【バイオ環境学部ニュース】[地域食農論]農産物による地域活性化の取組について、神戸国際大学経済学部 中村智彦教授の特別講義を実施しました。

2019年07月18日トピックス

2019年7月9日、神戸国際大学の中村智彦教授に「地域おこしの事例」について特別講義を行って頂きました。

「いま、どんな問題が起こっているのか」、という問いから講義が始まりました。急激な人口減少(人口ピラミッド)、自由貿易主義の進展、食料自給率の低下など、私たちの周りには様々な問題が顕在化してきています。現在、日本経済は好調で、就職活動を行っている学生には就職先が十分有り、あまり問題意識を持っていないかもしれません。しかし、現実はそうでしょうか? これから益々人口減少が進むとそれに伴い需要が減ってきます。就職してから、自分は何をすべきか問われることになります。

我々が関係している農業分野では、農業就業者の高齢化・減少、農産物の輸入自由化、食料自給率の低下など、非常に厳しい状況に直面しています。そこで、農山漁村の所得の向上や雇用の確保を目指して、6次産業化に取り組むことが注目されています。数多くの様々な6次産業化に対する取組が行われていますが、実情では約9割が失敗し、1割程度が成功しているに過ぎません。成功事例の特徴は、販路を考えての取り組みであると中村教授は説明されました。つまり、経営力の欠如、企画調査力の低さが失敗の原因である。それらには、例えば、コンサルタントの言いなり、前例主義、声の大きな高齢者、連携体制の欠如、「税金」を使っているとの意識の低下、などをあげられています。

中村教授は15年以上にわたり山形県川西町(かわにしまち)において、川西町伝承の豆「紅大豆」(ベニダイズは、川西町の登録商標)の生産・販売拡大に向けて、川西町の生産者や町の関係者と供に様々な問題に取り組まれてきました。一度は拡大した生産が減少するという困難にも直面されながら、再度生産・販売を回復させ、現在はカゴメ(カゴメ応援農園)から、希少性が高いゆえの生産量の少なさを強みに変たえ、高品質な「紅大豆」の販売を着実に伸ばされています。

中村教授は、地域ブランディングとは、1.有名になることが地域ブランディングではない、2.マークを作ることが地域ブランディングではない、3.信頼・信用・安心・継続性が必要、4.作り上げるには長い時間と労力が必要、5.崩すのは数秒、6.詳細な調査、緻密な計画、衆知を集めるチームワークが必要、と力説されました。

また、イベントを実施するにも単に人が多く集まる場所と言うよりも、情報を発信できる人に来てもらうことが重要、イベントでの無料配布からの脱却、新たな連携の創出が必要であることなど、農業や食品産業関連の多くの講義では聴くことのできない、地域活性化の事例について非常に興味深い講義をして頂きました。中村先生の活動には、インターンシップ生として御自身の大学の学生のみならず、他大学の学生も受け付けているとのことでした。農業や地域活性化に強い思いや関心を持っている本学学生にも参加してもらいたいものです。

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(バイオ環境学部食農学科 教授 佐藤隆徳)

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