つまり、プラスチックごみやその周辺にいる微生物に着目して研究を進めています。微生物は小さく単純な構造をしていて世代時間(1個から2個の細胞になる時間)が短いことから、環境に合わせて柔軟に性質を進化させることができます。また、微生物は他の微生物が獲得した有用な遺伝子を自分の遺伝子に取り込む能力も持っています。病原菌がこれらの能力を巧みに利用し抗生物質が効かなくなる性質を獲得することで引き起こしているのが、今問題になっている薬剤耐性菌の問題です。一方で、人間が新たに創り出した様々な環境汚染物質を分解するように進化した微生物も数多く発見されています。

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酵素の立体構造

プラスチックを分解する微生物もその一つです。私は、様々な環境下で生存適応してきた微生物の能力を生かした除去技術を開発しようと考えています。さらに、タンパク質工学により、微生物の能力のもとになっている「酵素」の機能を、目的に合った性質になるようにデザインしていくことで機能改善をしていきたいと考えています。

(図)私が行った酵素の結晶化と結晶から決定した立体構造。酵素の立体構造の理解は酵素をデザインするために役立ちます。

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バイオサイエンス学科の応用微生物学研究室ホームページ

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植物の遺伝子解析から環境ストレス耐性や環境浄化メカニズムを解明

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PRIETO Rafael 准教授
(プリエト ラファエル)

植物は、乾燥、温度、光などの物理ストレス、カビなどの微生物や昆虫による生物ストレス、除草剤や殺虫剤、重金属などの薬剤ストレスなど様々な環境ストレスの中で生育しています。例えば、カドミウム(Cd2+)などの重金属は、生体内の酸化還元状態の維持、水バランス、光合成、窒素代謝などに影響を与えます。一方で、三つのアミノ酸(γ-Glu-Cys-Gly)からなるグルタチオン(GSH)は、生体内の酸化還元状態の維持、薬剤、除草剤などの生体異物の解毒、フィトケラチン((γ-Glu-Cys)n-Gly、PC)前駆体としての重金属防御などに重要な役割を担っています。私達の研究室では、T-DNA挿入変異法などにより重金属への感受性が異常になっている変異株を分離して、その原因遺伝子の単離と機能解析を行ってから、遺伝子組み換え技術などを用いて環境ストレス耐性が向上した作物や重金属などに汚染された土壌の浄化(ファイトレメディエーション)に適する植物の開発を目指します。(図)野生型とGSH合成変異株は、1μMCd2+を含むと含まない寒天培地で1週間成長させました(A)。フィトケラチン(PC)によるCd2+耐性機構。植物細胞は、Cd2+ストレスにさらされると、GSHから合成されるPCのCd2+キレート物質を液胞内に隔離することによりCd2+から保護されます(B,C)。

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バイオサイエンス学科の植物バイオテクノロジー研究室ホームページ

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食から環境にアプローチ

葉っぱの上の微生物が環境を救う

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井口 博之 准教授

腸内細菌が人の健康に大切って知ってますか?これはヨーグルトのCMなんかで見て有名かもしれませんね。では、植物の上にいる微生物が植物の健康や生長に大切って知ってます?目には見えませんが、葉1cm2に100万もの微生物が存在して、植物に栄養を与えたり、植物の生長を調節したり、外から病原菌が定着するのを防いだり有益な働きをしています。こういった植物共生微生物は、環境や人にやさしい農業につながると注目されています。ご存じの通り農薬や化学肥料は環境を汚染しますし、化学肥料は温室効果ガスも増やしてしまいます。ところが植物共生微生物を利用すれば、植物上で自然に増殖し、農薬や肥料に代わるような働きをし、役目が終われば土に帰ります。このような働きはどんな微生物でもできるわけではなく、環境中から有益な微生物を探索したりその能力を解明したりが研究の仕事です。

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当研究室ではメタンやメタノールを栄養にできるメチロトローフという微生物に注目しています。例えば写真のようにイネの生長を促進するメチロトローフを見つけています。現在は、トマト果実の甘味や大きさを高める能力を持つメチロトローフを見つけ、農業に利用しようとチャレンジしています。また、植物上での増殖に必要な能力の遺伝子・タンパク質レベルでの解明も進めています。水田は温室効果ガスであるメタンの主要な発生源で、イネ葉の維管束を通ってメタンは放出されています。本研究成果を元に、メタンを食べるメチロトローフをイネ葉に多く増殖させる技術を開発し、水田のメタン削減につなげたいと考えています。

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食農学科の発酵醸造学研究室ホームページ

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放置竹林は、宝の山

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藤井 康代 教授

放置竹林って聞いたことがありますか?今手入れがされていない里山が増加し、そこにあった竹林が拡大。まわりの森林を侵食し、植生が単純化したり、地滑りが起きやすくなったり、出てくる竹も細く密集していたり・・と、とても大きな問題になっています。これをどのようにして解決するか。竹林を駆逐してしまうのも一つかもしれませんが、竹林は日本の景観の一つの要素として重要です。であれば、資源として使いながらきれいな竹林を取り戻せたらいいですよね。そこに登場するのが「農業」です。化学肥料の登場で農業生産量は伸びたのですが、一方で土自身の力が弱まっています。また、化学肥料の多施用により温室効果ガスの発生が増加しています。「土づくり」は農業の基本です。そこで考えたのが、竹を使った土壌を改良や、温暖化防止の研究です。具体的には竹が吸収した二酸化炭素の炭素成分を炭にして閉じ込めて農地に土壌改良材として入れ、二酸化炭素を減らしながら土壌の微生物を活発にするための研究や、竹粉を使うことで大量にとると健康に良くないと考えられている硝酸イオンという物質を野菜から減らす研究をしています。

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バイオ環境デザイン学科のバイオマス研究室ホームページ

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