京町家「新柳居」連続セミナー・お茶を楽しみ科学する  [第5回 ]抹茶スイーツの開発秘話 を開催しました。

2018年07月02日トピックス

20180702_ocha5th01.jpg

京都学園大学京町家「新柳居」で開催している人気の連続セミナー・お茶を楽しみ科学する[第5回]が2018年6月23日(土)に行われました。
今回は、株式会社ロマンライフ マーケティング部 広報グループ長の河内康太朗さんを講師に迎え、「抹茶スイーツの開発秘話」をテーマにお話しいただきます。株式会社ロマンライフが展開する洋菓子ブランド「マールブランシュ」のお濃茶ラングドシャ「茶の菓」といえば、地元京都の定番のお菓子。発売から10年余りを経た今、その開発秘話だけでなく、新たな抹茶スイーツの探求、京都から世界へ向けた展開やこれからの新しい取り組みについてもお話しいただきました。

セミナー冒頭では、1951年の純喫茶から始まる会社の沿革やマールブランシュの季刊誌カタログが紹介され、“京都クオリティ”を生み出すための素材(おいしさの原点)・技(京の匠)・心(おもてなし)、そして“語れるモノづくり”で世界の「ほんもの」を京都の「ほんまもん」にしていくというコンセプトが語られました。

20180702_ocha5th02.jpg

マールブランシュの“語れるモノづくり”の例として挙げられたのは、もちろん定番人気の「茶の菓」。素材となる抹茶は宇治茶産地の専用覆下園で栽培された茶葉を厳選されていて、手摘みの時期は河内さんも自ら茶園へ足を運び、その年のでき具合などを摘み子さんたちから直接聞いているそうです。
続いての技を担うのは腕利きのエグゼクティブシェフ。熱にも光にも弱い抹茶を扱う菓子づくりには、繊細な微調整が求められるそうです。
そして最後の心は、お客様に届ける時のおもてなしの心です。パッケージの包装紙は茶畑を想起させるグリーンのグラデーション。店舗もデパ地下の場合は窓がないため、光を表現するためにあえて闇を演出したり、柱のロゴには京都の伝統技法である蒔絵が施されたりといった工夫がなされたそうです。こうした繊細な風合いや表現は商品に格をもたらすものであり、京都らしさを感じてもらうための配慮でもあります。

さらに「抹茶って、こんなにおいしいものなんですね!」というお客様の声を茶の生産者の皆さんと共有し、うれしい気持ちを分かち合えるよう、栽培〜菓子づくり〜おもてなしまでの一連の流れをスペシャリストとした「チーム茶の菓」プロジェクトも発足されました。お客さんが農家を訪ねて生産者のお話を直接聞くことができる「茶の菓ツアー」やお茶の飲み比べができるイベントも開催されているそうです。

感心した様子で聞き入る参加者の皆さんですが、講義の合間にはお茶で一服。お茶請けに「茶の菓」と今年5月から発売がスタートした夏季限定の新商品「涼 茶の菓」も用意され、2つのお菓子を食べ比べて、味わいの違いを確かめました。

20180702_ocha5th03.jpg

「茶の菓」は2枚のラングドシャ生地の間にホワイトチョコレートが挟まれていますが、「涼 茶の菓」は生地にホワイトチョコが練り込まれています。間にチョコを挟まない「涼 茶の菓」は当初1枚で作られたそうですが「薄い2枚を重ねた方が風味が良かったんです」と、開発に携わった河内さん自身がそもそもの茶の菓のおいしさの秘訣を改めて感じられたというエピソードも。違いはそれだけではありません。
「茶の菓」は宇治の「山の茶葉」を主体に使っているのに対し、「涼 茶の菓」には木津川沿い「川の茶葉(通称、浜茶)」が主体のお濃茶が使われていて、夏にぴったりの爽やかな味わいキレの良い後味が楽しめます。
パッケージにも夏らしいブルーがあしらわれ、涼しげに仕上げられた「涼 茶の菓」。ここで、開発時に社内プレゼンのために作られたという大きな巻き物も披露されました。セミナー会場である京町家の二間続きの端から端まで届きそうなほどの長さがあり、プレゼン資料とは思えないでき映えに皆さん驚きの声を上げ、興味深く見入っていました。

20180702_ocha5th04.jpg

セミナー終盤は、「GLOCAL(=GLOBAL+LOCAL) 京都から世界へ」を掲げた海外へのチャレンジのお話に。「茶の菓」はフランス・パリの老舗百貨店でも販売されています。じつはホワイトチョコは日本の文化で、フランス人にとってチョコレートではないと認識されてしまうそうですが、現地のグルメ雑誌にも取り上げられるなど注目されつつあるようです。
また、昨年、祇園にオープンしたチョコレート専門店「マールブランシュ加加阿365」では、葡萄からワインを作るように栽培された年によって異なる茶葉の個性が楽しめるボンボンショコラ「きょうの宙」が販売されています。

「海外でも、茶の苦みとホワイトチョコの甘みが共存する日本なりのチョコレートを訴求しています。しっかり素材を見つめて、プレゼンもしますし、お客様にもお話します」と、まさに語れるモノづくりを実践されている河内さん。最後の質問タイムでも、新しく開発される商品や食べ方についてさまざまな質問が飛び出し、京都から世界へ広がるスイーツの今後の展開にセミナー参加社の皆さんも期待を寄せていました。

次回、お茶を楽しみ科学する[第6回]は7月7日(土)14時より開催予定です。

前の記事へ

次の記事へ

一覧へ戻る

このページの先頭へ