ハバネロ香気成分の研究が科学ジャーナルに掲載されました

2018年11月01日メディア

有限会社 篠ファーム(高田成代表)が丹波地域で栽培しているハバネロなどの激辛唐辛子の特徴を見つけようと数年来、卒業研究で進めてきたハバネロの香気成分の解析がJournal Oleo Science(日本油化学会欧文誌)の10月号に掲載されました。

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もともと亀岡市で栽培されていたこともあり、地域連携として、激辛としてのみ知られていたハバネロの他の特徴を見つけようと開始しました。ハバネロの果実は非常にフルーティーな香りがします。バイオ環境学部には、高性能なガスクロマトグラフィー-質量分析計があることもあり、香気成分を調べました。推定物質や関連物質の合成などで、大部分はその成分が解明できましたが、主成分の一つで化学構造が全く予測できない物質がありました。関連文献にも明確な記述が無く、ハバネロの果実から色々精製を試み、80%程度の純度まで精製できましたが、不純物のために構造が完全に決まりませんでした。三栄源FFIとサントリー生物有機化学研究所の皆さんの協力で、この物質を100%近くまで精製でき、初めて、化学構造も決定でき、本ジャーナルに掲載されることになりました。この物質は唐辛子の辛み成分であるカプサイシンと同じ部分構造を持ち、カプサイシンの有機酸部分の生合成の中間体の可能性もあります。この物質はフルーティーな香りですが、揮発性がやや低く、香りに重みを与えていると考えられます。

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何人もの卒研生と修士学生、三栄源FFI 株式会社、財団法人 サントリー生命科学財団生物有機化学研究所の皆様の協力で完成した研究です。

(バイオ環境学部 食農学科 深見治一)

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