大学院経済学研究科の修士論文テーマ報告会が開催されました

2018年06月29日トピックス

平成30年6月27日(水)に本学太秦キャンパスN305教室にて、現在、大学院経済学研究科修士課程の2年目に在籍する以下の2名の院生より修士論文テーマについての報告が行われました。

第1報告の石原夏子氏は、「重加算税制度における納税者の範囲について -税理士による隠蔽・仮装行為と重加算税の賦課-」というタイトルで、所得税、相続税あるいは法人税の課税に関連して、納税者の意図的な隠蔽あるいは仮装による過少申告に対しペナルティとして賦課される重加算税について法制度の概要や現状の問題点を説明されました。そして、重加算税の賦課の判断に関連して、隠蔽や仮装の意義あるいは具体的様態の特定などの点での現行法令の規定の限界を指摘しつつ、特に納税者本人と税理士など納税申告行為の主体が異なる場合の納税者本人への重加算税の賦課に関連する問題点に焦点を絞り込んだ研究計画が報告されました。

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第2報告の国本将明氏は、「所得税法56条についての一考察 -宮岡事件(妻税理士事件)を中心として-」というタイトルで、個人事業主などが家族間での恣意的な所得分散によって租税回避を図る行為を抑制する目的で制定された所得税法56条について、女性の社会進出や家族形態の変化に合わせた柔軟な適用が難しくなっている現状と、それにより個人事業主への不当な税負担が発生していることの問題点を、宮岡事件の判例を取り上げて指摘されました。そして、今後の研究計画として、所得税法56条の適用に関する諸判例の研究に加え、諸外国の税制における課税単位の現状や、課税単位のあり方に関する論点整理などに取り組むことが報告されました。

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いずれの報告者も、経済学研究科と経営学研究科にまたがって設置されている「税理士コース」に所属し、特に税理士の資格試験で「税法」の科目免除を目指して税法関連のテーマで修士論文を仕上げることを目標としているため、法学を専門とする教員を中心に今後のブラッシュ・アップに向けた多くのアドバイスが出されたことで、報告者にとっては修士論文の完成に向けて大変に有意義で生産的な時間となりました。

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