厳かな雰囲気の中、卒業生に笑顔 2021年度卒業式・学位授与式を開催

2022年03月23日トピックス

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2022年3月22日(火)、今年度の本学卒業式・学位授与式が京都市内の「みやこめっせ」で開催されました。昨年度に続き、出席者は卒業生と教職員に制限するなど感染対策に万全を期して挙行されました。厳かな雰囲気のなか、笑顔あふれる卒業生および修了生692名の姿に関係者も安堵した表情でした。

開会に先立ち、教職員の拍手に迎えられ、学生らが学科ごとに会場入りするところから、式が始まりました。学生全員が入場した後、前田正史学長から各学部総代および大学院の各研究科の代表に学位記が授与されました。続いて、学業が優秀だった学生4人に前田学長から理事長賞が贈られました。また、本学と縁のあった京都商業で甲子園に出場しプロ野球でも活躍した伝説の名投手・澤村栄治氏にちなんで設けられた澤村賞には、パワーリフティング部で日本新記録を打ち立てるなど活躍をみせた経済経営学部の野村優さんが選ばれ、学長特別賞として、齢76にして体調を崩しながらも経済経営学部経営学科を卒業した淺野滿夫さんが選ばれました。

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告辞を行う前田学長

学長告辞では、前田学長が卒業を祝うとともに「何事も恐れることなく自ら道を切り開き、歩んでください。大いに活躍することを心より期待しています。未来をつくるのは皆さんです」と呼びかけました。卒業生代表の答辞には、健康医療学部の市川理那さんが立ち「コロナウイルス感染症が拡大する中、4年間の集大成として参加した実習では、自分がどのような言語聴覚士になりたいのか知る機会となりました」と語るとともに、そうした自分たちの成長を見守ってくれた関係者への感謝の言葉を述べました。さらに、修了生代表である工学研究科の児玉健太さんからは「すべて英語で行われる講義に四苦八苦しながらも、その学びが私たちを成長させてくれました」と大学院生として過ごした2年間を振り返りつつ、「これからはよりよい社会の実現に貢献していくことで恩返しをしていきたい」と述べました。

学長告辞

告辞

皆さん、ご卒業、まことにおめでとうございます。

2020年からの新型コロナ感染拡大により、皆さんの学生生活は多大な影響を受けました。本学では感染拡大防止を徹底し、日本で最初にキャンパスでワクチンの職域接種を行いました。健康医療学部の全面的な協力により、皆さんの接種率は80%を超えています。日本でもっとも接種率の高いキャンパスです。その上で、最初は遠隔授業を中心に、その後はできるだけ対面授業を再開しました。

対面授業に対する理事長の強い意志もあり、本学は国内でも対面授業の比率が最も高い大学の一つでありました。しかし、クラブや同好会の活動をはじめ、友人や先輩との出会いなどが制限され、悔しい思いをした方もいたでしょう。コロナ禍でアルバイトもできず、経済的に苦しかった方もいたでしょう。

しかし、皆さんは、その困難に負けず、卒業式を迎え、学位を取得されました。教職員一同、皆さんのご努力に深く敬意を表するとともに、皆さんを支えてくださったご家族や保護者の方々に感謝申し上げます。

これからの社会は変化が激しく、予測不可能である。変動性(Volatility)、不確実性(Uncertainty)、複雑性(Complexity)、曖昧性(Ambiguity)、これらの頭文字を取りVUCA(ブーカ)の時代とビジネスの世界で言われだしたのは10年ほど前だったでしょうか。確かに、今も混迷の時代と言えるかもしれません。

2月24日、ロシア軍がウクライナに侵攻し、戦争になりました。学校が破壊され、市民や子どもたちが犠牲になるなど許されることではありません。私のウクライナ人の友人は家族とともにキエフにいます。友人は大学教員、奥さんは大学病院の医師、息子二人は大学生です。医師の奥さんは職場を離れないでしょう。想像を超える窮状であると思います。

二つの意味で、今回の戦争は他人事ではありません。

まずは、戦争そのものが、どの国にとっても、そして私たちにとっても現実のものになり得るという事実です。もう一つは、私たちが加害者になるかも知れないということです。権力の座にいる人間が、自分に都合のよい情報のみを取り入れたらどうなるでしょうか。その結果として、誤った行動に結びついているかもしれない。

いろいろな情報が錯綜しています。今は意図的に嘘の情報を流すこともあります。皆さんには、だれが、どんな意図でその情報を出しているのか。その背景を考え、いろいろな人の意見を聞き、その上で判断してほしいと思っています。皆さんが大学で学んだことは、世界で起こっているさまざまな事象を知るためのごくごく一部かもしれません。しかし、自分で情報を集め、きちんと見て、考え、判断する力が皆さんにはあります。

これまで皆さんは守られてきました。保護者の方に、大学を含む学校に、そして地域の社会にも、です。しかし、これからの社会の担い手となるのは皆さんです。本学での4年間で、新しい知恵や知識を身につけるための道具として十分なものを手にしているはずです。大いにこれを活用し、京都先端科学大学の卒業生として、社会で活躍し、自らの夢に近づかれることを祈念しています。おそれることなく、道を切り拓き、進んでください。

しかし、もし、皆さんが道に迷ったら、いつでも本学に帰ってきてください。理事長を始め、教職員一同、皆さんを全力で応援し、皆さんとともに歩んでいきます。

本日は、ご卒業、おめでとうございます。皆さんが新しい時代のリーダーになり、大いに活躍することを心より期待しています。未来をつくるのは皆さんです。


President's Graduation Address

I am honored to be here today to congratulate you on your incredible accomplishments in these extraordinary times.

