植物 ~植物をもっと勉強したい~

植物の力を生かして、新しい農作物を創る

~地域の活性化を図る野菜品種を開発~

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佐藤 隆徳 教授

私たちは、毎日様々な野菜を食べています。野菜というのは非常に種類が多く、スーパーマーケットや八百屋に行けば、いつでも色や形の異なる沢山の野菜を見ることができます。農業生産学研究室では、亀岡地域や京都の特産物となるような野菜の開発を行っています。これまで研究室で手がけてきた野菜には、南方原産のヤマノイモの仲間であるアラータイモの‘かめまるいも’‘、真夏の京都でも収穫可能なナガササゲ(さやまめ)品種‘なつさや’、丹波地域で作られていた幻のツケナ‘丹波菜’を改良した‘京丹波菜‘などがあります。‘かめまるいも’‘は、粘りが非常に強くて美味、また、難消化性デンプンを多く含むという特徴があります。しかし、南方原産であるため、日本の暑さには強いですが寒さには弱く、また、イモを切った時に褐変しやすいという問題点がありました。

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かめまるいも

研究室では、亀岡地域で栽培・販売が可能になるよう、寒さに強く褐変し難い系統の選抜を続け、優良系統を地域の生産者の集まりである「特産物を考える会」に提供し、新品種の普及に努めています。

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食農学科の新種苗開発研究室ホームページ

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21世紀の緑の革命を目指して

~植物の遺伝子解析から植物ホルモンや栄養代謝などのメカニズムを解明~

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PRIETO Rafael 准教授
(プリエト ラファエル)

天然オーキシンであるインドール-3-酢酸は、植物の光、重力などの環境刺激に対する応答因子であり、また、植物体において内部因子として初期発生、細胞の分裂・伸長・分化、形態形成などに働く重要な植物ホルモンです。私たちは、T-DNA挿入変異法などによりオーキシン高感受性変異株を分離して、その原因遺伝子の単離と解析を行うことによりオーキシン応答の解明に取り組んでいます。一方で、作物の窒素同化の効率を高める遺伝子やタンパク質の活性化に関与する調節遺伝子を単離するために、硝酸のアナログである塩素酸を用いて、塩素酸抵抗性生株及び塩素酸高感受性株の分離と解析を行っています。私達の研究室では、前述のように、植物ホルモンの作用機構、栄養代謝、または環境ストレスへの適応が異常になっている変異株を分離して、その原因遺伝子の単離と機能解析を行ってから、遺伝子組み換え技術などを用いて生長率や環境ストレス耐性が向上した作物の開発を目指します。

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(図)変異株の遺伝子ではDNA上のGがAに点突然変異しているため本来のアミノ酸SerがAsnに変化してしまい、結果的にストレスへの感受性が高くなります。

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バイオサイエンス学科の植物バイオテクノロジー研究室ホームページ

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~共生工学による植物の機能強化~

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髙瀨 尚文 教授

畑から引き抜いたダイズの根には、直径数ミリメートルの粒がついています。この根に形成された粒を根粒といいます。あぁ、あれか、と思い浮かべた人も多いかと思います。ところで、みなさんは根粒についてどんなことを知っていますか?根粒は、根粒菌が根の細胞内に入り込んでできた共生体で、空気から取り入れた窒素をもとにアンモニアなどの窒素化合物を作る窒素固定を行う特別な組織です。根粒菌が共生していない植物細胞では、窒素固定は行われません。では単独生活している根粒菌は窒素固定を「行う」それとも「行わない」のどちらでしょうか。

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根粒

根粒菌が窒素固定できるのは、マメ科植物の細胞内に共生して形態的に変化したバクテロイドといわれる状態になったときだけですので、先の問いかけの答えは、「行わない」です。すなわち、植物細胞と根粒菌が出合い、共生が成立して根粒が形成されて初めて窒素固定という働きが生まれるのです。私たちは、単独生活している生物では発現せず、生物間の共生によって初めて発現する生物機能を利用するバイオテクノロジー研究に取り組んでいます。その1つが、ダイズ根粒の働きを強化する研究です。また、アカマツの根に共生するマツタケの生活環を操る研究にも着手しています。ゼロ(無)とゼロ(無)を足して新しい生物機能を生み出す共生工学。そんな共生工学にピピッと来たら、バイオサイエンス学科で学んでみませんか。

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バイオサイエンス学科の植物機能開発学研究室ホームページ

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マクロな視点!ドローン(UAV)で解き明かす植物の生態

~ドローンで見えてくる植物の移り変わり~

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丹羽 英之 教授

植物の葉はなぜ緑色に見えるのでしょうか?人間の目で感知できる可視光のうち緑色光を反射しているからです。そして、緑色光以外の可視光である青色光と赤色光、特に赤色光を光合成に利用しています。さらに人間の目に見えない赤外光、中でも近赤外光を強く反射します。この特性を利用し、近赤外光は植物の量や健全度の評価に利用されてきました。一般的に使われているデジタルカメラは可視光を計測し画像として記録します。紫外光や赤色光などを計測できるセンサーもあります。これらのセンサーは人工衛星や飛行機に搭載され利用されてきましたが、近年、ドローン(UAV)に搭載できるセンサーが開発されてきています。

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一般的にドローンに搭載されている可視光センサーに加え、近赤外光センサーを搭載すれば、ドローンを使って植物の量や健全度を評価できます。図は沖縄に見られるマングローブ林の健全度を評価した例です。赤色光と近赤外光から正規化植生指数という値を算出しています。この指数は-1(赤)から1(緑)の値をとり、1に近いほど葉の量が多く健全度が高いことを示しています。この図は劣化傾向にあるマングローブ林で指数が低い場所が散見されます。このマングローブ林の健康診断結果をもとに、現地では植栽などによる保全再生活動が始まっています。

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バイオ環境デザイン学科の景観生態学研究室ホームページ

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