“里山学実習”見聞記

2018年08月01日トピックス

里山は、半世紀前までは農山村の生活や生業が依存する重要な場所でした。しかし急速な燃料の石油等への転換等によってその存在価値が失われ、また林業の低迷、病害虫の被害などから里山の荒廃が急速に進んできました。バイオ環境学部では、里山の持つ価値を見直し、その価値を現代に生かすきっかけ作りにするため、地元亀岡市の寺生産森林組合の協力のもと、マツタケ山再生を含めて里山学実習を10年余にわたって実施しています。

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実習では、高級食材とされているマツタケが生える山に戻すべく、アカマツ以外の木の伐採や、地掻きといった作業を行ってきました。しかし数年前に10年以上のアカマツは松枯れ(マツザイセンチュウ病)でほとんど枯れてしまい、アカマツを苗から育てながらマツタケ生産に適したアカマツ林を造成中です。広葉樹が生い茂っていた山が、アカマツ主体のすっきりした山になっていく姿に学生たちは達成感を感じていました。

20 mを超える高さの針葉樹の間伐方法を学びました。安全面に配慮しながら針葉樹の間伐はすべてノコギリを使っての手作業。学生たちは悪戦苦闘しながら作業を行っていました。やっと切れた20 m以上のヒノキが倒れる際にはめきめきという音とずしんという振動と共に学生の歓声が上がり、驚きと達成感の入り混じった声が聞こえてきました。

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実習が回を重ねるにつれ、ノコギリの扱いや作業の進め方にも慣れ、安全面にも配慮できるようになり、学生の成長が感じられます。

キャンパス内の竹林では、竹林の整備と竹炭作りなどを行っています。伐採した竹は無煙炭化器を用いて炭焼きし、できた竹炭は本学の藤井康代先生が携わっているカーボンマイナスプロジェクトで活用されています。実習の合間には、筍掘りをする楽しみもありました。

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里山学実習は、現在、京都府立林業大学校の上萩寛先生や地元の寺生産森林組合の協力を得て行なわれています。里山学や里山学実習を履修した学生の中には、将来林業関係を目指したいと声を上げてくれる人もおり、本学の特徴あるカリキュラムの一つになっています。

(バイオ環境学部 バイオ環境デザイン学科 宇野 洋平)

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