Since 2020, your academic careers have been greatly affected by the COVID pandemic. To prevent the spread of COVID on campus, Kyoto University of Advanced Science became the first university in Japan to offer on-campus vaccinations. Thanks to the full cooperation of our Faculty of Health and Medical Sciences, we achieved a campus vaccination rate of over 80%—the highest of any university campus in Japan. With everyone’s safety assured, we were able to rapidly wind down remote learning and get our students back in the classroom.

The future will be a place of rapid change and unpredictability. About 10 years ago, the business world began to talk about something called "VUCA," or an age of Volatility, Uncertainty, Complexity, and Ambiguity. Indeed, we are already in an age of great perplexity.

On February 24, the Russian army invaded Ukraine. Schools are being bombed, and civilians and their children are being killed. I have a Ukrainian friend who is in Kyiv now. He is a university teacher, with two boys attending university. His wife is a doctor at a university hospital. As a doctor, she cannot leave her patients, so they have all resigned to remain in Kyiv. The plight that they face is beyond my imagination.

In two ways, this war is closer to us than we may think.

First, war can come to any country, including our own. Second, there is always the possibility that we ourselves may become the perpetrators of war. What happens when a person in a position of power only permits information that conforms to their worldview and insulates themselves from the truth? The likely outcome is that they will make poor decisions.

You now have the ability to gather information on your own, examine it critically, weigh it carefully, and draw your own conclusions.

So far, you have all been well-protected by your parents, your teachers, and your communities. However, it is you who will be the leaders of society in the future. Your four years at KUAS have provided you with the tools to acquire new knowledge and wisdom on your own. I hope that you will make full use of those tools and that you will honor KUAS by contributing positively to society and pursuing your dreams. Never be afraid to carve out your own path as you go forward into the world.

Nevertheless, if you ever find yourself lost, you are always welcome at KUAS. The faculty and staff will do their utmost to help and guide you on your way.

Once again, congratulations on your accomplishment today. I sincerely look forward to watching you flourish as the leaders of a new era. And remember, the future is yours to create.

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祝辞を述べる永守理事長

祝辞に立った永守重信理事長は、「自信と誇りを持って社会に出て欲しい。いま、社会は大きく変化しており、学び続けないと取り残される時代である。これはチャンスである、実力と実績の時代であるからこそ、社会に出たら、『努力と我慢』で学び、挑戦を続け、良い人生を送ってほしい」と激励のメッセージを送りました。この式の模様は、参列できなかった父母らが見られるようにライブ配信されました。

理事長祝辞

卒業生の皆さん、ご卒業を心よりお祝い申し上げます。

4年前に理事長に就任し、大学が大きな変化を遂げてきたことは皆さんも実感してくれていると思います。工学部の新設をはじめ、附属の中高もできました。4月からはビジネススクールも開設します。世界は今、完全なる実力と実績主義の時代です。私が進める教育改革は、その時代の流れに乗り遅れている日本のブランド主義、偏差値偏重の教育界を打破し、本当の実力を兼ね備えた人材を育成することです。その真価は、本日、卒業を迎えた皆さん一人ひとりが、社会と本気で向き合い、活躍することで証明されます。

今日が区切りです。社会に出てからが本当の学びのスタートです。常に学び続けてください。社会に出ると辛く厳しいことも経験することでしょう。しかし、その「努力」と「我慢」を積み重ねた経験が、あなたの実力になるとともに「運」をも味方に付けます。

本学の卒業生として大いなる自信と誇りを胸に抱き、社会に出ても常に挑戦してください。そして努力を続けてください。努力を重ねれば必ず成功します。日本を明るくするのは君たちだ。良い人生を送ってください。

私からの激励のメッセージとします。

以上

今年度の卒業生は、経済経営学部266人、人文学部142人、バイオ環境学部106人、健康医療学部157人の計671人。大学院は修士課程で経済学研究科7人、経営学研究科2名、人間文化研究科4人、バイオ環境研究科3人、工学研究科5名の計21人だった。

学位記授与の各学部総代は、経済経営学部中田都さん、人文学部曽根愛里華さん、バイオ環境学部岩田祐樹さん、健康医療学部市川理那さん。各研究科の代表は、経済学研究科池尾智史さん、経済学研究科山口文弥さん、人間文化研究科WU Zichaoさん、バイオ環境研究科石田智也さん、工学研究科児玉健太さん。

卒業までの4年間で人物良好かつ学業で優秀な成績を修めた学生に贈られる理事長は、経済経営学部中川峻樹さん、人文学部橋本彩花さん、バイオ環境学部太田ことりさん、健康医療学部宮尾茉那さんが選ばれました。

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(大学総務部)

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